IELTS Writing Task 2の書き方|スコア7.0へ導く4段落テンプレートと論理展開
テンプレートは知っている。各段落に入れる文も、使える表現も覚えた。それでも IELTS Writing が6.0で止まる。この記事は、その状態を抜け出すための記事です。
先に結論を書きます。型を覚えても伸びないのは、テンプレートが採点基準と切り離されているからです。 4段落で書くこと自体は正しい。けれど多くの解説は「この型で書きましょう」と提示するだけで、「なぜその段落をそう書くと、採点上スコアが出るのか」を説明しません。結果として読者は、自分の答案が採点者からどう見られているかが分からないまま、型を埋め続けることになります。
Task 2 は4つの採点基準で測られます。Task Response(TR)、Coherence and Cohesion(CC)、Lexical Resource(LR)、Grammatical Range and Accuracy(GRA)の4つで、それぞれが25%ずつの重みを持ちます(IELTS Writing Key Assessment Criteria)。6.0で止まっている答案の多くは、英語力そのものが足りないのではなく、この4基準のどこで減点されているかが見えていないだけです。とくに差がつきやすいのが TR と CC の2つです。
この記事では、テンプレートを「暗記する枠」ではなく「採点基準を満たす機能ブロック」として定義し直します。順序は、採点基準の理解 → よくある失敗 → 設問タイプの判定 → 4段落の設計 → 記事内トレーニングです。読み終えるころには、自分の答案を TR と CC の観点で点検できるようになります。
テンプレートは採点基準から逆算して設計する
最初に、この記事の核心を述べます。7.0に届く書き方の核心は、4段落の各ブロックを「Task Response と Coherence and Cohesion の要求を満たす機能」として書くことです。
理由はシンプルです。採点官が評価しているのは「型を埋めたかどうか」ではありません。「設問に答えたか(TR)」「論理が順序立っているか、関係が適切に示されているか(CC)」です。4段落構成は、この採点要求を満たすための器にすぎません。器の形だけ真似ても、中身が採点基準を満たしていなければスコアは出ません。
そしてもう一つ、型を覚える前にやるべきことがあります。設問タイプを判定して、立場を取ることです。 これが型より先に来ます。なぜなら、設問タイプによって TR が要求する「答え方」が変わるからです。同じ4段落でも、Opinion 型と Discussion 型では立場の取り方が逆を向きます。ここを取り違えると、どれだけ綺麗な型に流し込んでも TR が頭打ちになります。
補足しておくと、Task 2 は4段落構成が標準解です(5段落も許容されますが、3段落や6段落は推奨されません)。そして Conclusion を省略すると、Task Response は Band 6 が上限でロックされます。 結論で立場を閉じることが、TR の要求の一部だからです。この前提を踏まえて、まず採点基準そのものを分解します。
採点4基準を理解する(特に Task Response と Coherence and Cohesion)
Task 2 は、Task Response / Coherence and Cohesion / Lexical Resource / Grammatical Range and Accuracy の4基準で採点されます。4基準は独立して評価され、その平均でタスクスコアが決まります。 各基準が同じ25%の重みを持つため、どれか1つを完璧にしても、他が弱ければ平均は上がりません(IELTS Writing Key Assessment Criteria)。
つまり「TR と CC だけ直せば7.0」という単純な話ではありません。ただし、6.0前後で止まる答案で最も差がつきやすいのが TR と CC であることも事実です。この記事は TR と CC を能力単位で分解し、LR と GRA は閾値だけを示します(LR / GRA の深掘りは別記事の範囲とします)。

Task Response とは何を測るか
Task Response が見ているのは、ひとことで言えば「立場の形成と展開」です。公式記述子では、受験者は設問に対して立場(position)を formulate し、develop することが求められます(IELTS Key Assessment Criteria, Task 2 TR)。具体的には、①どれだけ十分に設問に答えているか、②主要なアイデアがどれだけ展開・裏付けされているか、③アイデアが設問にどれだけ関連しているか、④論述を明確に開き、立場を確立し、結論を導いているか——この4点が評価されます。
