ChatGPTでTOEIC Speakingの練習相手・採点役にする|設問形式別プロンプトと採点基準の埋め込み方
TOEIC Speaking は 11問・5形式(音読/写真描写/応答/提示情報に基づく応答/意見) の試験です。独学で受ける人の多くが止まるのは、教材が無いからではありません。質問を出してくれる相手と、答えを採点してくれる相手がいないからです。
ChatGPT はこの2つの役を引き受けられます。ただし範囲は決まっています。テキストになった内容・構成・語彙・文法は判定できますが、発音・イントネーション・強勢は判定できません。 音声の情報を受け取っていないからです。ここを混同すると、「採点してもらった」つもりで本番に行き、音読問題の2軸で落ちます。
The Past のChatGPT記事には、TOEIC Speaking の設問形式に沿って出題・採点させる手順を扱ったものがありませんでした。この記事がその穴を埋めます。5形式それぞれについて、出題→制限時間→採点基準で採点→改善点、を回すプロンプトと使い方だけを扱います。 設問そのものの解説と模試は、TOEIC S&W対策|完全模試19問とTOEIC Speakingの応答問題|疑問詞・ジャンル別の練習問題と点数別解答例が担当しています。
この記事のプロンプトと英文はすべて、この記事用に書き下ろしたオリジナルです(TOEIC公式のサンプル問題とディレクションはETSに著作権があり、複製できません)。ChatGPTの機能名・料金・モデル名は更新が速いため扱いません。本文は2026年9月5日時点の状況で執筆しています。
結論 ― ChatGPTは「練習相手」と「採点役」になれる。ただし発音は測れない
先に結論を示します。
- 5形式すべてに、出題→採点のプロンプトが作れます。 音読は例外で、出題と「読み方の設計図」までです。
- 採点基準(0〜3/0〜5)を埋め込めば、内容の関連性・完全性・文法・語彙・結束はテキストで評価できます。 埋め込まなければ「良い会話」の基準で褒めて終わります。
- 発音・イントネーション・強勢は判定できません。 音読問題(Q1–2)の採点項目はこの2軸だけなので、音読は採点させません。この領域は、音声を採点できる別の手段(人の講師や音声採点ツール)と、TOEIC Speaking|発音・イントネーションを MEDIUM から HIGH に上げる方法に委ねます。

始める前に ― ChatGPTの点数は「上限の目安」
ChatGPTが受け取るのは、あなたが書き起こした文字です。結論で見た通り、判定できるのは内容の関連性・完全性・文法・語彙・結束まで。発音・イントネーション・強勢は文字にした時点で消えます。
ここで重要なのは、音読以外の9問でも発音とイントネーションが採点対象に含まれ続けることです。つまりChatGPTが返す点数は、発音の減点を含まない「上限の目安」です。3点と言われても、本番では音で削られます。
ChatGPTに「発音も見て」と頼めば何かしら返ってきますが、音声情報を受け取っていない以上、それは推測です。 だからこの記事のプロンプトには、すべて「発音に触れない」の禁止事項を入れてあります。
出題の全体像 ― 5形式・採点基準は模試記事に揃える
数値はすべて ETS・IIBC の公式資料に基づき、弊社の模試記事と同じ扱いです。
| 設問 | 準備/解答 | 採点 | ChatGPTに任せる観点 |
|---|---|---|---|
| Q1–2 音読 | 各45秒/各45秒 | 発音 0〜3・イントネーション/強勢 0〜3 | なし(読み方の設計図のみ) |
| Q3–4 写真描写 | 各45秒/各30秒 | 0〜3(文法・語彙・結束が加わる) | 文法・語彙・結束 |
| Q5–7 応答 | 各3秒/15・15・30秒 | 0〜3(関連性・完全性が加わる) | 関連性・完全性・文法・語彙 |
| Q8–10 提示情報 | 資料45秒+各3秒/15・15・30秒 | 0〜3 | 資料との整合・完全性・文法・語彙 |
| Q11 意見 | 45秒/60秒 | 0〜5 | 立場・理由・結束・文法・語彙 |
