TOEIC Speaking|発音・イントネーションを MEDIUM から HIGH に上げる方法|音声で確かめる

TOEIC Speaking のスコアレポートには、総合スコアとは別に Pronunciation(発音)Intonation and Stress(イントネーションとアクセント) の評価が HIGH/MEDIUM/LOW の3段階で載ります。この2つが MEDIUM だった人から、同じ質問を受けます。「MEDIUM は何が足りないのか」「HIGH にするには、何を直せばいいのか」。

公式の評価基準(Score Range Descriptors)を読んでも、答えは出ません。書かれているのは「わかりやすさ」の程度であって、どの音が違うと段階が変わるのかは書かれていないからです。

この記事は、公式の3段階を「音素」「語強勢」「文強勢・イントネーション」の3層に翻訳し、同じ英文の MEDIUM 相当の読みと HIGH 相当の読みを、言葉で対比しながら、HIGH の音声で確かめます。評価の仕組みや分布は別記事で扱ったので、ここでは「上げ方」だけに集中します。読み終えたとき、自分の MEDIUM がどの層の課題かを見分けられ、記事内のミニレッスンで HIGH の音を再現し始めている状態を目指します。

結論 ― MEDIUM から HIGH は「音素」「語強勢」「文強勢・イントネーション」の3層で直す

先に結論を示します。

MEDIUM とは、「聞き手が文脈で復元できる程度の崩れ」が、3層のどこかに残っている状態です。 HIGH との差は、英語らしさでも流暢さでもありません。次の3層のどこが崩れているかで、直すべきものが決まります。

崩れると何が起きるか 公式の評価項目との対応
音素 th が s に、l と r が入れ替わり、語末に余分な母音が付く。単語が「別の単語」に近づく Pronunciation
語強勢 多音節語の強い音節が平板になる。単語が「単語として検索されない」 Pronunciation と Intonation and Stress の境界
文強勢・イントネーション 内容語と機能語が同じ強さで並び、文末の上げ下げが意味と合わない。要点が伝わらない Intonation and Stress

ここで重要なのは、MEDIUM の人は3層のすべてが崩れているわけではないという点です。多くは1〜2層に集中しています。だから崩れている層を特定してから、その層だけを直すのが最短です。

MEDIUM評価を音素・語強勢・文強勢とイントネーションの3層ピラミッドで示した図。下2層が公式のPronunciation、上2層がIntonation and Stressに対応し、結論は「下の層が崩れていると、上の層を整えても通じない」

公式評価基準(Score Range Descriptors)を「どの音の差か」に翻訳する

公式の3段階は「わかりやすさ」の程度で分かれている(要旨)

IIBC が公開しているスコアレンジ別評価一覧表には、Pronunciation と Intonation and Stress それぞれの HIGH/MEDIUM/LOW の説明が載っています。原文は出典(記事末尾)で確認してください。ここでは公式の記述の趣旨を要約して整理します(逐語の引用ではありません)。

Pronunciation(発音) は、発話が「どの程度わかりやすいか(intelligible)」で分かれます。

  • HIGH … ほぼ一貫してわかりやすい、という趣旨
  • MEDIUM … おおむねわかりやすいが、ところどころに乱れや不明瞭な箇所がある、という趣旨
  • LOW … わかりにくい箇所が目立ち、聞き手の理解を妨げる、という趣旨

Intonation and Stress(イントネーションとアクセント) は、抑揚と強勢が「どの程度、意味の伝達に効いているか」で分かれます。

  • HIGH … ほぼ一貫して適切で、意味の伝達を助けている、という趣旨
  • MEDIUM … おおむね適切だが、ところどころ不適切・不自然な箇所がある、という趣旨
  • LOW … 不適切な箇所が目立ち、意味が取りにくい、という趣旨

