GeminiとNotebookLMで英語学習はできるか|ChatGPTとの使い分け

記事の執筆者 メイソン(株式会社The Past 代表 / 椿祐輔)

VERSANT満点(90点)、CEFR C2レベルの英語力を有する。フィリピンの語学学校で10年以上にわたりカリキュラムと教材開発に従事し、述べ5,000人以上の多国籍な英語学習者(日本、中国、台湾、ベトナム、ロシア等)の学習をサポート。言語学と音声学に精通しており、現在は株式会社The Pastの代表取締役、カリキュラム開発者として、グローバルな英語教育を推進している。

英語学習にAIを使うとき、最初に選ばれるのはChatGPTです。情報も多く、迷いません。

一方で、GeminiやNotebookLMを試した人からは「何に使えばいいのか分からない」という声が返ってきます。チャットで英会話をさせると、ChatGPTと大差ないように見えるためです。

同じ使い方をすれば、差は出ません。この3つは、得意な工程が違います。

この記事では、英語学習を工程に分解したうえで、どの工程にどのツールを割り当てるべきかを示します。ツールの機能比較ではなく、学習設計としての使い分けです。

本記事の各ツールの仕様に関する記述は2026年8月時点のものです。AIツールの機能は更新が速いため、細部は各公式情報で確認してください。ただし本記事の使い分けは設計思想の違いに基づいており、細かな機能追加では変わりません。

結論:3つは競合しない。担当する工程が違う

先に結論です。英語学習を工程で切ると、割り当てはこうなります。

ツール 設計思想 英語学習で任せる工程
NotebookLM 自分が渡した資料の中だけで答える 教材を作る工程(長文資料の整理・要点抽出・疑問の解消)
Gemini 音声を含めた対話をリアルタイムで返す 口に出す工程の一歩手前(言いたいことを英語にする速度を上げる)
ChatGPT 汎用の生成・添削 書いたものを直す工程(添削・言い換え・基準に沿った判定)
NotebookLM・Gemini・ChatGPTの設計思想と任せる工程を3列で比較した図

この割り当ての根拠は、それぞれのツールが「何を根拠に答えているか」が違うことにあります。ここを理解すると、使い分けは自動的に決まります。

NotebookLMが向いていること|出典に縛られるという性質

なぜNotebookLMは「教材づくり」に向くのか

NotebookLMは、自分がアップロードした資料の中からしか答えません。これは制約ですが、英語学習では利点になります。

一般的なチャットAIに「この英文の要点は?」と聞くと、モデルが持っている一般知識で補って答えます。もっともらしい要点が返ってきますが、その要点が本当に原文に書いてあるとは限りません。

学習では、これが致命的です。原文に無いことを要点として覚えると、次に同じ文章を読んだときに読み違えます。

NotebookLMは出典に紐づけて答えるため、「本当にそこに書いてあるか」を確認しながら読めます。教材として使うなら、この性質が効きます。

英語学習での具体的な使い方3つ

① 長文の英語資料を、読む前に構造化する

英語の記事・レポート・マニュアルを読む前に、NotebookLMに入れて「この文書の主張と、それを支える根拠を分けて」と聞きます。

これは答えを先に見る行為ではありません。構造を先に持ってから読むという手順です。構造が分かっている状態で読むと、意味理解に使う負荷が下がり、語彙と表現に注意を向ける余裕が生まれます。

要約の作り方そのものは英語の要約のやり方で扱っています。自分で要約する練習と、AIに構造を出させる作業は別物です。混同しないでください。

② 分からなかった箇所を、出典に当てて確認する

読んでいて意味が取れなかった段落を、そのまま貼って「この文は何を言っているか、文書内の他の箇所と関連づけて説明して」と聞きます。

一般的なAIに聞くと、一般論で説明されます。NotebookLMは同じ文書内の記述を引いて説明するため、その文書の文脈での意味が返ってきます。専門文書ではこの差が大きくなります。

③ 自分用の語彙リストを、文脈つきで作る

「この文書で使われている、ビジネス文書に特有の動詞と前置詞の組み合わせを、使われている文ごと抜き出して」と指示します。

単語帳との違いは、その文書の中で実際に使われた形で出てくることです。語彙は単独では定着しません。チャンク(意味のかたまり)として覚える必要があります。この考え方はビジネス英語の単語をチャンクで覚えるで詳しく扱っています。