11問を通しで解きたい方はTOEIC S&W対策|完全模試19問へ。応答問題の疑問詞別の型はTOEIC Speakingの応答問題へ。試験の全体像を先に知りたい方はTOEIC Speakingとは 2026年版から読んでください。
5形式に共通する回し方
プロンプトの前に、運用を固定します。ここを崩すと、どのプロンプトも機能しません。
- 時間はスマホのタイマーで計る。 時間の管理をChatGPTに頼らないでください。準備時間と解答時間は自分で管理します。
- 答えは必ず声に出し、録音する。 書いて答えたら、それはWritingの練習です。
- 話した通りに書き起こして送る。 言い直さない、補わない。崩れた英文をそのまま渡すから、採点が意味を持ちます。音声入力で書き起こす場合も、認識結果を手で直さないでください。
- 採点は「点数+根拠の引用+改善点」だけ受け取る。 模範解答は作らせません。理由は意見問題の節で説明します。
ChatGPTが音声での会話に対応している場合でも、この記事では制限時間つきの本番形式を再現する用途に限って使ってください。音声認識は発音のずれを文脈で補って聞き取るため、通じた感覚と実際の通じやすさがずれます。音声認識が発音のずれをどう補うかは、ChatGPTで英会話練習はできるのかで扱っています。

プロンプト① 音読問題 ― 読み上げて、発音以外を確認する
音読問題(Q1–2)は採点項目が発音とイントネーション・強勢の2軸だけなので、ChatGPTに採点はさせません。 させるのは、同じ長さ・トーンの英文の書き下ろしと、読み終えたあとの「読み方の設計図」です。設計図と自分の録音を照らして、区切り・強勢の位置・上げ下げを自分で確認します。
「発音を評価しない」を禁止事項に入れているのが要点です。 これを入れないと、ChatGPTは録音を聞いていないのに「明瞭に読めていると思います」と返します。設計図と録音を照らして直す作業は、発音・イントネーションを MEDIUM から HIGH に上げる方法の「音をほどく→止めて反復する→自分を録って比べる」の手順で行ってください。
プロンプト② 写真描写問題 ― 出題させて、内容を採点させる
写真描写(Q3–4)で ChatGPT に見せられるのは、描写の文字です。写真を渡せるかは環境によるので、写真に写っているものを自分で箇条書きにして渡す方式にします。写真は手元のスマホの写真(人物・場所・物が写っているもの)を1枚選んでください。無ければ、次の場面リストから1つ選び、写っているものを箇条書きにしてください。準備ができたら「開始」と送り、それから書き起こしと箇条書きを送ります。
- 職場の会議室(人物2〜3人・ノートパソコン・ホワイトボード)
- 公園のベンチ(人物2人・自転車・木)
- カフェの店内(人物1人・カップ・窓)
「修正版の全文は出さない」を入れているのは、書き直された英文からは弱点が消えるからです。直すべき文だけ受け取り、自分で直して、もう一度30秒で言い直してください。
プロンプト③ 応答問題 ― 疑問詞に対応する
応答問題(Q5–7)は準備3秒で、もっとも即興性が問われます。ChatGPTには疑問詞を変えて出題させ、Q7まで終わってからまとめて採点させます。途中で反応を返させないのは、本番の音声が無言で次に進むからです。
本番は質問が音声で1回流れ、画面には出ません。文字で読めるぶん、ここでの練習は本番より楽です。
採点の返り方を1問分だけ示します。書き起こしは話した通りなので、崩れたままです。
採点の返り方の例(Q5・1問分)
出題
How often do you go to the gym, and what do you usually do there?
(ジムにはどのくらいの頻度で行きますか。そこでは普段何をしますか)
書き起こし(話した通り)
I go to gym… maybe two times a week. I usually, uh, do some cardio and then I lift weights for an hour.