バンドの差を、能力単位で見ておきます。
- Band 5:設問に部分的にしか答えていない。立場は示すが展開が不明瞭。
- Band 6:設問の全パートに答えているが、濃淡があり一部しか深く扱えていない。立場はあるが、結論が不明瞭になりうる。
- Band 7:設問の全パートに答え、立場が最初から最後まで一貫している。
分かれ目は明確です。「設問の全パートに答えること」「立場を一貫させること」「結論で立場を閉じること」。この3つが Band 6 と Band 7 を分けます。逆に言えば、6.0で止まっている答案は、このどれかが欠けています。
Coherence と Cohesion は別物である
ここが、多くの日本語解説で曖昧にされている部分です。Coherence と Cohesion は、公式に別の概念として定義されています。
- Coherence=アイデアを論理的な順序(logical sequencing)で並べること。
- Cohesion=接続語・代名詞などの結束装置(cohesive device)で、文と文、アイデアとアイデアの関係を明示すること。
公式記述子は、CC について「①情報・アイデアの論理的な組織、②段落分けの適切さ、③段落内・段落間のアイデアの論理的順序、④参照・代用の柔軟な使用、⑤discourse marker の適切な使用」を評価するとしています(IELTS Key Assessment Criteria, CC)。
ここで重要なのは、記述子が一貫して「appropriate(適切)」「flexible(柔軟)」と書いていることです。「多用」を評価する記述は、どこにもありません。
このため、よくある誤解を一つ修正しておきます。接続語を増やせば CC が上がる、という理解は誤りです。 Firstly / Moreover / In addition を貼り続けても Cohesion のスコアは上がりません。むしろ機械的(mechanical)だと判断されれば下がります。バンド記述子でも、Band 6 は結束装置が「有効だが faulty/mechanical になりうる」、Band 7 は「明確な progression がある」と書き分けられています。
Coherence は、接続語の数ではなく、アイデアの並び順そのもので作るものです。主張 → 理由 → 例 → 含意、という順序で並べれば、接続語が少なくても論理は流れます。逆に、並び順が乱れていれば、接続語をいくら足しても論理は通りません。
Lexical Resource と Grammatical Range は「幅 × 正確さ」
LR と GRA は、本記事では閾値だけ押さえます。
- Lexical Resource:Band 7 の閾値は、コロケーション(語の自然な結びつき)への意識です。注意したいのは Thesaurus Syndrome——類義語辞典で機械的に難語へ置き換える行為です。文脈に合わない難語は、かえって LR を下げます。
- Grammatical Range and Accuracy:複雑な構文をどれだけ幅広く使えるか、そしてエラーがどれだけ少ないか。「幅」と「正確さ」の両方が見られます。
LR と GRA も同じ25%です。「TR と CC だけ直せば7.0」と読み違えないでください。ただし、この記事で扱う TR と CC の改善は、最も差がつきやすい起点になります。
よくある失敗(テンプレートを「埋める」だけで止まる4パターン)
ここからは、6.0で止まる答案に共通する失敗を構造化します。それぞれ「よくある誤解 → なぜ不十分か → どの基準で減点されるか」の順で見ていきます。
① 暗記したテンプレートをそのまま貼る
よくある誤解は、「使える表現を暗記して貼れば点が出る」です。”in this day and age” のような定型句を、設問に関係なく差し込むパターンがこれにあたります。
なぜ不十分か。2025〜2026年の採点では、暗記テンプレートの paste は採点官に検出され、減点対象になります。そして本質的な問題は、暗記表現がトピックに接続していないことです。設問の中身に答えていない文をいくら並べても、TR は伸びません。減点される基準は Task Response です。
② 設問タイプを読み違えて立場が割れる
よくある誤解は、「立場を明確にすればよい」を、すべての設問に同じように当てはめることです。Opinion 型なのに両論併記してしまい、自分の立場がどちらか分からなくなる。あるいは Discussion 型なのに片側だけ論じてしまう。これが典型的な失点です。