音声要約(Audio Overview)の使いどころと限界

NotebookLMには、資料の内容を対話形式の音声にまとめる機能があります。英語学習の素材として期待されがちですが、使える範囲は限定されます。

使える:内容を先に頭に入れる目的。移動中に聞き、文書を読む前の下地を作る。

使えない:発音やリズムの手本として使うこと。理由は3つです。

  1. 速度と語彙が制御できない — 学習レベルに合わせられません
  2. スクリプトとの厳密な対応が取りにくい — 音と文字を突き合わせる練習には、対応が取れているスクリプトが必要です
  3. 生成のたびに内容が変わる — 同じ素材を繰り返す練習に向きません

手本音声として使うなら、スクリプトと1対1で対応し、同じものを何度でも再生できる音源が要ります。音声要約はこの条件を満たしません。内容を頭に入れる用途に限定してください。

Geminiが向いていること|音声の往復を速くする

音声のやり取りは「文章化の速度」を鍛える

Geminiは音声での対話に対応しています(Gemini Live)。ここで鍛えられるのは、The Past のスピーキング3ステップでいう「文章化」の工程です。

スピーキングは3段階で処理されます。

  1. 概念化 — 何を言うかを決める
  2. 文章化 — それを英語の文にする
  3. 音声化 — 実際に口を動かして音にする

音声で対話すると、②の文章化に時間制限がかかります。テキストチャットでは、考えて、書き直して、送れます。音声では止まると沈黙になります。この圧力が、文章化の自動化を進めます。

「言いたいことが英語にならない」という詰まりは、この工程の速度不足です。ここに負荷をかけられるのは、音声対話の明確な利点です。

Geminiに期待してはいけないこと

発音の判定です。

AIとの音声対話では、こちらの発話が認識されて会話が続きます。続いたことは、通じたことを意味しません。音声認識は文脈から補正するため、学習者の発音に対してかなり寛容です。

rightlight を取り違えて発音しても、文脈が明確なら認識されます。会話は成立し、間違いは指摘されません。指摘されないまま繰り返すと、その発音で固定されます。

「AIと毎日話しているのに通じるようにならない」という状態は、この構造から生まれます。詳しくはAI英会話に効果はあるのかで分解しています。

Googleドキュメントとの連携は、業務学習で効く

Geminiは、Googleドキュメントやスプレッドシート上の英文を直接扱えます。自分の業務で実際に使う英文を素材にできる点は、学習設計として有利です。

学習素材が業務と離れているほど、定着は遅くなります。扱う語彙が業務で再登場しないためです。

ChatGPTを残す領域

上の2つに寄せても、ChatGPTが有利な工程は残ります。自分が書いた英文を、基準に沿って判定させる工程です。

添削は、出典に縛られていては成り立ちません。モデルが持っている広い言語知識を使って、「この言い方は自然か」「この語は硬すぎないか」を判定させる作業だからです。ここはNotebookLMの設計と合いません。

ただし、添削は「自然にして」と頼むと基準が曖昧になります。採点基準を埋め込むプロンプトと検証手順はChatGPTの英語添削は信用してよいかにまとめています。

会話練習としての使い方はChatGPTで英会話練習はできるのかを参照してください。

使い分けの判断表

いまの詰まりから使うツールを逆引きする表。発音だけはどれでも解決しないことを示す

自分の課題から逆引きすると、こうなります。

いまの詰まり 使うツール やること
英語の資料が読み切れない NotebookLM 構造を先に出してから読む
専門文書の意味が取れない NotebookLM 該当箇所を文書内の文脈で説明させる
言いたいことが英語にならない Gemini(音声) 時間制限のある対話で文章化を回す
業務の英文でつまずく Gemini Googleドキュメント上の実素材で扱う
書いた英文に自信がない ChatGPT 基準を渡して判定させる
発音が通じない どれでもない 人の指導、または自分の音を録って比較する

最後の行が重要です。発音は、3つのどれでも解決しません。

3つとも代替できないもの|音声化の工程

AIツールを何に使うかを決めるとき、AIが担当できない工程を先に確認するほうが安全です。

音声化(実際に口を動かして音にする工程)は、AIでは鍛えにくい領域です。理由は前述のとおり、判定が「認識できたか」の粗い基準にしかならないためです。

そして、ここでよく提案されるのがシャドーイングです。The Past は、シャドーイングを初中級者の主軸として勧めていません。聞きながら同時に発話する負荷が高く、音に注意を向ける余力が残らないためです。フィードバックがない独学では、誤った発音のまま固定されるリスクも上がります(シャドーイングは意味ない?)。

代わりに使うのは、スクリプトを見ながら同時に読むオーバーラッピングと、1チャンク聞いて止めて正確に返すListen & Repeatです。どちらも、音に注意を向ける余力が残ります。具体的な進め方は英語発音の練習法にまとめています。