(ジムには…週に2回くらい行きます。普段は、ええと、有酸素運動をして、それから1時間ウェイトトレーニングをします)
採点の返り方
| 観点 | 判定 | 引用 |
|---|---|---|
| 内容の関連性 | 答えている | two times a week/do some cardio |
| 内容の完全性 | 2要素とも答えている | 頻度と行動の両方がある |
| 文法・語彙 | 冠詞の欠落 | go to gym → go to the gym |
点数|3点。両要素に答えており、冠詞の欠落は3点の範囲。次の改善点は「冠詞」。
疑問詞ごとの型を体系的に入れるなら、TOEIC Speakingの応答問題|疑問詞・ジャンル別の練習問題と点数別解答例の12問を先にやってから、このプロンプトで反復回数を稼いでください。
プロンプト④ 提示された情報に基づく応答問題
提示情報(Q8–10)は、資料を45秒で読んでから答える形式です。ChatGPTには資料そのものを作らせ、読む時間を区切ってから1問ずつ出させます。採点では資料と食い違った箇所を資料の行と対応づけて示させることが要点です。
本番は質問が音声で流れ(Q10だけ2回)、画面には出ません。文字で読めるぶん、ここでの練習は本番より楽です。
Q10の質問文を2回書かせているのは、本番でQ10だけ音声が2回流れる仕様に合わせるためです。
プロンプト⑤ 意見を述べる問題 ― 「作らせて覚える」ではなく「言えるに変える」
意見問題(Q11)で最も多い誤用が、模範解答を作らせて丸暗記する使い方です。覚えた英文は、設問が少し変わると出てきません。理由はシンプルです。自分の語彙で組み立てていない文は、60秒の中で組み替えられないからです。
このプロンプトは、自分の書き起こしを土台に、自分が使った語彙の範囲で直させる設計にしてあります。直した版を声に出し、チャンクに割って反復し、日本語から即レスで出せる状態にする工程は、ChatGPTで英作文を練習する手順|生成文を言えるに変えるの工程④・⑤をそのまま使ってください。
「私が使った語彙の範囲で」が、この記事で最も重要な1行です。 外すと、読めば分かるが60秒では言えない英文に書き換えられ、練習が丸暗記に戻ります。
ChatGPTと音声採点の使い分け
ChatGPTと音声採点は役割が違います。束ねて考えないでください。
| ChatGPT | 音声採点 | |
|---|---|---|
| 出題 | プロンプトで形式・テーマ・疑問詞を自由に変えられる | 決められた形式で出題される |
| 採点 | テキストになった内容・文法・語彙・結束 | 音声を受け取る(発音・イントネーションの判定はこちら) |
| 向く用途 | 反復回数を稼ぐ・弱点を引用つきで特定する | 音の判定 |
発音・イントネーションの判定は、ChatGPTではなく音声を採点できる別の手段(人の講師や音声採点ツール)に分けてください。この記事では「音声を受け取る側」とだけ位置づけます。ChatGPTで内容と文法を固め、音声採点と自分の録音で音を確かめる。 逆にすると、内容が崩れたまま音だけ整えることになります。

まとめ ― ChatGPTを使う前に、この記事に戻ってくる
- ChatGPTは出題役と採点役になれる。採点できるのは文字に残る観点(関連性・完全性・文法・語彙・結束)まで
- 発音・イントネーション・強勢は判定できない。 音読(Q1–2)は採点させず、読み方の設計図だけ出させる
- タイマーで計る/声に出して録音する/話した通りに書き起こす/模範解答を作らせない
- 意見問題は自分の語彙の範囲で直させて、言えるに変える
- ChatGPTの点数は発音の減点を含まない上限の目安
次に何をするか ― 5形式のプロンプトの次は、11問を通しで解く
プロンプトで反復回数を稼いだら、次は Speaking 11問を本番と同じ時間で通してください。形式ごとの練習では、20分の中でどこで消耗するかは分かりません。
TOEIC S&W対策|完全模試19問では、Speaking 11問・Writing 8問を本番と同じ時間配分で解き、正解音声と解説で採点まで確認できます。解説は Q1・Q3・Q5・Q8・Q11 の順で、5形式すべてに用意しています。
採点基準から逆算する解答設計はTOEIC Speakingの対策|採点基準から逆算する解答設計に、Writing の添削にChatGPTを使う場合はChatGPTの英語添削を信用してよいかが担当しています。
【無料】TOEIC® Speaking 攻略模試(全11問)を差し上げます
本番と同じ秒数で解ける Speaking 模試を1回分、LINEでお渡ししています。
- Speaking 全11問(準備時間・解答時間・合図まで本番と同じ音声つき)
- 解答例と解説(3万字超・各設問の「点が分かれるところ」つき)
- 採点シート(41点満点・観点別の弱点が出ます)
2つの質問に答えると、その場で届きます。印刷して使えるPDFです。
参考情報・出典
- テストの形式と構成(IIBC公式・設問名/問題数/解答時間/準備時間/評価基準/採点スケール) https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format.html
- テストの形式と構成|TOEIC Speaking Test(IIBC公式・Speaking 単独受験の設問構成) https://www.iibc-global.org/toeic/test/speaking/about/format.html
- 各問の評価項目・採点基準(0〜3点/0〜5点の観点名の参照元):ETS TOEIC® Speaking and Writing Tests Score User Guide
- 本記事のプロンプト・設問例・書き起こし例はすべて The PAST が公式仕様に基づいて作成したオリジナルです。採点の返り方の例は The PAST の判定であり、ETS・IIBC による採点ではありません
- TOEIC is a registered trademark of ETS. This website is not endorsed or approved by ETS.