なぜ不十分か。Opinion 型と Discussion 型では、TR が要求する答え方が逆を向きます。Opinion 型は立場を1つに固定するのが正解で、両論併記は減点に向かいます。一方 Discussion 型は、両方の見方を論じた上で自分の意見を示すことが要件で、片側だけだと TR を落とします。
この「逆向きの要求」は、日本人受験者が最もつまずく構造です。日本語の文章では、両論を並べてバランスを取る書き方が知的とされます。しかし Opinion 型では、その両論併記がそのまま「立場の一貫」の欠如として減点されます。減点される基準は Task Response です。
③ 接続語を機械的に連発する
よくある誤解は、「ディスコースマーカーを使えば Coherence が上がる」です。Firstly / Secondly / Moreover / In addition / Furthermore を、ほぼ全文の頭に置くパターンです。
なぜ不十分か。前述の通り、公式記述子は接続語の「適切な使用」を評価しており、「多用」は評価軸にありません。論理上必要のない箇所に接続語を置くと、faulty / mechanical と判断され、CC が下がります。減点される基準は Coherence and Cohesion です。
④ Body 段落に複数のアイデアを詰め込む
よくある誤解は、「1段落にたくさん書けば内容が濃くなる」です。Body 1 に2つも3つも論点を入れてしまうパターンです。
なぜ不十分か。1段落=1論点が崩れると、段落の中で何が中心アイデアなのか分からなくなり、Coherence が下がります。Body は1段落=1アイデアが原則です。減点される基準は Coherence and Cohesion です。
この4パターンに共通するのは、どれも「型は守っているのに、採点基準を満たしていない」状態だということです。だからこそ、型より先に採点基準から逆算する必要があります。
The PAST 式の解決アプローチ(採点基準から逆算する4段落設計)
ここから解決策に入ります。The PAST の書き方は、「設問タイプ判定 → 立場決定 → 採点基準を満たす4段落」 の順で進みます。テンプレートを暗記する枠としてではなく、機能ブロックとして再定義します。
ステップ0|設問タイプを判定し、立場を決める(型より先)
最初にやるのは、型を選ぶことではありません。設問タイプを判定し、そのタイプで TR が要求する答え方を確定させることです。1〜2分でここを済ませる習慣をつけてください。
Task 2 の設問は、大きく5タイプに分かれます。各タイプで「立場の取り方」が変わります。とくに「TR が要求する答え方」の列を見てください。
| 設問タイプ | 設問の例 | TR が要求する答え方 |
|---|---|---|
| Opinion(意見型) | To what extent do you agree or disagree? | 立場を1つに固定し、最後まで一貫させる(両論併記は減点に向かう) |
| Discussion(議論型) | Discuss both views and give your own opinion. | 両方の view を公平に論じ、かつ自分の意見を明示する(片側だけは TR Band 6 上限ロック) |
| Cause-Solution(原因解決型) | What are the causes? What solutions can you suggest? | 原因と解決策の両パートに答える(片方の欠落で TR 減点) |
| Advantage-Disadvantage(利点欠点型) | Do the advantages outweigh the disadvantages? | 設問が問う比較(outweigh か否か)に立場で答える |
| Positive-Negative(評価型) | Is this a positive or negative development? | どちらかに振り切るか、条件付きで評価を明言する |
ここで断定しておきます。Opinion 型は「両論併記が減点」、Discussion 型は「両論を論じないと減点」です。 TR の要求が、タイプによって正反対を向きます。
この逆向きの要求が、日本人受験者にとって最大の失点源です。両論を並べてバランスを取る書き方は、日本語では知的とされます。しかし Opinion 型でそれをやると、「立場が一貫していない」と判定されます。逆に Discussion 型で「自分はこう思う」と片側だけ押し通すと、「設問の片方にしか答えていない」と判定されます。
