シャドーイングは意味ない?シャドーイングに効果ない理由と推奨する学習方法

記事の執筆者 メイソン(株式会社The Past 代表 / 椿祐輔)

VERSANT満点(90点)、CEFR C2レベルの英語力を有する。フィリピンの語学学校で10年以上にわたりカリキュラムと教材開発に従事し、述べ5,000人以上の多国籍な英語学習者(日本、中国、台湾、ベトナム、ロシア等)の学習をサポート。言語学と音声学に精通しており、現在は株式会社The Pastの代表取締役、カリキュラム開発者として、グローバルな英語教育を推進している。

「シャドーイングは、リスニング力を劇的に高める」

日本の英語学習界隈では、シャドーイングは長年”正解”とされてきました。しかし本当に、それはすべての学習者にとって最良の選択なのでしょうか。

The Pastには、「長期間シャドーイングに取り組んできたけど、リスニング力が伸びない」という悩みを抱え、いわば”駆け込み寺”のように相談に来られる方が後を絶ちません。

私自身もまた、多くの方と同じようにシャドーイングに取り組みながら、リスニング力の伸びが頭打ちになる経験をしました。そこで方針を転換し、音の基礎から学び直すことを決断。学習全体を再設計するに至ります。

アプローチを改め、学習を継続した結果、実践的な英語力を測るスピーキングテスト「Versant」において満点(90点)※を取得しました。

こうした経験から、「シャドーイングは意味がない」と感じてしまう場面があるのも、正直なところです。ただし、より正確に言うならば、本稿の立場は次の一点に集約されます。

シャドーイングよりも、学習段階に応じて優先すべき、より適切なアプローチが存在する。

本記事では、第二言語習得理論とスピーキングテストの研究を行っている江藤先生と、英語コーチング The Past 代表である私・椿が、それぞれの立場から、シャドーイング学習について科学的根拠に基づいた議論を展開していきます。

※Versantは、実践的な英語力(スピーキング・リスニング)を測定する試験。TOEIC満点者であっても、Versantスコアの平均は約7割程度とされています。

初中級者はシャドーイングをすべきではない

ここからは、江藤先生による記事です。専門用語も多く含まれているため、各章ごとに「かんたん解説」のコーナーを設けています。

記事の執筆者 江藤友佳(Y.E.Dインターナショナル合同会社 CEO)

クレアモントマッケナ大学卒業、コロンビア大学大学院Teachers College修士号取得(英語教授法)。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。その後研修業界へ転職し、多くの教材制作や企業研修、教員研修を担当。楽天で社内公用語英語化に向けた社員教育に従事したのちに独立。現在は教材制作、企業研修、アドバイザリーサービスを提供している。著書に『はじめて受ける VERSANT Speaking and Listening 全パート完全攻略』『ロジカルに伝わる 英語プレゼンテーション』がある。

シャドーイングとは?

シャドーイングは、一見効率的な言語学習法として広く注目されています。学習者が聞いた直後に英語を繰り返すため、発音や話し言葉の流暢さを向上させる近道として推奨されることが多いのですが、実は むやみにシャドーイングをしても、英語力は伸びません

英語学習の効果的な手法を本質的に理解したうえで、限定的にシャドーイングを活用することが特に英語の基礎力を養っている途中の初中級者には大切です。

本記事ではシャドーイングの歴史的起源、内在する認知的負荷、また学習の成果に関する論文などを元に、シャドーイングは多くの日本人にとって、しばしば効果的でないアプローチである理由をご紹介します。

※江藤氏の指す初中級者は、CEFR B2相当(VERSANT 59点以下)。なお、TOEIC900点台のVERSANT平均は52点。

💡 かんたん解説:シャドーイングとは?

聞こえてきた英語をすぐ真似して声に出す練習法で、TOEIC 900未満の基礎力がない状態で続けても英語力はほとんど伸びない。

通訳訓練におけるシャドーイングの起源

img diagram 02

シャドーイングは、言語初心者のためのツールとして、あるいは一般的な学習者向けに生まれたものではありません。

むしろ、言葉のプロとして活躍する同時通訳者の訓練において、プレッシャー下での記憶保持や情報の分割処理速度向上といった認知スキルを強化する手段として登場しました。

1960年代のランバートらによる通訳研究では、シャドーイングはすでにバイリンガルである人の処理負荷について研究するために用いられました。新たに言語を習得するための研究目的はありませんでした。

