IELTSリーディングの解き方|40問を60分でさばく設問タイプ別アプローチ
「設問タイプはひととおり覚えた。時間配分も15-20-25と知っている。それなのに、3パッセージ目に入る頃には残り時間がなく、最後の数問を勘で埋めて終わる」。IELTS Academic Reading でこの壁に当たっている人は少なくありません。
最初に結論を書きます。あなたの失点の正体は、設問タイプの知識不足ではありません。英語を読む処理速度が、まだ訓練されていないことです。
Academic Reading は60分・40問・3パッセージ。この設計は、受験者の「読む速度が自動化されているか」を正面から突きます。一語ずつ日本語に置き換えて読む人は内容を理解する前に時間が尽き、英語を意味のかたまりで処理できる人は同じ60分で読み終えて設問に時間を残せます。
だからこそ、IELTSリーディングの解き方は「設問タイプの暗記」では完結しません。鍵になるのは次の三層です。
- 英語をチャンク(意味のかたまり)で処理して、読む速度を上げる
- 設問タイプ別に、読む速度と深さを切り替える
- 15-20-25 で時間を設計する
この記事では三層を順に解説し、後半ではスラッシュ処理から設問タイプ別の解き分けまでを手を動かして体験できる5〜10分のトレーニングを用意しています。読み終えたとき、失点を「英語力不足」という曖昧な塊ではなく、「読む処理速度の未訓練 × 設問タイプ別の読み分け不足 × 配分ミス」という構造で捉え直せる状態を目指します。
解き方は「速度 × 設問タイプ × 配分」の三層で決まる
やるべきことは3つです。
1つ目は、英語をチャンクで処理して読む速度を上げること。 これがすべての土台です。読む速度が遅いままだと、後述するスキミングもスキャニングも機能せず、ただの拾い読みになります。
2つ目は、設問タイプ別に読む速度と深さを切り替えること。 すべての設問を同じ読み方で解くのは非効率です。Matching Headings は段落の主旨を掴む読み方、TFNG はキーワードを探して該当文だけを精読する読み方が要る。タイプによって「最初に何をするか」が変わります。
3つ目は、15-20-25 で時間を設計すること。 Passage 1 を15分で抜けて時間を貯め、難度の上がる Passage 3 に25分を回す配分です。ただしこの配分は、1つ目と2つ目ができて初めて回ります。

重要なのは、この3つが独立した対策ではなく、下から積み上がる三層構造だという点です。読む処理速度(土台)の上に設問タイプ別の読み分け(中段)が乗り、その上に時間配分(上段)が乗る。土台がぐらつくと、上の2つも崩れます。
確定値として押さえておく試験仕様は次のとおりです。Academic Reading は60分・40問・3パッセージ、合計語数はおおむね2,150〜2,750語。1問あたりに使える時間は単純計算で90秒で、これが時間配分の基準になります。
では、なぜ「読む処理速度」がこれほど土台になるのか。理論から説明します。
なぜ「読む処理速度」が解き方の土台なのか
時間が足りないのは、読速ではなく「自動化」の問題
「単語は読めるのに、3パッセージ目に間に合わない」。この現象は、語彙が足りないから起きるのではありません。原因は、英語を読む処理が自動化されていないことにあります。
人が一度に扱える情報量、つまり作業記憶(working memory)には限りがあります。文字を解読する処理が自動化されていないと、この限られた容量が「一語ずつ意味を取り出す作業」で埋まり、肝心の「内容を理解し、設問と照合する」余力が残りません。これが、時間が足りなくなる本当の正体です。
読解研究でも、文字認識や語句処理が自動化されるほど作業記憶への負荷が下がり、空いたリソースを意味理解に回せると整理されています(LaBerge & Samuels, 1974)。IELTS の60分という制約は、この自動化の有無を直接突く設計だと考えるのが自然です。
チャンク/スラッシュ処理が処理速度を作る
自動化を進める土台が、英語を意味のかたまり(チャンク)で処理する読み方です。一語ずつ処理する代わりに、3〜4語のまとまりを一つの単位として捉える。たとえば “a relic of the past”(過去の遺物)を、a / relic / of / the / past と5語に分けず、ひとかたまりで処理する。こうすると頭が解釈・統合すべき単位の数が減り、作業記憶の負荷が下がります。チャンク化は実効的な作業記憶の容量を増やす方向に働くと複数の研究が示唆し(Xu, 2016)、日本語を母語とする学習者でも、チャンク読みの訓練を受けた群ほど複数語のかたまりの処理が速くなる傾向が報告されています(Kosaka, 2024)。