根拠は公式記述子にあります。TR は「立場を formulate し develop する/論述を開き、立場を確立し、結論を導く」ことを評価します(IELTS Key Assessment Criteria)。設問が「両方を論じよ」と言っているなら、両方を論じることが立場の確立の一部です。設問の指示を、立場の取り方に翻訳する。これがステップ0の仕事です。
ステップ1|4段落を「機能」で設計する
設問タイプと立場が決まったら、4段落に落とします。ここで各段落を、暗記する枠ではなく「どの採点基準のどの要求を満たすか」という機能でラベル付けします。
- Introduction=設問のパラフレーズ+自分の立場の明示。これは TR の起点です。ここで立場を確立します。
- Body 1・2=1段落=1アイデア。topic sentence → 説明(explain)→ 例(example)の順で展開します。これは TR の「展開・裏付け」と、CC の「段落構造・論理的順序」を同時に満たします。
- Conclusion=立場の再提示で締める。これは TR を閉じる機能で、省略不可です。前述の通り、省略すると TR は Band 6 上限でロックされます。

Body 段落の作り方で、The PAST の要約メソッドが使えます。要約には「具体的なものを上位概念に変換する(一般化)」「具体を抽象的な概念で包括する(抽象化)」という考え方があります。これを逆向きに使います。つまり、まず具体例を思い浮かべ、そこから要点を抽象化して topic sentence に昇華するのです。
たとえば「授業料を廃止したヨーロッパ諸国で、家庭で初めて大学に進む学生が増えた」という具体例から、「無償化は専門職への門戸を広げる」という topic sentence を抽象化して取り出す。具体から topic sentence を引き上げる訓練は、Body の論理を安定させます。
ステップ2|Coherence を作る(接続語に頼らない論理の並び)
Coherence は、接続語ではなくアイデアの順序で作ります。Body 段落の中を「主張 → 理由 → 例 → 含意」の順で並べてください。
この順序には根拠があります。読者を方向づけてから新情報を与える流れ(既知から未知へ)が、理解の負荷を下げ、論理的なつながりを生みます(Duke Graduate School Scientific Writing Resource; Montana State University Writing Center)。主張という「これから何の話か」を先に示し、その理由と例で裏付け、含意で閉じる。この並びそのものが Coherence です。
接続語は、論理上必要な箇所にだけ置きます。逆接(however)や結果(as a result)のように、文と文の関係を示す必要がある場所だけです。Band 7 が評価されるのは、接続語の数ではなく、明確な progression(論理の前進)です(IELTS Key Assessment Criteria, CC)。
ステップ3|語数と時間配分(270〜290語 / 40分)
最後に、答案の物理的な枠を押さえます。
- 語数:250語が下限ですが、安全圏は270〜290語です。下限を割ると減点され、300語を大きく超えると焦点が散逸しやすくなります。
- 時間:推奨は40分です。配分の一例は「10 / 5 / 20 / 5」——計画に10分、Introduction に5分、Body に20分、Conclusion とチェックに5分です。
- Conclusion 必須:時間切れで Conclusion を落とすと、TR が Band 6 でロックされます。Body を1文削ってでも、Conclusion を書き切ってください。
ここまでが、採点基準から逆算した4段落設計です。次は、これを身体に落とし込むトレーニングに進みます。
記事内トレーニング(設問タイプ判定 → 型あてはめ → TR/CC 自己点検)
ここまでの知識を、5〜10分で身体に落とし込みます。3つの練習で、「設問タイプを判定する → 型に機能をあてはめる → 自分の答案を採点基準で点検する」という一連の流れを体験します。
Practice 1:設問タイプを判定し、立場を一文で作る(即レス・約2分)
型を当てる前に、設問タイプと「そのタイプで TR が要求する立場の取り方」を、反射で判断する練習です。下の Q1〜Q3 を1問ずつ読み、「これは何タイプか/立場はどう取るか」を判断して、3秒以内に英語の一文で答えてください。その後、サンプルの答えと照合します。
【英文(設問)】
Q1. Some people believe that university education should be free for all students. To what extent do you agree or disagree?