また、その後、トモラとリンドホルム(1995)も研究を行い、シャドーイングが高度な認知負荷を課すことから、通訳者の精神的持久力を養うには有用であると述べました。その一方で発音力向上などの言語能力向上との関連性については述べていません。

歴史的に、そもそもシャドーイングは発音の正確さや自然な流暢さを養うためのトレーニングとはされてこなかったため、シャドーイングで聴解力の特定の側面を向上させる可能性はあるものの、スピーキング能力開発の主要な指導戦略として扱うべきだとは考えられません。

💡 かんたん解説:通訳訓練におけるシャドーイングの起源

シャドーイングは初心者向けの語学練習ではなく、同時通訳者が高い認知負荷に耐える力を鍛えるために生まれた訓練法で、発音やスピーキング上達を目的としたものではない。

英語の基礎力「発音」の習得

img diagram 03

英語の初中級者がよく悩みとしてあげるのが「早くて聞き取れない」といった音に関する内容です。

最も基本的なスキルとして習得すべきは、音声のルール、発音器官(喉、口、舌、歯など)の位置、文のリズムパターン、プロソディ(イントネーションや強弱)といった、音の学習に意識的に取り組む必要があります。特に日本の学校教育では、音の学習時間が異様に短いので、音を習得せずに英語学習が進んでしまい、取り残されてしまう人が多いのです。

英語の学習をし直す人は、正確な発音練習を行う時間が必要です。シャドーイングはナチュラルスピードの英語を聞いて、すぐに同じように言うため、スピード感が重要で認知負荷が高いことが特徴です。

通訳者が認知負荷を上げてトレーニングを行うことで、日頃の通訳業務を楽にできるようにするための練習法なので、難しいタスクであることは間違いありません。

発音習得に関する研究は一貫して、学習者が特定の音声的特徴に注意を向け、指導付き練習を通じて発音を調整できる場合に上達することを示しています(Saito, 2012)。音に注意を向け、反復、修正に依存する、ゆっくりとした制御された学習プロセスが大切なのです。

しかしシャドーイングでは、学習者は入ってくる音声を処理すると同時に発声を出力する必要があり、音の構造を分析するために利用できる認知資源、つまり脳内の処理負荷が大きく、残っている考える力が制限されてしまいます。

通訳に関する研究では、シャドーイングを行うと、脳内の作業記憶の大部分を消費することがわかっています(Tommola & Lindholm, 1995)。正確に発音を習得するために必要なことを考える余力がなくなるわけですから、学習者は正確な発音ではなくなんとなく似た感じの発話に頼らざるを得なくなり、シャドーイングでの発音は不明瞭になりがちです。

指導者がシャドーイングを聞いて、修正方法などの助言を付加したシャドーイングにおいては限定的な効果を示す研究もあります(Kehoe, 2023)が、その場合においても、学習者が丁寧な指導を明示的に受けた場合にのみ効果があったとされています。つまり、シャドーイング単独のトレーニングを一人で行っていても、英語の音感覚がつかめるようになるために必要な条件を満たしていないのです

💡 かんたん解説:「早くて聞き取れない」はシャドーイングでは解決できない

なぜなら、聞き取れない原因はスピードではなく音の仕組みへの理解不足にあり、同時処理で認知負荷が高いシャドーイングでは音に注意を向けて修正する余力が残らないからです。

発音向上の近道

img diagram 04

Versantの評価指標に発音が入っていますので、発音力の向上はスコアアップを目指す人にとって必要不可欠です。第二言語習得の研究の中には、学習者が正確な発音をどのように発達させるかに特化した研究が多くあります。発音の向上が認められている効果が立証されている方法には以下のような手法があります。

明示的な音声指導

学習者が、有声化、送気、舌の位置、強勢、イントネーションなど、音の物理的な生成方法について直接指導を受けると、発音は向上すると多くの研究で示されています。明示的なトレーニングは、一つ一つの音の正確さと意味のかたまりごとの正確さの両方において測定可能な向上をもたらすのです(Saito, 2012)。

比較や分離指導と集中練習

効果的な発音指導では、例えば日本人には似ているとされる/r/と/l/の比較をし、どのように舌の位置を変えたら良いかや、母音の短縮、強勢のタイミング、連結など、各技能を分離して指導します。これに対しシャドーイングはそもそも言葉のプロの通訳者向けのトレーニングですから、総合型スキルを要します。学習者は全ての要素を同時に瞬時に理解して発話する必要があるため、特に初心者にとっては正確な発音が無理に等しいのです。