読み取れることは2つです。第一に、基準はネイティブらしさではなく、聞き手にとってのわかりやすさです。第二に、MEDIUM と HIGH を分けているのは「ところどころ」の有無です。全体としては通じている。ただ、部分的に崩れる箇所が残っている。これが MEDIUM です。

翻訳 ― 「ところどころの乱れ」の正体は3層のどれか

その「ところどころ」で何が起きているのか。公式は書いていないので、ここから先は発音指導の側から翻訳します。日本語話者の MEDIUM で実際に起きている崩れは、次の3層に分類できます。

① 音素の層 ― 音が「別の音」に置き換わる

子音や母音そのものが、日本語にある近い音に置き換わる崩れです。代表は3つ。th(/θ/・/ð/)が s・z になる(third が「サード」)、l と r が区別されない(reading が leading に近づく)、語末の子音に母音が付く(closed が「クローズド」)。

1つ1つなら文脈で復元できます。「サード・フロア」と聞いても、聞き手は third floor だと分かります。だから LOW にはなりません。しかし復元に負荷がかかる箇所が「ところどころ」ある。それが Pronunciation の MEDIUM です。

② 語強勢の層 ― 単語が「単語として検索されない」

多音節語には、強く長く言う音節が1つあります。LI-brary、re-SERVE、PRI-vate。日本語話者はこの山が平板になりやすく、特にカタカナで知っている語ほど「ライブラリー」「プライベート」と全音節を同じ強さで読みます。

聞き手の脳は、単語を「強勢の型」で検索しています(Field 2005)。山が無い、または位置がずれた語は、音素が正しくても復元に時間がかかります。この層は公式の2項目の境界にあり、Pronunciation にも Intonation and Stress にも効きます。

③ 文強勢・イントネーションの層 ― 要点が伝わらない

英語の文は、内容語(名詞・動詞・形容詞・副詞)が強く長く、機能語(冠詞・前置詞・代名詞・助動詞)が弱く短く発音されます。この強弱の波が「どこが要点か」を伝え、文末の上げ下げが、疑問なのか断定なのか、続くのか終わったのかを伝えます。

指導で最も多く見るのは、全語をほぼ同じ強さ・同じ高さで読む崩れです。1語ずつ丁寧に読むほど強くなります。音素も語強勢も正しいのに Intonation and Stress が MEDIUM なら、原因はここです。

同じ英文をMEDIUMとHIGHで読んだときの違いを3層で比較した図。third・closedの音素、Libraryの語強勢、Would you like toの文強勢とイントネーションを左右で対比し、結論は「差は英語らしさではなく、聞き手が復元に負荷を感じる崩れの有無」

3層は、下の層が崩れていると上の層を整えても通じないという順序を持ちます。音素が置き換わった語に正しい強勢をのせても、別の単語のままです。同じ考え方を母音・強勢・リズムの3層で説明した記事が英語の発音が通じない原因にあるので、ここでは TOEIC Speaking の評価に直結する部分だけを進めます。

発音・イントネーションはどの設問で評価されているのか

短く触れておきます。TOEIC Speaking の音読問題(Questions 1–2)は、準備45秒・解答45秒で画面の英文を読み上げる形式で、公式認定証に載る Pronunciation/Intonation and Stress の3段階表示は、この2問の結果だけで決まります(IIBC「テストの形式と構成」)。一方、発音とイントネーションそのものは音読専用の評価基準ではなく、写真描写以降の設問でも採点対象に含まれ続けます。つまり、MEDIUM の音のままだと、以降の設問でも発音・イントネーションの面では減点要因になり続けるということです。

採点の仕組み全体(どの設問でどの基準が加わり、どう逆算して解答を組むか)は書き直しません。TOEIC Speaking の対策|採点基準から逆算する解答設計で扱っています。設問の構成を知らない場合はTOEIC Speaking とはから読んでください。

自分は「8割」のどちら側か

Pronunciation と Intonation and Stress で HIGH に届いている受験者は少数派で、約8割は HIGH に届いていません。 実施回ごとの分布(HIGH/MEDIUM/LOW の人数と割合)はTOEIC S&W のスコア目安に、IIBC の公式データから整理してあります。