Q2. Some think technology makes people more isolated, while others believe it brings people closer. Discuss both views and give your own opinion.
Q3. More and more people are moving to cities for work. What are the causes of this trend, and what solutions can be suggested?
【日本語訳】
Q1. 大学教育はすべての学生に無償であるべきだと考える人もいます。あなたはどの程度同意しますか、または反対しますか。(Opinion 型)
Q2. テクノロジーは人をより孤立させると考える人もいれば、人々を近づけると考える人もいます。両方の見方を論じ、あなた自身の意見を述べなさい。(Discussion 型)
Q3. 仕事のために都市部へ移る人が増えています。この傾向の原因は何か、そしてどんな解決策が提案できますか。(Cause-Solution 型)
【サンプル解答】
Q1(Opinion):This is an Opinion question. I take one clear position and keep it consistent: I agree that university education should be free.
Q2(Discussion):This is a Discussion question. I discuss both views fairly and then state my own opinion clearly; covering only one side lowers Task Response.
Q3(Cause-Solution):This is a Cause-Solution question. I answer both parts: I explain the causes and then propose solutions; leaving out either part lowers Task Response.
注目してほしいのは、Q1 と Q2 で答え方が逆を向くことです。Q1(Opinion)は立場を1つに固定する。Q2(Discussion)は両論を論じた上で意見を明示する。この切り替えを反射でできるようにするのが、Practice 1 の目的です。
Practice 2:4段落を「機能」であてはめる(約3分)
書く練習です。Q1(Opinion 型)を題材に、下の4ブロックへ「何を書くか(機能)」を自分の言葉で埋めてください。各ブロックの右側にある基準ラベルを見て、「この文がこの基準を満たす」と意識しながら埋めるのがポイントです。
| ブロック | 書く内容(機能) | 満たす基準 |
|---|---|---|
| Introduction | 設問のパラフレーズ+自分の立場を1つ明示 | TR(立場の確立) |
| Body 1 | topic sentence → 説明 → 例(1段落1アイデア) | TR(展開・裏付け)+ CC(段落構造・順序) |
| Body 2 | 別の1アイデアを同じ順序で展開 | TR(展開)+ CC(段落間の論理) |
| Conclusion | 立場の再提示で締める(省略不可) | TR(結論で立場を閉じる) |
Body のモデルは、次の Practice 3 で使う段落を参照してください。各ブロックが「枠」ではなく「機能」だと体感できれば、この練習は成功です。
Practice 3:モデル段落で音読し、TR/CC を自己点検する(約3〜4分)
まず、下のモデル段落(Body 1段落・約95語)を通常速で聞いてください。topic sentence → 説明 → 例 → 含意 という順序を意識します。
【英文(モデル段落)】
One major reason free university education benefits society is that it widens access to skilled professions. When tuition is removed, talented students from low-income families can study medicine, engineering, or law without taking on heavy debt. For example, several European countries that abolished tuition fees saw a measurable rise in first-generation university students. As a result, the workforce gains qualified people who might otherwise have been excluded, and the whole economy becomes more productive over time.
【日本語訳】
大学教育の無償化が社会に利益をもたらす大きな理由の一つは、専門職への門戸を広げることである。授業料がなくなれば、低所得家庭の優秀な学生も、重い借金を負わずに医学・工学・法学を学べる。たとえば、授業料を廃止したいくつかのヨーロッパ諸国では、家庭で初めて大学に進む学生が目に見えて増えた。結果として、本来なら排除されていたかもしれない有資格者を労働力が得て、経済全体が長期的により生産的になる。
この段落を、意味のかたまり(チャンク)で区切ると、論理の流れが見えます。声に出して、区切りごとに意味を取ってください。
One major reason / free university education / benefits society / is that / it widens access / to skilled professions. // When tuition is removed, / talented students / from low-income families / can study medicine, / engineering, / or law / without taking on heavy debt. // For example, / several European countries / that abolished tuition fees / saw a measurable rise / in first-generation university students. // As a result, / the workforce gains / qualified people / who might otherwise / have been excluded, / and the whole economy / becomes more productive / over time.