よく管理された段階的練習

効果的な発音訓練は発達段階に沿って進めることが効果的とされています。

  1. 音の識別訓練
  2. ゆっくり正確な発声練習
  3. 指導者のフィードバック付き反復練習
  4. 速度と複雑さの漸進的増加(ぜんしんてきぞうか)
  5. 自発的発話課題への移行

シャドーイングはこのプロセスをすべて短縮しているため、学習に必要な段階的な基礎学習を省略する点が特徴です。

💡 かんたん解説:発音向上の近道

「明示的な音声指導 × 各技能の分離練習 × 段階的に難易度を上げる」3つを組み合わせる。シャドーイングはこの段階を飛ばすため、初中級者には機能しない。

修正フィードバックと化石化のリスク

img diagram 05

発音習得にはフィードバックが不可欠です。フィードバックがなければ誤りは定着してしまいます。長年定着してしまった間違いを fossilization「化石化」と言います。化石のように凝り固まってしまい、もう上達はできなくなってしまう状態です。

シャドーイングには間違いを特定し修正するプロセスがありません(Saito, 2012)。そのためfossilizationが起こりやすいという問題点があります。シャドーイングのフィードバック欠如が、母語が英語と大きく異なる学習者にとってもたらす影響は大きく、学習者は新たな音を繰り返し聞き間違えたり誤って発音したりし、その間違いが化石化するリスクが高いとされています。

💡 かんたん解説:化石化(fossilization)とは

誤った音の習慣がフィードバックなく繰り返されると、「自分なりの発音」が脳内に固定化される。一度化石化すると、ゼロから学び直すより修正が難しくなる。

流暢さの錯覚

Versantでは短時間で回答する必要があるため、スコア向上には流暢さをあげることが必要不可欠です。シャドーイングは継続的な発声を含むため、流暢さが高まっているという錯覚を生み出します。学習者はより多く話しているように感じ、上達していると誤解してしまいがちです。

実際には、シャドーイングは自発的に話すときの流暢さをもたらしません。流暢さとは単に真似する速さのことだけではありません。何を話すのかのアイデアを瞬時に思い浮かべ、もっている語彙力と文法力でより複雑な構文を作り、適切なペース配分で発音を落とさずに話す力が求められます。

シャドーイングではお手本音源に続いて急いで話す練習のため、自発的に話す力を育成しません。自発的な発話を練習しなければ、学習者はスピードが向上してもコミュニケーション能力は育ちませんので、シャドーイングが話す指導法として過大評価されている恐れがあると言えます。

Jung(2010)は、学習者がシャドーイング課題中に話す速度は、タスクに慣れるにつれ速くなったものの、その向上は実際の会話には反映されなかったと述べています。同様に、DeaconとMurphey(2021)は、シャドーイングが意味の交渉や情報の詳細化、話の論理的な整合性をとるといったコミュニケーションに必要となる流暢さを語るときに必要不可欠とされるスキルを促進しないと主張しています。つまり、シャドーイングを行う学習者は、反復発話には慣れるかもしれないものの、Versantが測っている総合的なコミュニケーション力の向上にはつながらないのです。シャドーイングが鍛えるのはすぐに反復する力であり、自主的な流暢な発話ではないということです。

結論:シャドーイングは主にリスニングに効果的、スピーキングには不向き

img diagram 06

シャドーイングの最も一貫した効果はリスニング能力の発達に現れます。Hamada(2014)とMu(2025)は、シャドーイングがボトムアップ処理スキル(音素認識や文脈理解など)を向上させることを示しています。つまり意味理解が深まるということです。しかし、これらはVersantで高評価を得るのに大切な発音の改善や流暢さの改善とは異なります。

リスニング力の向上はもちろんVersantのスコアに好影響をもたらしますが、スピーキングのスコアの向上に必要なスピーキング精度を向上させないと、Versantの点数は伸びません。言い方を変えると、シャドーイングは、リスニング能力やスピード感覚を養う補助的な練習としては有用かもしれませんが、発音や流暢さを伸ばすための主要な手段として依存すべき練習法ではありません。

通訳訓練に起源を持つこと、高い認知負荷(脳のパワー)を課すため、きれいな発音などの基本的なことに集中できる余力が残らないこと、修正フィードバックの欠如とfossilizationのリスク、自発的な言語生成を促進しないことなど、これら全てがシャドーイングに依存した学習を避けるべきだと示唆しています。

