TOEFLスピーキング採点基準|新形式2タスクのルーブリックを一次情報で読み解く(Listen and Repeat/Take an Interview)

MBA・海外大学院の出願要件で「Speaking 25」を求められた社会人が、スコアレポートの Speaking 欄に「4」とあっても、それが 0〜30 の何点にあたり、要件に届いているのかはレポートだけでは読めません。さらに 2026年1月21日実施分から Speaking は Listen and Repeat と Take an Interview の2タスクに変わり、採点基準(評価基準)も作り直されました。検索で出てくる「0〜4 点×4問を 30 点に換算する」解説は旧形式のものです。

この記事では、ETS が公開している新形式の Speaking Scoring Guide(採点基準・評価基準)を、2タスクそれぞれについて「何を見られているか」「何を直せば1段階上がるか」に翻訳し、1〜6 バンドと 0〜30・CEFR の対応を ETS の表から転記します。数値と基準はすべて ETS と TOEFL 日本事務局の一次情報から取り、公式に記載のないものは書いていません。練習の手順は対になる「TOEFLスピーキング対策」が担当します。

結論|新形式のSpeakingは1〜6バンド方式。公式スコアガイド(評価基準)が観点を公開している

採点の骨格は3点です。

  1. 報告スケールは 0〜30 ではなく 1〜6(0.5 刻み)。 素点は Listen and Repeat 7問×0〜5 点+Take an Interview 4問×0〜5 点=0〜55 点で、これをバンドに変換します。
  2. 採点基準は2タスクそれぞれに専用のものがあります。 どちらも 0〜5 の6段階です。
  3. 採点は ETS の自動採点エンジン(AI)と人間の採点者の併用です。 比率は公開されていません。

バンドと 0〜30、CEFR の対応は次のとおりです(ETS「A banded score scale for the TOEFL iBT test」Table 6・7 および TOEFL 日本事務局「採点方法」ページから転記)。

バンドCEFRSpeaking 0〜30(参考値)総合 0〜120(参考値)
6C228〜30114以上
5.5C127107以上
5C125〜2695以上
4.5B223〜2486以上
4B220〜2272以上
3.5B118〜1958以上
3B116〜1744以上
2.5A213〜1534以上
2A210〜1224以上
1.5A15〜912以上
1A10〜40以上

この表は「換算」ではなく「参考値」です。ETS は、旧 0〜30 と新バンドそれぞれの CEFR 閾値を介して間接的に対応づけたと説明しています。要件が旧スケールの「Speaking 25」ならバンド 5(C1)、「Speaking 20」ならバンド 4(B2)にあたります。

採点基準を読む目的は、自分の回答が 0〜5 のどの段階に落ちているかを2タスク別に特定し、次の段階に上がるために何を直すかを決めることです。

新形式の採点は11問×0〜5点を1〜6バンドに換算することを示した図

2026年1月の改訂で採点はどう変わったのか|旧形式との違い

旧形式(2026年1月20日まで)は、Independent 1問と Integrated 3問の計4タスクを各 0〜4 点で採点し、0〜30 に換算していました。採点基準も Independent 用・Integrated 用の2枚で、Delivery/Language Use/Topic Development という観点列を持っていました。「4点×4問」「Delivery」は、この旧形式の用語です。

新形式では、11問・各 0〜5 点(合計 0〜55 点)を 1〜6 バンドで報告し、採点基準は Listen and Repeat 用と Take an Interview 用に分かれました。見落とされやすいのは、新形式には観点の列がなく、各スコアに「Score/Description」の1列、つまり「典型的な回答はこういう特徴を示す」という箇条書きがあるだけです。したがって「Delivery が何点」と読むのは誤りで、1問ごとに回答全体を 0〜5 のどれかに置く採点です。

なお ETS は 2026年1月から 2028年1月までの2年間、スコアレポートの総合スコアに 1〜6 と 0〜120 の参考値を併記すると案内していますが、これは表示の併記期間であって、旧形式の試験を並行して実施するという記載は ETS・ETS Japan にありません。