第1チャンクが topic sentence(主張)、第2チャンクが説明、第3チャンクが例、第4チャンクが含意です。「主張 → 理由 → 例 → 含意」の Coherence が、この並びそのもので作られていることを確認してください。
次に、立場提示文と topic sentence を、1文ずつリピートして再現します。
【英文(リピート用キーセンテンス)】
立場提示文:I firmly believe that university education should be free, as the long-term benefits to society outweigh the short-term cost to the state.
topic sentence:One major reason free university education benefits society is that it widens access to skilled professions.
【日本語訳】
立場提示:大学教育は無償であるべきだと私は強く考える。社会への長期的な利益が、国家にとっての短期的なコストを上回るからである。
topic sentence:無償の大学教育が社会に利益をもたらす大きな理由の一つは、専門職への門戸を広げることである。
最後に、自分の答案(またはこのモデル段落)を、下のチェックリストで自己採点します。各項目の判定アンカーで、Band 6 ロックか Band 7 寄りかを判断してください。
Task Response
- 設問の全パートに答えているか → 全パートに答えている=Band 7 寄り(addresses all parts)/一部しか答えていない=Band 6 上限(some parts more fully than others)
- 立場が最初から最後まで一貫しているか → 一貫している=Band 7 寄り(clear position throughout)/途中で揺れる・結論が曖昧=Band 6 ロック(conclusions become unclear)
- 結論で立場を閉じているか(Conclusion の有無)→ 閉じている=TR 加点/省略=TR Band 6 上限ロック
Coherence and Cohesion
- アイデアが論理的な順序(主張 → 理由 → 例 → 含意)で並んでいるか → 並んでいる=Band 7 寄り(clear progression / logical sequencing)/飛ぶ=Band 6(progression が不明瞭)
- 接続語が「論理上必要な箇所」にだけあるか → 適切=Band 7 寄り(appropriate use)/機械的に連発=Band 6(mechanical / faulty)
- 1段落=1アイデアになっているか → なっている=Band 7 寄り(appropriate paragraphing)/複数アイデアが混在=Coherence 低下
このチェックは、なんとなくの自己満足採点ではありません。各項目が、公式記述子(IELTS Key Assessment Criteria)の Band 6 と Band 7 の差分に対応しています。自分の答案を、採点基準の言葉に翻訳する作業です。
そして、この練習で多くの人が気づくことがあります。「立場が本当に一貫しているか」「接続語が機械的になっていないか」は、自分では判定しづらいということです。この感覚を覚えておいてください。最後の章で触れます。
実践例(頻出トピックで型を当てはめる)
ここまでの流れを、頻出トピックで1本通して確認します。Task 2 では、教育・テクノロジー・環境・健康・仕事といったトピックが繰り返し出ます。トピックが変わっても、設問タイプ判定 → 4段落設計の手順は変わりません。
題材:「Some people think that technology has made our lives too complicated, and we should rely on it less. To what extent do you agree or disagree?」
まずステップ0です。これは “To what extent do you agree or disagree?” なので Opinion 型。TR の要求は「立場を1つに固定し、最後まで一貫させる」です。ここで「便利な面もあるが不便な面もある」と両論併記に逃げると、立場が割れて TR を落とします。立場を決めます——たとえば「やや反対(テクノロジーへの依存を減らすべきではない)」。
次にステップ1で4段落に落とします。
- Introduction:設問をパラフレーズし、「私はこの主張にやや反対だ」と立場を1つ明示する(TR の起点)。
