ビジネス英語資格おすすめ8選|受験料と「測る能力」で選ぶ【2026年度】
「英語力を証明できるものを持っておいてください」と言われて、最初に浮かぶのは TOEIC です。ただ、実際に調べ始めると、TOEIC S&W、Versant、IELTS、TOEFL、日商ビジネス英語と候補が並び、どれを受ければいいのか決まらなくなります。迷う理由は情報が足りないからではありません。比較の軸が「知名度」と「難易度」しかないからです。この記事では、ビジネスで使える英語資格8つを、受験料(2026年8月時点・公式サイトで確認)とどの技能を測るかの2軸で一覧にします。そのうえで、転職・社内評価・海外赴任・進学という目的別に、どれを選ぶべきかまで整理します。
ビジネス英語資格の選び方|「何を証明したいか」から逆算する
資格選びは、目的 → 必要な技能 → 資格の順で決まります。この順序を逆にすると失敗します。
理由はシンプルです。同じ「英語資格」でも、測っている能力が違うからです。
英語力は1つの塊ではありません。実務では次の4つに分解できます。
- リスニング(L) … 相手の話を聞き取る
- リーディング(R) … 資料やメールを読む
- スピーキング(S) … その場で話す
- ライティング(W) … メールや文書を書く
TOEIC L&R が証明するのは L と R です。会議で発言できるかどうかは、この試験では測っていません。TOEIC 900 を持っていても会議で黙ってしまう人がいるのは、能力が低いからではなく、証明した能力と、求められている能力がずれているからです。
つまり、先に決めるべきなのは資格名ではありません。「自分は誰に、何を証明する必要があるのか」です。
比較する3つのポイント
1. どの技能を測るか
最も重要な軸です。履歴書に書く数字がほしいのか、話せることを示したいのかで、選ぶ試験が変わります。
2. 受験料と受けやすさ
ビジネス英語の資格は、6,600円から31,900円まで5倍近い開きがあります。何度も受け直す前提なら、この差は無視できません。
3. 相手に伝わるか
社内評価や転職では、採用担当者が知らない資格は説明コストがかかります。測定内容が優れていても、伝わらなければ証明として機能しません。
ビジネス英語資格おすすめ8選|受験料と測る技能の比較表

受験料は2026年8月時点。すべて各実施団体の公式サイトで確認した金額です。 最新の金額と日程は、受験前に必ず各公式サイトでご確認ください。
| 資格 | 測る技能 | 受験料(税込) | 試験時間 | スコア形式 | 有効期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| TOEIC L&R | L・R | 7,810円 (紙の認定証なし 7,700円) |
約2時間・200問 | 10〜990点 (5点刻み) |
2年(ETSが設定) |
| TOEIC S&W | S・W | 10,450円 | Speaking 約20分・11問 Writing 約60分・8問 |
各0〜200点 (10点刻み) |
2年(ETSが設定) |
| Versant Speaking and Listening |
S・L | 6,600円 | 約20分・40問 | GSE 10〜90点 | 要確認 |
| Versant Writing / Placement | W / 4技能 | 4,400円 / 7,700円 | 要確認 | GSE 10〜90点 | 要確認 |
| 英検 | 3級〜1級は4技能 4・5級は R・L・S |
1級 12,400円〜 5級 4,000円 |
要確認 | 英検CSEスコア (1級 満点2550) |
要確認 |
| IELTS | 4技能 | 27,500円 (UKVI 31,900円) |
約2時間45分 | バンドスコア | 2年 |
| TOEFL iBT | 4技能 | US$195 (税抜・USD建て) |
要確認 | 1〜6(0.5刻み) ※2026年1月21日以降 |
2年 |
| 日商ビジネス英語 | 要確認 | 6,600円 +事務手数料550円 |
要確認(IBT方式) | 要確認 | 要確認 |
| Linguaskill Business | S・W・R・L から選択 | 公式サイトに記載なし (法人・教育機関向け) |
要確認 | 要確認 | 要確認 |
表を読むときの注意点
TOEIC L&R の受験料は選択制です。 紙の公式認定証を発行しない場合、110円安い 7,700円 になります。また、リピート受験割引は 2026年12月までの試験日が 6,710円、2027年1月以降は 7,150円に上がります。
IELTS は2025年9月1日の申込分から改定されました。 25,380円から 27,500円です。注意すべきは、適用が試験日ではなく申込日で判定される点です。ペーパー版とコンピューター版、アカデミックとジェネラルで金額の差はありません。
TOEFL iBT だけは USD 建てで、しかも税抜です。 公式サイトには「EU諸国を除き、VATやその他の税を除く」と明記されています。他の7つは円・税込なので、同じ土俵で比べるときは注意が必要です。