つまり MEDIUM は普通の状態で、HIGH は訓練の結果です。話す量を増やすだけでは動きません。音の崩れを1つずつ特定して直す過程が要ります。そのための対比が、次の節です。

MEDIUM の音と HIGH の音 ― 同じ文で対比する

同じ英文を、MEDIUM 相当の読み方と HIGH 相当の読み方で対比します。以下の英文はこの記事用に書き下ろしたオリジナルです(TOEIC 公式のサンプル問題は ETS に著作権があり、複製できません)。音読問題に出る「電話の案内文」のトーンで作ってあります。音声が無くても違いを把握できるように、まず言葉で対比します。

対比文①(音素の層)― th・l・r・語末子音

【英文】 Please note that the third-floor reading room will be closed this Thursday for roof repairs.

【日本語訳】 3階の閲覧室は、屋根の修理のため今週木曜日に閉鎖されますのでご注意ください。

15語のこの文に、日本語話者が MEDIUM に留まる典型的な音を集めてあります。th が5か所(that・the・third・this・Thursday)、l と r の対比(floor・reading・room・closed・roof・repairs)、語末子音が5か所(note・closed・roof・repairs・room)。

MEDIUM ではこう聞こえる

  • third → 「サード」。舌が歯に触れず /θ/ が /s/ になり、語末の d の後に小さく「ォ」が付く
  • floor → 「フロアー」。/f/ の摩擦が弱く、/l/ が日本語のラ行になる
  • reading room → r が弱く、leading と区別しにくい
  • closed → 「クロースド」。語末に「ォ」が付いて2拍増える
  • Thursday → 「サーズデー」。冒頭の /θ/ が /s/ になる
  • roof repairs → 語末の /f/ と /z/ が弱く、各語の後に母音が残る

1語ずつなら聞き手は復元できます。しかし6か所で復元が要る。これが「おおむねわかりやすいが、ところどころ乱れがある」の実体です。

HIGH ではこう聞こえる

  • third・this・Thursday・that … 舌先を上下の歯の間に軽く挟み、息(/θ/)または声(/ð/)を通す。/s/ の鋭さが無い
  • floor・closed・Please・will … /l/ は舌先を上の歯茎につける
  • reading・room・roof・repairs … /r/ は舌をどこにもつけず、唇を少し丸める
  • note・closed・roof・repairs … 語末の子音で口を閉じたら、母音を足さずに終える。closed は /kloʊzd/ の1音節

速度は MEDIUM と同じで構いません。違いは速さではなく、音の作り方です。

対比文②(文強勢・イントネーションの層)― 内容語と機能語、上昇と下降

【英文(大文字=強く長く言う内容語)】 Would you like to re-SERVE a PRI-vate STUDY ROOM ↗, or do you pre-FER the OPEN LOUNGE ↘?

【日本語訳】 個室の学習室を予約なさいますか、それとも開放ラウンジのほうがよろしいでしょうか。

16語のこの1文には、内容語7語(大文字)と機能語9語が強弱の波を作る配置で並び、さらに「A か B か」を尋ねる選択疑問文なので、前半の room で上昇し、後半の lounge で下降するという2方向のイントネーションが含まれます。1文で文強勢と上げ下げの両方を対比できるように設計しています。

MEDIUM ではこう聞こえる

  • Would・you・like・to の4語が同じ強さで「ウッド・ユー・ライク・トゥ」と区切って読まれる。機能語が縮まない
  • reserve・private・study・room が機能語と同じ強さになり、文全体が平らな波になる。聞き手は「何を聞かれているのか」を拾いにくい
  • 「疑問文だから上げる」と一律に処理し、lounge の後も上がる。聞き手は「まだ選択肢が続くのか」と待つ
  • 語と語の間に短い間が入り、1語ずつ置いていくリズムになる