このチャンク処理を身につける練習手段が、スラッシュリーディングです。英文を意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切り、そのかたまりごとに、語順のまま意味を取っていきます。
このように区切ると、英語を日本語の語順に組み替えず、前から順に処理する感覚がつかめます。最初は負荷なく処理できる小さなサイズで区切り、慣れたらかたまりを少しずつ大きくしていきます。The PAST がリーディング対策を「設問タイプの暗記」ではなくこのチャンク処理から始めるのは、読速という土台がなければ、どんな解法テクニックも本番の60分で機能しないからです。
ここで射程を明確にします。チャンク・リーディングそのものの訓練設計(返り読みの除去、チャンクサイズの広げ方、速読の鍛え方)は、別記事「英語のリーディング速度を上げる方法」で詳しく扱っています。 本記事では、その読速を IELTS の60分・40問・3パッセージ・設問タイプ別にどう変換するかに絞ります。汎用の速読を鍛え直したい方は、先に上の記事から入るのが効率的です。
スキミング・スキャニング・精読は「読速」の上に乗る技術
よく聞く「スキミング」「スキャニング」という言葉の位置づけも、ここで整理できます。
- スキミング:文章全体をざっと流し読みして、主旨や論の流れを掴む読み方
- スキャニング:特定のキーワードや数字を、本文から素早く探し出す読み方
- 精読:該当箇所だけを、一字一句正確に読み込む読み方
多くの学習者が「用語は知っているのに使えない」状態にあります。理由はシンプルです。スキミングもスキャニングも、読む処理速度が前提だからです。土台の読速が遅い人がスキミングしても結局一語ずつ追ってしまい、ただの拾い読みになる。スキャニングも、語のかたまりを瞬時に認識する力がなければ目的の語を見つけるのに時間がかかります。
つまり3つは独立したテクニックではなく、チャンク処理という土台の上に乗る応用動作です。土台が弱いまま解こうとすると、どんな失敗が起きるのか。具体的に見ていきます。
あなたの読み方を止めている4つの誤解
失点が続く読者には、共通する4つの誤解があります。順に正していきます。
誤解1:全文を精読しようとする
最も多いのがこれです。1パッセージを最初の一文から最後まで丁寧に読み、内容をすべて理解してから設問に取りかかろうとする読み方です。
この読み方では時間が溶けます。Academic Reading の1パッセージは700〜900語前後あり、精読すると設問を解く前に持ち時間の大半を使い切ります。本文は、設問を解くために必要な箇所を必要な深さで読むものであって、全体を均一に読むものではありません。全体をスキミングして構造を掴み、設問ごとに該当箇所をスキャニングで特定し、その箇所だけを精読する。この緩急が要ります。
誤解2:スキミング・スキャニングを「言葉だけ」知っている
前章で触れたとおり、用語を知っていても土台の読速がなければ使えません。「スキミングしましょう」と言われて全文をゆっくり読んでしまう人は、その動作を実行できていません。必要なのは用語の暗記ではなく、チャンク処理による読速そのものの訓練です。
誤解3:単語マッチングで解いている
設問のキーワードと、本文に出てくる同じ単語を照合して答えを探す。この「単語マッチング」は Band 6.5 までは通用しても、Band 7.0 の壁で止まります。
理由は、IELTS の設問が本文の表現をそのまま使わず、同義語や言い換えで作られているからです。たとえば本文の “reduced expenditure on public transport” は、設問では “spent less money on buses and trains” と言い換えられます。この2つを同じ意味だと認識できるか。これが Band 7.0 の分岐点です。
必要なのは、単語の一致を探す「単語マッチング」から、意味の一致を見抜く「アイデアマッチング」への転換です。これは知っている単語の数(語彙の広さ)ではなく、一つの語をどれだけ多面的に知っているか(語彙の深さ)の問題だと整理されています(Karami, 2020 系)。
誤解4:Not Given を「キーワードが本文に出ない問題」と誤解している
True / False / Not Given(以下、TFNG)で最も多い誤解がこれです。「Not Given は、設問のキーワードが本文に出てこない問題だ」と思い込んでいる人が多い。
これは間違いです。Not Given でも、キーワードは本文に出ます。出るのに、設問全体を確定させる情報だけが欠けているのが Not Given です。