Listen and Repeatの採点観点|公式スコアガイドを観点ごとに翻訳

Listen and Repeat は、短い文を聞いたとおりに正確に繰り返すタスクです。ETS はこのタスクが測るものを「accurate repetition」と「clearly intelligible」という語で説明しています(TOEFL iBT Technical Manual, 2025)。公式 Scoring Guide(Listen and Repeat, 2025)の 0〜5 を要旨で整理します。

スコアDescription の要旨(本記事の要約)
5提示文を完全に再現し、全体が明瞭に聞き取れる
4意味は保たれているが完全一致ではない。機能語1〜2語の欠落、内容語の類義語への置き換え、時制・数の標識の誤り、2語の順序の入れ替え、発音が曖昧な語が1〜2語、言い直しがある
3ほぼ全文を言っているが、原文の意味を正確には捉えていない。内容語の大半は含むが、機能語を複数変えている、内容語の欠落や変更がある、聞き取りにくさで意味が取りにくい箇所がある
2大きな欠落があるか、大部分が不正確。前半だけ言って止まる、最後の数語だけ言う、文として成り立っていない
1ごく一部しか言えていない、またはほとんど聞き取れない
0無回答、英語でない、提示文と無関係

ここで理解したいのは、4 と 5 を分けるのは「意味が合っているか」ではない点です。4 は意味が保たれた回答で、それでも 5 にならないのは、機能語の欠落や時制の標識の誤りといった意味を変えない小さなずれが残っているからです。原文との一致度そのものが段階を決めます。

何を直せば1段階上がるか

Technical Manual は、自動採点エンジンがこのタスクで見る特徴を Fluency・Intelligibility・Repeat accuracy の3つに分けています(同 Table 5)。この3つを軸に、直す対象を段階ごとに並べ替えます(本記事の整理)。

段階落ちている観点直す対象
2→3Repeat accuracy(再現の範囲)文の前半で止まらない。文全体を1つのまとまりとして保持する
3→4Repeat accuracy(内容語)+Intelligibility名詞・動詞・形容詞を落とさない、別の語に変えない。聞き取りにくい語をなくす
4→5Repeat accuracy(機能語・語形・語順)+Fluency+Intelligibility(残る1〜2語の曖昧さ)冠詞・前置詞・時制・複数形・語順のずれをゼロにする。言い直しをしない

4 で止まっている人が「もっと長く保持する練習」をしても段階は動きません。

5・4・3 の差を1文で見る(書き下ろし・訳つき。ETS の公式サンプルではありません)

提示文

The registration desk on the second floor will be closed for renovations until the end of next month.

(2階の受付は、来月末まで改修のため閉鎖されます)

4 にあたる回答

The registration desk on second floor will be closed for renovation until the end of next month.

意味は保たれているが、冠詞 the が1箇所欠け、renovations が単数になっている。機能語の欠落と数の標識の誤りは、4 の記述そのものです。

3 にあたる回答

The registration desk on the second floor is closed… until next month.

renovations が落ち、will be が is に変わり、the end of が消えている。内容語の欠落と機能語複数の変更で、原文の意味を正確には捉えていない。

この差は「意味が通ったか」を基準にしていると見えません。1文を聞いて止め、正確に反復する Listen & Repeat を書き起こしと照合しながら行う理由がここにあります(手順は「TOEFLスピーキング対策」)。

Listen and Repeatの5点・4点・3点を分ける基準を示した図

Take an Interviewの採点観点|公式スコアガイドを観点ごとに翻訳

Take an Interview は、録音されたインタビュアーの質問に答える模擬インタビューです。公式 Scoring Guide(Take an Interview, 2025)の 0〜5 は、段階の名前と Description で構成されています。

スコアDescription の要旨(本記事の要約)
5「fully successful」。質問に的確に答え、十分に展開している。会話の速さで、間は自然。発音・リズム・イントネーションが意味を伝えている。文法と語彙の幅があり、意味が正確
4「generally successful」。文と文をつなぐ表現を欠くことがある
3「partially successful」
2「mostly unsuccessful」
1「unsuccessful」
0無回答、英語でない、質問と無関係