音素は1つも間違っていなくても、これは Intonation and Stress の MEDIUM です。

HIGH ではこう聞こえる

  • Would you like to は「ウジュライクトゥ」に近く縮まり、弱く速く流れる。or do you も同じ
  • reserve の SERVE、private の PRI、study の STU、room に山が立つ。room は上昇調で「ここまでが選択肢1つ目」と示す
  • prefer の FER、open の O、lounge に山が立ち、lounge で明確に下降して終わる。「選択肢はここまで」という合図
  • 強い語の間隔がほぼ一定に保たれ、その間の機能語は速く弱くつぶれる

記事内ミニレッスン ― HIGH の音を聞き、自分の読みと比べる(約10分)

対比文①と②を組み込んだ、音読問題形式のパッセージで練習します。「HIGH の音を聞く → 音をほどく → 止めて反復する → 自分を録って比べる」の4ステップです。練習法はオーバーラッピング(スクリプトを見ながら同時に読む)と Listen & Repeat(1チャンク聞いて止めて反復)の2つに絞ります。スクリプトを見ずに追いかけるシャドーイングは使いません。理由は FAQ で触れます。

Practice 1:HIGH の読みを通しで聞く(約2分)

上の音声(HIGH 相当・通常速度)を、スクリプトを見ながら通して聞きます。聞くポイントは「速さ」ではなく、対比文①の th・l・r・語末子音と、対比文②の強弱の波と文末の上げ下げです。

【英文】 Thank you for calling Riverside Library. Please note that the third-floor reading room will be closed this Thursday for roof repairs. Would you like to reserve a private study room, or do you prefer the open lounge? Either way, please visit our website, check the schedule, and book your seat early.

【日本語訳】 リバーサイド図書館にお電話いただきありがとうございます。3階の閲覧室は、屋根の修理のため今週木曜日に閉鎖されますのでご注意ください。個室の学習室を予約なさいますか、それとも開放ラウンジのほうがよろしいでしょうか。いずれの場合も、ウェブサイトでスケジュールをご確認のうえ、お早めに席をご予約ください。

最後の文には「visit ↗, check ↗, and book ↘」という列挙のイントネーションが入っています。前2つで上がり、最後で下がる。対比文②と同じ原理です。

Practice 2:スローで音をほどく(約2分)

スロー版(0.7倍速)で、次の5か所を確認します。速度が落ちると、通常速度では流れてしまう「音の作り方」が聞き取れます。

  • third-floor … /θ/ の息が先に出て、その後に「アー」。d の後に母音は無い
  • reading room … r の始まりで唇が丸まる。l の音は1つも無い
  • closed this Thursday … closed の /zd/ が閉じたまま、this の /ð/ に続く
  • re-SERVE a PRI-vate … reserve は後ろに、private は前に山がある。a は弱い「ァ」
  • or do you pre-FER the OPEN LOUNGE ↘ … or do you が1つの弱い塊になり、lounge で下がりきる

Practice 3:チャンクで止めて反復する(約3分)

リピート用の音声は、下の区切り(スラッシュ)どおりのチャンクで読み、各チャンクの後にポーズが入ります。1チャンク聞いたら、ポーズの間に聞こえたとおり声に出して反復してください(Listen & Repeat)。音声に重ねての同時発声はせず、「聞く→止める→言う」の順を守ります。

【Chunked】 Thank you for calling / Riverside Library. Please note / that the third-floor reading room / will be closed this Thursday / for roof repairs. Would you like to reserve / a private study room, / or do you prefer / the open lounge? Either way, / please visit our website, / check the schedule, / and book your seat early.