ここで、TFNG の3値判定フローを固定します。読者が最も混同するのは、FALSE(本文と矛盾)と NOT GIVEN(情報がない)の境界です。手順は次のとおりです。
- 設問のステートメントを、文全体の意味(full meaning)で読む。 一部の単語だけでなく、文が主張している内容全体を把握する。
- 本文の該当箇所を特定する。 キーワードを scan で探し、対応する一文を見つける。
- 3値で判定する。
- 本文と一致する → TRUE
- 本文と矛盾する → FALSE
- 本文に該当情報が無い、または確定できない → NOT GIVEN
FALSE と NOT GIVEN の違いは、矛盾があるかどうかの一点です。例で対比します。
- 設問「夜行列車は短距離フライトより多くの二酸化炭素を排出する」→ 本文が「はるかに少ない」と正反対を明言=FALSE(矛盾)
- 設問「ヨーロッパの大半の政府が資金を出して復活させた」→ 本文は政府の資金提供に一切触れていない=NOT GIVEN(情報がない)
判定を狂わせるのが qualifying words です。mainly / all / often / always といった一語が、文の意味を反転させます。「似ているが同じではない(similar but not same)」と感じたら、その違いが本文と矛盾するなら FALSE、本文がそこに言及していないだけなら NOT GIVEN。この切り分けは、記事後半のトレーニングで実際に手を動かして体験します。
4つの誤解を正したところで、正しい解き方をマトリクスにまとめます。
設問タイプ別「読む速度・深さ・時間」マトリクス
Academic Reading の設問形式は複数あり、代表的なものは True / False / Not Given(TFNG)、Matching Headings、各種 Completion(Sentence / Summary / Note Completion など)、Multiple Choice、Matching Information、Short Answer Questions です。本記事で深掘りするのは、日本人受験者の失点が集中する TFNG・Matching Headings・各種 Completion の3つに絞ります。まずこの3つで読み分けの型を作るのが、スコアを動かす最短ルートだからです。
設問タイプ別 読み方マトリクス
設問タイプごとに「第一手(最初にする読み方)」「第二手(次にする読み方)」「時間感覚」が変わります。1枚に整理したのが次の表です。

| 設問タイプ | 第一手 | 第二手 | 時間感覚 |
|---|---|---|---|
| Matching Headings | 各段落の主旨をスキミング(第1文+最終文) | 中心となる主張を1つに絞る | 段落単位でまとめて処理 |
| True / False / Not Given(TFNG) | キーワードをスキャニングで探す | 該当文だけを精読し full meaning で判定 | 1問90秒以内 |
| 各種 Completion | 空所前後のキーワードをスキャニング | 前後の文を精読して語形・品詞を確定 | 本文の順序とほぼ連動 |
| Multiple Choice | キーワードをスキャニングで探す | 該当範囲を精読し、選択肢を消去法で絞る | 1問やや長め |
| Summary Completion | 該当段落をスキミングで特定 | 範囲内を精読して空所を埋める | 段落特定が勝負 |
この表が示すのは、設問タイプによって「最初にスキミングするか、スキャニングするか」が分かれるという一点です。Matching Headings と Summary Completion は「どこを読むか」を絞るためにスキミングから入り、TFNG・Completion・Multiple Choice は「どの語があるか」を探すためにスキャニングから入る。この第一手を間違えると、読み方全体がずれます。
各種 Completion は上のマトリクスで型を示しました。以下では、特に読み方の判断が難しい TFNG と Matching Headings の2タイプを個別に掘り下げます。
True / False / Not Given(TFNG)の読み方