第二言語習得理論や研究によれば、正確な発音と自然な流暢さを習得するには、明示的な指導、体系的な練習、フィードバック、コミュニケーション練習の方がはるかに効果的とされています。シャドーイングは言語学習において一定の役割を果たすかもしれませんが、慎重に設計されたスピーキング練習カリキュラムの代替とはなり得ないことを認識しましょう。

参考文献

  • Adromi, D. (2023). The effect of using shadowing technique towards students’ speaking skill. Indonesian Journal of English Language Teaching and Applied Linguistics, 7(2), 233–245.
  • Deacon, B., & Murphey, T. (2021). The limits of shadowing for promoting L2 fluency: A classroom investigation. Language Teaching Research, 25(6), 889–908.
  • Hamada, Y. (2014). The effectiveness of pre- and post-shadowing in improving listening comprehension. Journal of Asia TEFL, 11(4), 1–14.
  • Jung, D. (2010). The effect of shadowing on English listening and speaking abilities of Korean middle school students (Master’s thesis). Ewha Womans University.
  • Kehoe, K. (2023). The impact of text-presented shadowing on English pronunciation: An exploratory study (Master’s thesis, Brigham Young University).
  • Mu, Y. (2025). Effects of the shadowing technique on English listening comprehension. English Language Teaching Research Journal, 12(1), 45–59.
  • Saito, K. (2012). Reexamining the role of explicit phonetic instruction in L2 pronunciation development. Studies in Second Language Acquisition, 34(4), 713–743.
  • Tommola, J., & Lindholm, J. (1995). Experimental research on interpreting: Which tasks and why. In J. Tommola (Ed.), Topics in interpreting research (pp. 131–142). University of Turku Press.

椿の主張

記事の執筆者 メイソン(株式会社The Past 代表 / 椿祐輔)

VERSANT満点(90点)、CEFR C2レベルの英語力を有する。フィリピンの語学学校で10年以上にわたりカリキュラムと教材開発に従事し、述べ5,000人以上の多国籍な英語学習者(日本、中国、台湾、ベトナム、ロシア等)の学習をサポート。言語学と音声学に精通しており、現在は株式会社The Pastの代表取締役、カリキュラム開発者として、グローバルな英語教育を推進している。

ここからは、英語教育事業者の視点も交えてご説明します。専門用語はできるだけ避け、できる限り多くの学習者に届くように構成しています。一部、江藤先生の分析と重なる内容もありますが、あらかじめご了承ください。

The Pastの立場を先に表明します。

シャドーイングはリスニング力の向上に一定の効果を示すものの、多くの学習者にとってはより効果的な学習方法が存在します。

「音声知覚の自動化」への誤解

img diagram 07

シャドーイングは「音声知覚の自動化に有効」と説明されることが多くあります。

ここで言う音声知覚の自動化とは、たとえばネイティブが使う省エネ発音(例:「not at all」→「ナラロー」)のような音声の変化を、自然に聞き取れるようになることを指します。

これにより、リスニング時の負荷が下がり、より余裕を持って意味理解に集中できるようになる、というのがよくある説明です。

シャドーイングは「音声知覚の自動化に役立つ」といわれていますが、その根拠となる研究データについて具体的に言及しているケースは、実際にはそれほど多くありません。

この主張の理論的な根拠としてしばしば参照されるのが、門田修平氏の著書『シャドーイングと音読の科学』です。門田氏はシャドーイングの効果を、ミラーニューロンの働きを引きながら次のように説明しています。

提示されたインプットを再現できる能力があり、実際に脳内で再現することがそのインプットの知覚や処理を促進する。

※ミラーニューロンとは、自分自身が行動するときと、他者が同じ行動をするのを観察するときの両方で活動する神経細胞(ニューロン)のことです。

つまり、英語発音の土台があることを前提に効果があると述べているのです。

英語はリズムの言語──日本語リズムでは間違った音の回路が作られる

img diagram 08

シャドーイングとは、音声を聞いて即座に模倣することで音の回路を作る作業ですが、多くの学習者が日本語リズムで模倣を行ってしまっているのが実情です。

江藤先生の説明にあったように、弱形やリズム、イントネーションなど、英語が本来持つ音声特徴を再現できていない状態で繰り返し練習をすると、誤った音の習慣が定着し、結果的に「音の化石化」を招きます。

img diagram 09

週の初めには聞き取れなかった音声が、繰り返しシャドーイングをすることで週の後半には復唱できるようになっている──これは単なる”慣れ”です。翌週、新しい音声に挑戦したとき、また全く聞こえなくなる経験をした方も多いはずです。