チェックポイントは3つ。

  1. 音素 … third・this・Thursday で舌が歯の間に出ているか。closed・roof・repairs の語末に母音を足していないか
  2. 語強勢 … Library(LI)・reserve(SERVE)・private(PRI)・prefer(FER)で、山が1つだけ立っているか
  3. 文強勢・イントネーション … Would you like to・or do you が縮んでいるか。room で上がり、lounge で下がっているか

再現できなかったチャンクを1つだけ選び、そこだけ3回繰り返します。 全部を均等にやるより、崩れた1か所を直すほうが評価は動きます。

Practice 4:オーバーラッピングで通し、自分を録って比べる(約3分)

スクリプトを見ながら Practice 1 の HIGH 音声にぴったり重ねて読みます(オーバーラッピング)。2回繰り返し、内容語で声を立て、機能語は軽く流します。

そのうえで、音声を止め、同じパッセージを自分だけで読んで録音してください。 スマートフォンのボイスメモで十分です。録ったら、HIGH の音声と交互に再生し、3層で判定します。

判定する箇所 崩れていたら 該当する層
third・Thursday が「サード」「サーズデー」に聞こえる。closed の後に「ォ」がある 音素 Pronunciation
Library・private が平らに「ライブラリー」「プライベート」と聞こえる 語強勢 両方の境界
Would you like to が4語に分かれて聞こえる。lounge の後が上がっている 文強勢・イントネーション Intonation and Stress

自分の録音が、対比文の「MEDIUM ではこう聞こえる」のどれに当てはまるか。 これがそのまま、自分の MEDIUM の層の診断になります。自分の発音のズレは自分の耳には正しく聞こえるので、必ず HIGH の音声と交互に再生してください。録音を使ったチェックの回し方は英語発音のチェック方法で設計しています。

HIGH を狙う練習の順番

3層の判定が済んだら、練習の順番を決めます。原則は3つです。

原則1 ― 下の層から直す。 音素→語強勢→文強勢・イントネーションの順です。ただし、Practice 4 で音素の崩れが見つからなかった人は、音素に時間を使わず、語強勢または文強勢から始めてください。自分の崩れている層が起点です。

原則2 ― 耳から直す。 聞き分けられない音は作れません。th と s、l と r、上昇と下降を、まず HIGH の音声で聞き分け、次に自分の録音で聞き分ける。産出はその後です。

原則3 ― 1回の練習で直すのは1か所。 「発音を全体的に良くする」練習は、注意が分散して1か所も直りません。

最初にやること 目安
音素 対比文①の th・l・r・語末子音を、ミニマルペア(think / sink、reading / leading)で言い分け、closed は「クロースド」と並べて読み、語末で口を閉じて終える 1日5分、聞き分け→言い分けの往復
語強勢 音読問題に出やすい多音節語(library・reserve・private・schedule・repairs)の山を1つに決めて読む 1語につき3回、山の位置を手で叩きながら
文強勢・イントネーション 対比文②を、内容語だけ抜き出して言う(reserve, private, study room ↗ / prefer, open lounge ↘)→ 機能語を弱く戻す 1文につき2分、強い語の間隔を一定に

本番の準備45秒では、この順番を逆に使います。画面の英文で、内容語に印をつけ、文末の上げ下げを決める。 45秒で音素は直せませんが、強勢と抑揚は準備時間で設計できます。

HIGHを狙う練習を「HIGHの音を聞く→自分を録る→3層で比べる」の往復で示した図。結論は「崩れた1か所だけを直して、次の1か所へ」

発音全体を4層(個別音素・音声変化・強勢とリズム・イントネーション)で組む練習は英語の発音練習の順序にまとめています。この記事は、4層のうち TOEIC Speaking の評価に直結する部分を3層に組み直したものです。

ネイティブ発音でなくても HIGH は取れるのか

取れます。公式の3段階の記述に、ネイティブらしさを基準とする語は見当たりません(要旨)。この記事の HIGH も、母語の影響が消えた読みではなく、「復元に負荷がかかる崩れ」が無い読みです。