段階 1〜3 の詳しい特徴は、公式 Scoring Guide の Description を参照してください(本記事で段階別に確認できたのは 0・4・5 のみです)。

Description は1列ですが、各段階で同じ4要素が言い換えられています。本記事ではこれを ①話題への適合と展開/②速さと間/③聞き取りやすさ/④文法・語彙の幅と正確さ に分けて読みます(公式の観点名ではなく本記事の整理)。

ここで重要なのは、4 と 5 を分ける記述のうち最も見落とされやすいのが「文と文をつなぐ表現」である点です。質問に答えられ、根拠も言える。5 にならないのは、文が並んでいるだけで、because・so のような関係を示す語で結ばれていないからです。

何を直せば1段階上がるか

段階落ちている要素(本記事の整理)直す対象
2→3①適合と展開質問の語を繰り返して終わらない。答え+理由を1つ、必ず言う
3→4②速さと間・④幅と正確さ言葉を探す間とつなぎ言葉を減らす。使う語彙と構文の精度を上げる
4→5①展開の質・③聞き取りやすさ文と文を接続表現で結ぶ。語の強勢と文のイントネーションで意味を伝える
4 と 5 の差を1問で見る(書き下ろし・訳つき。ETS の公式サンプルではありません)

質問

Why do you want to take part in this research project?

(なぜこの研究プロジェクトに参加したいのですか)

4 にあたる回答

I want to join this project. I am interested in how companies use data. I work in marketing. I analyze customer data every day.

(このプロジェクトに参加したいです。企業がどうデータを使うかに関心があります。マーケティングの仕事をしています。毎日顧客データを分析しています)

質問に答え、経験も言えているが、4つの文が並んでいるだけで関係が示されていない。4 の「つなぐ表現を欠く」状態です。

5 にあたる回答

I want to join this project because it focuses on how companies use data, which is exactly what I deal with at work. I’m in marketing, so I analyze customer data every day, but mostly with basic methods, and I’d like to learn more advanced ones.

(企業がどうデータを使うかに焦点を当てているからこのプロジェクトに参加したいのですが、それはまさに私が仕事で扱っていることです。マーケティング担当なので毎日顧客データを分析していますが、ほぼ基本的な手法だけなので、より高度な手法を学びたいのです)

土台は 4 と同じ。because・which・so・but で文を結び、最後に「学びたいこと」を1句足した点が違いです。

練習は、質問への即答を「結論+理由+接続」の形で繰り返すことが軸です。練習問題は「TOEFLスピーキング対策」を参照してください。

VERSANTの採点との対応|Listen and Repeatは復唱採点と同じ観点で読める

Listen and Repeat は VERSANT の Part B(文の復唱)と同じ形をしており、Technical Manual は elicited imitation(誘導模倣)の研究を参照して、このタスクを説明しています。VERSANT を受けたことがある人は、Part B で沈んだサブスコアから落ちる段階を予測できます。

ETS の自動採点が見る特徴VERSANT Part B で対応するもの落ちる段階
Repeat accuracy(正しく復唱した語数・原文との類似度)原文の再現率(文章構文=Sentence Mastery のサブスコア。The Past では文構築と呼ぶ)2→3、3→4
Intelligibility(発音・リズム・プロソディ)発音のサブスコア3→4、4→5
Fluency(発話速度・途切れない区間・ポーズと言いよどみの数)流暢さのサブスコア4→5

(ETS 側は Technical Manual Table 5 による。VERSANT 側は The Past の整理)

文構築が低い人は Listen and Repeat で 3 以下、文構築が高く発音だけ低い人は 4 で止まる、という読み方ができます。ただし対応するのは「何が見られるか」であって、点数の換算ではありません。復唱がどの工程で崩れるかの分解と練習は「Versant Part B完全攻略」が本体です。