TFNG は単語の一致ではなく、ステートメント全体の意味(full meaning)で本文と照合します(手順は前章の3値判定フロー)。実戦で差がつくのは2点。qualifying words(mainly / all / often / always)に印をつけること——「all」とあるのに本文が「多く(many)」としか言っていなければ一致ではありません。もう一つは、前章で見た FALSE(矛盾)と NOT GIVEN(言及なし)の切り分けです。ここを混同している限り、TFNG の正答率は安定しません。
Matching Headings の読み方(先読みは禁止)
Matching Headings は、各段落に最もふさわしい見出しを選ぶ問題です。ここで断定しておきます。見出し(ヘッディング)の選択肢を先に読み込んではいけません。
理由を構造で説明します。見出しを先に頭に入れてから本文を読むと、人は無意識にその見出しの語を本文から探す「語の hunt」を始めます。すると、段落全体が何を主張しているか(main idea)ではなく、見出しの単語が本文にあるかどうかに注意が向く。Matching Headings はこの罠を突くように作られ、見出しと同じ単語を含むが主旨は別、という選択肢が混ぜてあります。語を hunt すると、ここに引っかかります。
正しい順序はこうです。まず段落の第1文と最終文を読み、必要なら中間をザッピング(飛ばし読み)して、その段落の主旨を自分の言葉で1つに掴む。そのうえで、最も近い見出しを選ぶ。鍵は同義語の認識です。本文の “beautiful” が見出しでは “attractive” や “stunning” に言い換えられる。この言い換えを意味で結べるかが正否を分けます。
15-20-25 への落とし込み
読む速度と読み分けができて、初めて時間配分が回ります。考え方は段階的に提示します。
まずは均等配分の 20-20-20 が安全圏です。 3パッセージに20分ずつ。これで崩れずに最後まで到達できるなら十分です。慣れてきたら 15-20-25 に寄せます。比較的やさしい Passage 1 を15分で抜けて時間を貯め(貯金ゾーン)、難度の上がる Passage 3 に25分を回す配分です。
どちらの配分でも共通する鉄則が一つ。1問に90秒以上かかったら、いったん飛ばして後で戻ることです。設問番号に印をつけ、残り時間で回収します。1問に固執して5分溶かすのが、最も多い時間切れの原因です。マトリクスの読み分けがあって初めて、この「飛ばす判断」も速く正確になります。
ここまでが理論と型です。次は、これを実際に手を動かして体験します。
記事内トレーニング|スラッシュ処理 → 設問タイプ対応を体験する
ここまでの知識を、5〜10分で身体に通します。チャンク処理で読む → 設問タイプ別に解き分ける、を実際にやってみてください。使うのは119語の Academic 調パッセージ1本です。
Practice 0:まず読む(または聞く)— 所要時間を測る(約1.5分)
ストップウォッチを用意し、下のパッセージを普通に1回読んでください。読み終わるまでの秒数を記録します。上の音声を使う場合は通常速で1回聞き、内容を頭の中で要約してください。読み終えたら「どこで詰まったか/返り読みしたか」を1つだけメモします。
The Return of the Night Train
For decades, night trains were seen as a relic of the past, slowly replaced by cheap flights and high-speed rail. In recent years, however, several European countries have reintroduced these services. The main reason is environmental: a night train journey produces far less carbon dioxide than an equivalent short-haul flight. Supporters also point out that passengers save the cost of a hotel, since they sleep while travelling. Critics, however, note that running night trains is expensive, and that ticket prices remain higher than budget airline fares. Even so, demand has grown steadily, and operators report that many routes are now fully booked weeks in advance.