採点基準が intelligible(聞き取れるか)を軸にしていること、最高評価の記述にすら母語の影響を許容する趣旨が含まれていることは、TOEIC S&W 対策|完全模試19問で ETS の採点基準を引いて説明しています。逆に言えば、「訛りを消す」練習は HIGH への最短距離ではありません。 聞き手の復元を止めている崩れを、層ごとに1つずつ消す練習が最短です。

よくある質問

Q. 発音とイントネーションの評価は、総合スコアにどのくらい効きますか?

A. 「何点分」と言える公開情報はありません。IIBC も ETS も、2項目とスコアの換算式を公開していないからです。言えるのは構造です。詳しくは「発音・イントネーションはどの設問で評価されているのか」の節で説明しています。

Q. AI(ChatGPT や発音アプリ)の発音チェックは使えますか?

A. 音素の層には使えます。th が s になっている、語末に母音が付いている、といった置き換えは、音声認識ベースの判定で拾えます。一方、語強勢と文強勢・イントネーションの層は、単語が正しく認識されてしまえば「正解」と出るため、平板に読んでも指摘されないことが多い。AI の判定は音素の層に限って使い、強勢と抑揚は HIGH の音声と自分の録音を交互に聞く方法(Practice 4)で判定してください。

Q. シャドーイングで発音は良くなりますか?

A. 初中級者の主軸としては推奨しません。スクリプトを見ずに音声を追いかけるシャドーイングは負荷が高く、音そのものに注意が向かないため、崩れた音がそのまま固まります。この記事でオーバーラッピングと Listen & Repeat に絞ったのはそのためです。理由はシャドーイングは意味ない?で説明しています。

まとめ ― MEDIUM は「音の差」に翻訳すれば直せる

  • 公式の3段階は「わかりやすさ」の程度で分かれており、MEDIUM と HIGH の差は「ところどころの乱れ」の有無です
  • その乱れの正体は、音素の置き換え/語強勢の平板化/文強勢・イントネーションの消失の3層のどれかです
  • 対比文①(th・l・r・語末子音)と対比文②(内容語と機能語・上昇と下降)で、MEDIUM と HIGH の音の差は言葉で説明できます
  • 練習は「HIGH を聞く→スローでほどく→止めて反復する→自分を録って比べる」の往復で、自分の録音を3層で判定するところまでが1セットです
  • 順番は下の層から。ただし起点は自分の崩れている層。1回の練習で直すのは1か所

自分の MEDIUM がどの層か、一人では特定しきれない方へ

発音でいちばん難しいのは、練習そのものではなく、自分の崩れている層を自分で特定することです。録音して比べても、判定に迷う箇所は残ります。

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参考情報・出典

  • スコアレンジ別評価一覧表(IIBC公式・Score Range Descriptors。Pronunciation/Intonation and Stress の HIGH・MEDIUM・LOW の記述。本記事の「要旨」は同表の趣旨を筆者が要約したもので、原文の文言は同ページを参照) https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/guide04/score01/descriptor.html
  • 公式認定証・デジタル公式認定証の形式(IIBC公式・発音3段階/イントネーションとアクセント3段階の単独表示) https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/guide04/score01.html
  • テストの形式と構成(IIBC公式・音読問題の準備時間45秒・解答時間45秒、設問別の評価基準) https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format.html
  • 発音・イントネーションの HIGH/MEDIUM/LOW の分布は、上記 IIBC 公式データをもとにTOEIC S&W のスコア目安に整理(割合の実数は転載していない)

記事の執筆者 メイソン(株式会社The Past 代表 / 椿祐輔)

VERSANT満点(90点)、CEFR C2レベルの英語力を有する。フィリピンの語学学校で10年以上にわたりカリキュラムと教材開発に従事し、述べ5,000人以上の多国籍な英語学習者(日本、中国、台湾、ベトナム、ロシア等)の学習をサポート。言語学と音声学に精通しており、現在は株式会社The Pastの代表取締役、カリキュラム開発者として、グローバルな英語教育を推進している。