- Body 1:topic sentence=「テクノロジーは複雑化どころか、多くの作業を単純化している」→ 説明 → 具体例(スマートフォンの決済・ナビ等)→ 含意(CC の段落構造を満たす)。
- Body 2:別の1アイデア=「複雑さを感じるのは、技術そのものより使い方の問題である」を、同じ順序で展開する。
- Conclusion:立場を再提示して締める(TR を閉じる、省略不可)。
Body は1段落あたり5文程度を目標にし、1段落=1アイデアを守ります。各 Body の中は「主張 → 理由 → 例 → 含意」で並べ、接続語は論理上必要な箇所だけに置きます。これで TR(立場の一貫・全パートへの回答)と CC(段落構造・論理の並び)の両方を満たす答案になります。
なお、この「設問の指示を読み、立場を決めて、論理を順序立てて展開する」スキルは、IELTS の外でも効きます。会議で意見を求められたとき、昇進面接で考えを述べるとき——立場を1つ決め、理由と例で支え、結論で閉じる構造は、そのまま使えます。
まとめ(読了後にできるようになること)
この記事の到達点を整理します。読み終えたいま、次の4つができるようになっているはずです。
- テンプレートを「採点基準の機能」として理解した。 4段落は埋める枠ではなく、TR と CC の要求を満たすための機能ブロックである。
- 設問タイプを判定して立場を取れる。 Opinion は立場固定、Discussion は両論+意見、というように、TR の要求がタイプで変わることを判断できる。
- 自分の答案を TR / CC で点検できる。 全パートに答えたか、立場は一貫しているか、結論で閉じたか(TR)。アイデアの順序が論理的か、接続語が機械的でないか、1段落1アイデアか(CC)。
- 接続語の数ではなく、論理の並びで Coherence を作れる。 主張 → 理由 → 例 → 含意の順序そのものが論理である。
6.0で止まっていた理由は、英語力が足りないからではありませんでした。減点の所在が見えていなかっただけです。採点基準という地図を手にしたいま、自分の答案のどこを直すべきかが見えるようになっています。
採点者の視点で、あなたの答案を見てもらう
最後に、一つだけ正直なことを書きます。
Practice 3 の自己点検で、おそらく気づいたはずです。「立場が本当に最後まで一貫しているか」「接続語が機械的になっていないか」は、自分では判定しづらい。 これは能力の問題ではありません。書いた本人は、自分の論理が通っているつもりで書いているため、構造の歪みが見えにくいのです。
型は、この記事の手順で埋められるようになります。けれど、TR と CC で実際にどこが減点されているかは、独学では検証できません。採点基準を知っていることと、自分の答案を採点者の目で見られることは、別の能力だからです。6.0の壁を越える最短経路は、採点者の視点で、自分の答案の減点箇所を翻訳してもらうことです。
The PAST では、IELTS の答案を採点基準ベースで添削しています。TR と CC のどこで止まっているのか、立場は一貫しているのか、接続語は機能しているのか——採点官が見る観点で、あなたの答案を言語化します。まずは無料カウンセリングで、いまの答案がどの基準で頭打ちになっているかを一緒に確認するところから始められます。
型を覚える段階は、この記事で終わりです。次は、その型を採点基準で検証する段階です。
出典・参考 – IELTS(British Council / IDP / Cambridge University Press & Assessment), IELTS Writing Key Assessment Criteria(公式・一次資料) – IELTS, IELTS Writing Band Descriptors (Task 2)(Updated May 2023) – American University Writing Center, Paragraph Unity and Coherence/Wheaton College Writing Center, Paragraph Unity, Coherence, and Development – Duke Graduate School, Scientific Writing Resource — Lesson 2: Cohesion, Coherence, and Emphasis/Montana State University Writing Center, Creating Cohesive and Coherent Paragraphs – The PAST メソッド・基本リファレンス『要約の考え方』(references/the-past-method/text/05_summarization.md)