【日本語訳】 何十年もの間、夜行列車は過去の遺物と見なされ、格安航空券や高速鉄道に少しずつ取って代わられてきました。しかし近年、ヨーロッパのいくつかの国がこのサービスを復活させています。主な理由は環境面です。夜行列車の移動は、同等の短距離フライトよりもはるかに少ない二酸化炭素しか排出しません。支持者は、移動中に眠れるため乗客がホテル代を節約できる点も指摘します。一方で批判する側は、夜行列車の運行は費用がかかり、運賃が格安航空会社より高いままだと指摘します。それでも需要は着実に伸びており、運行会社によれば、多くの路線が数週間前から満席になっているといいます。
Practice 1:スラッシュ処理でかたまり読みを体験する(約2分)
同じパッセージを、スラッシュ(/)で区切った形で提示します。スラッシュごとにいったん止まりながら、かたまりの意味だけを取る。日本語に訳し直さず、語順のまま処理してください。
3〜4語の小さなかたまりで区切ってあります。一度スラッシュごとに止まって意味を取ったら、今度はスラッシュを意識しつつ止まらずに通読してください。Practice 0 と読みやすさがどう違うかを感じ取ります。
Practice 2:リピートでかたまりを口と眼に通す(約1.5分)
上の音声は「1チャンク → ポーズ」で主要なかたまりを読み上げます。1チャンク聞く → 止める → 正確に音読するを繰り返してください。下の5つのチャンクを、語順のまま、意味を感じながら声に出します。これはシャドーイングではなく、音を聞いてから止めて正確に反復する Listen & Repeat です。かたまりを丸ごと捉える感覚を、口と眼の両方に通すのが目的です。
a relic of the pastproduces far less carbon dioxidesave the cost of a hotelremain higher than budget airline faresfully booked weeks in advance
Practice 3:設問タイプ別に読み方を切り替えて解く(約3分・中核)
同じパッセージに、TFNG を3問と Matching Headings を1問つけました。タイプによって読み方が変わることを体験するのが目的です。
まず Q1〜Q3(TFNG):第一手=キーワードを本文から scan で探す → 第二手=該当文だけを精読し、ステートメント全体の意味で判定。次に Q4(Matching Headings):第一手=各文の主旨を skim → 第二手=段落の中心となる主張を1つに絞る。見出しを先読みして語を hunt しないこと。各問で「なぜその答えか」を1文で言語化してください。
Q1〜Q3|True / False / Not Given(TFNG) 本文の内容と一致すれば TRUE、矛盾すれば FALSE、本文から判断できなければ NOT GIVEN と答えます。
- Q1: Night trains produce more carbon dioxide than short-haul flights.
- Q2: Night train tickets are cheaper than budget airline fares.
- Q3: Most European governments have funded the return of night trains.
Q4|Matching Headings このパッセージ全体に最もふさわしい見出しを1つ選びます。
- A. How night trains reduce hotel costs for tourists
- B. Why a once-declining service is growing again
- C. The technology behind modern high-speed rail
解答と判定理由
- Q1:FALSE。 本文は “produces far less carbon dioxide than … a short-haul flight”(はるかに少ない)。設問は “more”(より多い)。本文が正反対のことを明言しているので、矛盾=FALSE です。
- Q2:FALSE。 本文は “ticket prices remain higher than budget airline fares”(格安航空より高い)。設問は “cheaper”(より安い)。一見 NOT GIVEN に見えますが、本文が “higher” と正面から反対の事実を言い切っているので矛盾=FALSE。「キーワードは本文に出るが、矛盾なら FALSE」という判断をここで体験してください。