シャドーイングは非常に認知負荷の高いアウトプットです。そのため、多くの学習者は無意識に「自分なりの発音」で模倣してしまい、その誤りを自動化してしまうリスクがあります。

いやいや、私はオーバーラッピングをその前にしているから大丈夫

そう考える方もいるかもしれませんが、The PastのVersant対策プログラムに参加された学習者(TOEIC600点から990点満点、CEFR C1レベル相当まで)を見ても、初回から英語リズムを正確に再現できている方はこれまで一人もいません。

私自身、Versantで総合スコア90点を取得していますが、発音・流暢さ・明瞭さのスコアは満点ではありません。ネイティブ特有の音声では、今もなお聞き取りづらい箇所が残っています。

さて、最後にもう一度問います。あなたに必要なのは本当にシャドーイングでしょうか? それとも、先に述べたような効果的な発音練習でしょうか?

The Pastが推奨する5ステップ

img diagram 10

必要なのはシャドーイングではなく、音を段階的に内在化するプロセスです。The Pastでは以下の5ステップを推奨しています。

Step 1:語彙・意味の理解

素材の語彙と意味を先に把握します。意味が分からない状態で音声を聞いても、脳は音の処理に集中できません。内容理解が先にある状態でのみ、音に意識を向けられます。

Step 2:音声変化の理解

ネイティブスピーカーが使う音声変化のルールを把握します。

  • リダクション:強勢のない音節が弱く短くなる(例:「can」→ /kən/)
  • リンキング:語末の子音と語頭の母音がつながる(例:「not at all」→「ノラロー」)
  • フラッピング:/t/ が /d/ に近い音に変化する(例:「water」→「ウォーダー」)

これらのルールを知らずに模倣しても、「なぜそう聞こえるのか」が分からないままになります。音声変化を理解してからオーバーラッピングに進むことで、模倣の精度が根本的に変わります。

Step 3:オーバーラッピング(スクリプトあり)

スクリプトを見ながら、音声に重ねて発話します。目的は速さではなく、リズム・強弱・イントネーションを身体に入れることです。

進級条件:スクリプトを見ずに、同じリズムでスラスラと再現できること。

この条件を満たさないままリピーティングに進んでも、日本語リズムの模倣が定着するだけです。

Step 4:リピーティング(スクリプトなし)

音声を聞いて、止めて、スクリプトなしで再現します。

ここで重要なのは録音して聞き比べることです。自分が「出せている」と思っている音と、実際に録音された音は異なります。自分の声と見本音声を並べて聞くことで、初めて誤りに気づけます。フィードバックなしのリピーティングは、誤りの自動化につながります。

Step 5:シャドーイング(CEFR B2以上の方のみ)

音声を聞きながら、即時に追って発話します。Steps 1〜4を経て、英語のリズムと音声変化が身体に入った状態でのみ、シャドーイングは有効に機能します。

B2未満の段階でシャドーイングに進むと、日本語リズムの模倣を繰り返すことになり、誤った音の習慣が自動化されます。シャドーイングは出口ではなく、基礎が整った後の負荷トレーニングです。

まとめ

本記事の要点は以下の通りです。

  1. シャドーイングは通訳者向けの訓練として開発されたもので、初中級者の主軸学習法ではない
  2. 認知負荷の高さ・フィードバック欠如により、誤った発音が化石化(fossilization)するリスクがある
  3. 自発的な流暢さは、シャドーイングでは身につかない
  4. リスニング力(特にボトムアップ処理)には一定の効果が認められる
  5. 初中級者は明示的な音声指導・分離指導・段階的練習・修正フィードバックを優先すべき

シャドーイングは万能でも無意味でもありません。学習段階と目的を見極めた上で、適切な位置づけで活用してください。

eBookプレゼント

LINEに登録して「シャドーイング」とメッセージを送ると、The PastのeBook『シャドーイングを今すぐ捨てよ』をプレゼントします。3ヶ月でVERSANT平均+12点を実現したThe Pastのメソッドを全公開しています(2026年1月度独自調べ)。

👉 LINE登録はこちら

英語シャドーイングの正しい進め方を確認したい方は、こちらの記事もおすすめです:英語シャドーイングの正しいやり方|「守破離の守」から始める5ステップ。研究からの効果検証は英語シャドーイングの効果を研究から検証|効く人・効かない人の条件で詳しく解説しています。