記事内トレーニング|英語記事を10分で教材にする

NotebookLMを使って、英語の記事1本を自分用の教材に変える手順です。実際にやってみてください。

① 記事を1本入れる(1分)

自分の業務や関心に近い英語記事を選びます。長さは1,000語程度で十分です。

② 構造を出させる(2分)

この文書の主張と、それを支える根拠を分けて日本語で示してください。 根拠については、原文のどの文に書かれているかを引用してください。

③ 語彙を文ごと抜く(2分)

この文書から、日本語話者が自力では使いにくい動詞+前置詞の組み合わせを 10個、使われている文をそのまま添えて抜き出してください。

④ 原文を読む(5分)

②と③を手元に置いた状態で、原文を通しで読みます。構造と語彙が先にあるので、読解の負荷が下がっているはずです。

この手順の要点は、AIに読ませて終わりにしていないことです。AIがやったのは準備で、読むのは自分です。読まなければ、読む速度は上がりません。

どのツールを使っても、出てきた訳文をそのまま信じてよいわけではありません。検証の視点は生成AI翻訳はどこで間違えるか|訳文を検証する3つの視点にまとめています。

まとめ

GeminiとNotebookLMで英語学習はできるか。工程を割り当てれば、できます。

  • NotebookLM:出典に縛られる設計。教材を作る工程に使う。音声要約は下地作りには使えるが、発音の手本には使えない
  • Gemini:音声の往復で文章化の速度を鍛える。ただし発音は判定できない
  • ChatGPT:書いた英文を基準に沿って判定させる工程に使う
  • どれも担当できないのは音声化。ここは人の指導か、自分の音を録って比較する工程が要る

「ChatGPT以外に何を使うべきか」という問いへの答えは、別のチャットAIを探すことではありません。自分の学習工程のうち、どこが空いているかを見ることです。空いている工程が分かれば、道具は決まります。

自分の学習工程のどこが空いているか、知りたい方へ

ツールを増やしても学習が進まないとき、原因は自分がどの工程で詰まっているかを特定できていないことにあります。

「聞き取れない」と感じている人の課題が、実際には音声化(自分が音を作れない)側にある、という取り違えは頻繁に起こります。この場合、リスニング教材を増やしても改善しません。

The Past の無料eBook『シャドーイングを今すぐ捨てよ』(LINE登録)では、英語力を能力単位に分解し、効かない練習に時間を使わないための考え方を構造で解説しています。

無料eBook『シャドーイングを今すぐ捨てよ』を受け取る

FAQ

Q. NotebookLMは無料で英語学習に使えますか?

A. 無料の範囲でも、この記事で挙げた3つの使い方(構造化・文脈での説明・語彙抽出)は実行できます。アップロードできる資料数や生成回数に上限があるため、1つのノートに教材をまとめる運用が現実的です。上限や提供形態は変更されるため、最新の条件は公式の案内で確認してください。

Q. Geminiで英会話の練習をするのと、AI英会話サービスを使うのは何が違いますか?

A. AI英会話サービスは、教材・レベル設定・進行が設計されています。Geminiは汎用ツールなので、自分で負荷を設計する必要があります。負荷を自分で決められる人には自由度が利点になり、決められない人には「毎回同じ話をして終わる」原因になります。

Q. 結局、ChatGPTだけでも足りますか?

A. 添削と会話練習だけなら足ります。長い英語資料を扱う場面が多い人は、出典に縛られるNotebookLMを足す価値があります。一般知識で補完されない、という差が効いてきます。

Q. NotebookLMの音声要約をシャドーイングの素材にしてもよいですか?

A. 勧めません。理由は2つあります。①スクリプトと1対1で対応する音源でないため、音と文字を突き合わせる練習にならない。②そもそもシャドーイングは初中級者の主軸に置く練習ではありません(シャドーイングは意味ない?)。オーバーラッピングやListen & Repeatを、対応の取れた素材で行ってください。

Q. AIを使うと、自分で考えなくなりませんか?

A. 工程を渡しすぎると、そうなります。この記事の割り当てで自分に残しているのは「読む」「口に出す」の2つです。この2つを渡した時点で、学習は止まります。準備を渡し、実行は渡さない。この線を守ってください。

参考情報

  • 本記事の各ツールの仕様は2026年8月時点のものです。機能は更新されるため、細部は各公式情報を確認してください
  • スピーキングの3工程(概念化・文章化・音声化)の分解は 英語が口から出てこない理由 を参照
  • AI英会話全般の効果と限界は AI英会話に効果はあるのか にまとめています