- Q3:NOT GIVEN。 「ヨーロッパの大半の政府が資金を出して復活させた」という情報は本文に一切ありません。本文は「いくつかの国が復活させた」「運行会社が報告している」とは述べますが、政府の資金提供には触れていない。キーワード(governments / funded)に対応する記述が存在しないため NOT GIVEN です。Q2 との違いは「矛盾ではなく、情報そのものが無い」点。
- Q4:B。 第1文(過去の遺物として衰退)と最終文(需要が伸び満席)が対比構造になっており、全体の主旨は「衰退していたサービスが再び成長している理由」です。A は本文の一部(ホテル代節約)だけ、C は本文がほぼ触れていない話題。Matching Headings は部分ではなく全体の main idea を選びます。
Q2 と Q3 を並べたのが、この練習の核です。Q2 は本文と矛盾するので FALSE、Q3 は本文に情報がないので NOT GIVEN。 矛盾があるか、情報そのものが無いか。この境界を、自分の言葉で説明できるようにしてください。
自分ごと化:次の30秒を決める(約0.5分)
最後に、学んだ読み分けを次回の演習の具体的な行動に変換します。「次に問題集の1パッセージを解くとき、最初の30秒で何をするか」を1文で書いてください。
(記入例:「設問タイプを確認し、Matching Headings があれば各段落の第1文だけ先に skim する」)
この1文が、解き方を「知っている」から「使える」へ変える最初の一歩になります。
本番の3パッセージをこの順で解く
トレーニングで掴んだ動作を、本番の1パッセージに通します。解き始めから解き終わりまでの動線はこうです。
- タイトルと設問タイプを30秒で確認する。 どのタイプがいくつあるか、Matching Headings があるかを見て、読む順序の見通しを立てます。
- Matching Headings があれば、先に段落スキミングをする。 各段落の第1文・最終文で主旨をメモ。見出しの選択肢は先読みしません。
- TFNG・Completion はキーワードを scan して該当文を精読する。 本文の順序とほぼ連動するので上から処理。TFNG は full meaning で3値判定。
- 1問に90秒以上かかったら、設問番号に印をつけて飛ばす。 残り時間で回収します。
- Passage 1 で貯めた時間を Passage 3 に回す。 15-20-25 はこの貯金があって成立します。
この動線で効くのは、Band 7.0 以上の受験者に共通する2行動——「飛ばす判断」を躊躇なくできること、本文と設問を「単語」ではなく「アイデア」で照合できること——です。どちらも土台の読速とマトリクスの読み分けがあって初めて時間内で安定します。
読み方を「速度・タイプ・配分」で設計し直す
IELTSリーディングの失点は「英語力が足りない」という曖昧な塊ではなく、読む処理速度の未訓練 × 設問タイプ別の読み分け不足 × 時間配分のミスの3つに分解できます。分解できれば、対策も明確になります。明日からの3手はこうです。
- チャンクで読む練習を始める。 スラッシュリーディングで、英語を意味のかたまり・語順のまま処理する読み方に切り替える。これが土台です。
- 設問タイプ別マトリクスを手元に置く。 Matching Headings はスキミング先行、TFNG はスキャニング先行。タイプごとに第一手を変える。
- 15-20-25 を測りながら解く。 まずは均等の20-20-20で崩れずに到達し、慣れたら Passage 1 を貯金ゾーンにする。90秒超は飛ばす。
この3手を回せば、点は「英語力」という見えない塊ではなく、訓練可能な3つの能力として動かせます。独学で詰まりやすいのは、読む処理速度をどこまで上げられるかと、本番で「どの設問に粘り、どこを捨てるか」をどう安定させるか。ここはフィードバックがあると定着が速くなります。
読む処理速度を一緒に設計する
トレーニングでスラッシュ処理は試せたはずです。一方で「自力で読速を上げ切れるか」「FALSE と NOT GIVEN の切り分けを本番の時間内で毎回安定して判断できるか」と感じた方もいると思います。
The PAST の IELTS指導・無料カウンセリングでは、あなたの読み方のボトルネックが速度・設問タイプ・配分のどの層にあるかを一緒に特定します。どこが崩れているかが分かれば、鍛えるべき能力が定まります。チャンク処理の負荷設計と設問タイプ別の判断の安定化は、フィードバックがあると独学より速く定着します。
「テクニックは知っているのにスコアが動かない」という停滞には、必ず構造的な理由があります。その理由を、診断的に一緒に見つけるところから始めましょう。
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なお、リーディングと並んで停滞しやすいIELTSスピーキングの伸ばし方については、IELTSスピーキングが伸び悩むときの考え方もあわせてご覧ください。4技能は、読む処理速度という土台で互いにつながっています。