Listen and RepeatとVERSANT Part Bの採点観点の対応図

1〜6バンドと目標スコアの目安|自分の今の位置を確認する

冒頭の対応表に戻り、スコアレポートを3手順で読みます。

1. バンドを CEFR に置く。 4〜4.5 なら B2、5〜5.5 なら C1 です。

2. 要件が旧スケールなら参考値で読み替える。 ETS が挙げる総合の読み替えは旧 100→5、90→4.5、80→4、70→3.5 です。

3. あと 0.5〜1 バンドの差を、2タスクの段階に翻訳する。 素点からバンドへの変換は ETS が統計的な対応づけで行っています。弊社が確認した公式資料の範囲では、素点からバンドへの対応表は見つかりませんでした。「あと何点で 4.5」という計算はできないので、自分の回答が Listen and Repeat で 3 と 4 のどちらに多く落ちているか、Take an Interview で「つなぐ表現の欠如」に当てはまるかを、前2節の Description に照らして判定します。1問ごとの段階を1つ上げることが、バンドを上げる唯一の経路です。

TOEIC や英検、IELTS のスコアからの目安は「IELTS換算表」を参照してください。

よくある質問

Q. 採点は AI だけで行われるのですか?

A. 自動採点エンジンと人間の採点者の併用です。自動採点は人間の採点データを基準に学習し、判断に迷う回答は人間が採点し、回答の一部は定期的に人間が再確認します。比率は公開されていません。

Q. IELTS のスピーキング評価基準とはどう違いますか?

A. IELTS は4つの基準を独立して採点し平均しますが、TOEFL の新形式は1問ごとに回答全体を 0〜5 に置き、観点別の点は出ません。IELTS 側は「IELTSスピーキング評価基準」、選び方は「IELTSとTOEFLの違い」を参照してください。

まとめ|新形式は1〜6バンド。観点を知れば直す場所が分かる

新形式の TOEFL Speaking は、11問を各 0〜5 点で採点し、合計を 1〜6 のバンドで報告します。採点基準は2タスク別で、段階ごとの Description だけで構成されています。Listen and Repeat の 4 と 5 を分けるのは意味ではなく機能語・語形・語順の正確さ、Take an Interview の 4 と 5 を分けるのは接続表現と聞き取りやすさです。

バンドを上げる経路は、1問ごとの段階を1つ上げること以外にありません。まず、自分の回答が2タスクそれぞれでどの段階に当てはまるかを確定してください。段階を取り違えた練習は、量をこなすほど遠回りになります。

自分の回答がどの段階に落ちているか確定したい方へ

録音を聞き返しても、Listen and Repeat の 3 と 4、Take an Interview の 4 と 5 の差は自分では判定しづらいものです。The Past の公式LINEでは、スピーキングを採点基準に照らして立て直すための学習情報と特典をお届けしています。まず友だち追加から始めてください。

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参考情報・出典

いずれも 2026年9月5日確認。

  • ETS「Speaking Scoring Guide」(2025)https://www.ets.org/pdfs/toefl/speaking-rubrics.pdf
  • ETS「TOEFL iBT Technical Manual」(RR-25-12・2025年10月)https://rr.ets.org/index.php/etsrr/article/view/28
  • ETS「A banded score scale for the TOEFL iBT test」(2026年4月)https://www.ets.org/content/dam/ets-org/pdfs/toefl/score-scale-update-2026.pdf
  • ETS「Compare Scores」https://www.ets.org/toefl/score-users/ibt/compare-scores.html
  • ETS「Speaking Section」https://www.ets.org/toefl/test-takers/ibt/about/content/speaking.html
  • TOEFL iBT 日本事務局「採点方法」https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/understand-scores.html
  • TOEFL iBT 日本事務局「2026年1月改訂」https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/202601/
  • TOEFL iBT 日本事務局「よくある質問」https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/faq1.html

記事の執筆者 メイソン(株式会社The Past 代表 / 椿祐輔)

VERSANT満点(90点)、CEFR C2レベルの英語力を有する。フィリピンの語学学校で10年以上にわたりカリキュラムと教材開発に従事し、述べ5,000人以上の多国籍な英語学習者(日本、中国、台湾、ベトナム、ロシア等)の学習をサポート。言語学と音声学に精通しており、現在は株式会社The Pastの代表取締役、カリキュラム開発者として、グローバルな英語教育を推進している。