TOEFL iBT はスコアの見方が変わりました。 2026年1月21日以降、総合スコアは 1〜6の0.5刻みです。従来の0〜120点ではありません。移行期間の2年間は、公式スコアレポートに新スコアと0〜120換算の推定値が併記されます。古い記事は0〜120のまま書かれているので、出願先の要件を確認するときは注意してください。
「TOEICのスコアに有効期限はない」という説明を見かけますが、公式の見解は違います。 IIBCの公式FAQには、テスト開発元のETSが「スコアの有効期限を2年と設定しています」と明記されています。ただし、提出先が独自に期限を定めている場合もあるため、応募先の方針を確認してください。なお、公式認定証の再発行が試験日から2年以内(1部550円)という別のルールがあり、これと混同されているようです。
Linguaskill Business だけは受験料が公開されていません。 ケンブリッジの日本語公式ページに金額の記載がなく、企業・教育機関向けという位置づけで、申し込みは問い合わせ制です。個人で受けたい場合は、まず問い合わせが必要になります。
8つの資格を1つずつ見る
表だけでは判断できない部分があります。ここからは、それぞれの試験が何を測っていて、誰に向き、誰に向かないかを見ていきます。
TOEIC L&R|履歴書に書く数字としては最も伝わる
測っているのはリスニングとリーディングです。話す力と書く力は測っていません。
国内の知名度は圧倒的で、社内評価や転職で数字を求められたとき、説明なしで通じるのはこの試験です。受験機会も多く、対策教材も豊富にあります。
向いている人:履歴書や社内制度で「英語力を数字で示せ」と言われている人。まず基準となる数字がほしい人。
向いていない人:会議で発言できることを示したい人です。TOEIC 900 を取っても、それは「聞ける・読める」ことの証明であって、「話せる」ことの証明にはなりません。ここを取り違えると、スコアは上がったのに評価が変わらない、という状態になります。測定対象の違いはTOEICとVersantの比較記事で詳しく分解しています。
TOEIC S&W|話す力・書く力を、TOEICの枠組みで示す
Speaking が約20分で11問、Writing が約60分で8問。スコアはそれぞれ 0〜200点の10点刻みです。
L&R と同じ TOEIC ブランドなので、社内で「TOEICのスピーキング版」と説明すれば伝わります。L&R のスコアはあるが話す証明がない、という人が次に受ける試験として自然な選択です。
向いている人:L&R のスコアは持っていて、話す力の証明を追加したい人。社内の英語要件が S&W にも対応している人。
向いていない人:受験料が 10,450円 と L&R より高く、実施回数も少ないため、まず1つ数字がほしいだけの段階では優先度が下がります。
Versant|実務会話の即時処理を測る

Speaking and Listening Test は約20分・40問。スピーキング50%とリスニング50%で総合スコアを出します。スコアは GSE の 10〜90点です。
この試験の特徴は、考える時間がほとんどないことです。復唱が16問、ストーリーリテリングが2問と、聞いた内容をその場で処理して口に出す設問が中心を占めます。会議で急に話を振られたときの状態に近い負荷がかかります。
つまり Versant が測っているのは、知識量ではなく処理の速度と安定性です。どのサブスコアが止めているかの見極め方はVersantのスコアが上がらない理由にまとめています。TOEIC 900 で Versant が50前後という人は珍しくありませんが、これは英語力が低いのではなく、即時処理が未訓練だということです。
向いている人:会議や商談で「詰まらずに話せる」ことを証明したい人。20分で受けられるので、伸びを定期的に測りたい人にも向きます。スコア60前後で止まりやすい理由はVERSANT 59点の壁で扱っています。
向いていない人:出願や海外進学で使いたい人です。受け入れ先が Versant を採用しているとは限りません。また、読む力・書く力は Speaking and Listening Test では測っていません。
開示:当社 The Past は Versant 対策のコーチングと教材を提供している事業者です。この記事では他の資格と同じ基準(測る技能・受験料・試験時間・スコア形式)で並べており、Versant を上位に置く順位付けはしていません。
英検(実用英語技能検定)|国内の知名度と、級で示せる分かりやすさ
3級から1級は4技能、4級と5級はリーディング・リスニングとスピーキングテストの3技能です。スコアは英検CSEスコアで示されます(1級は満点2550)。
点数ではなく「級」で示せるため、社内外の非英語話者にも伝わりやすいという利点があります。
向いている人:学生時代に受験していて級を持っており、その延長で上位級を目指せる人。
向いていない人:ビジネス文脈を直接測る試験ではないため、実務での英語運用を示したい場合は TOEIC S&W や Versant の方が目的に合います。
IELTS|海外進学・移住の標準
4技能で合計約2時間45分。受験料は 27,500円、UKVI は 31,900円です。有効期限は試験日から2年。Overall がどう算出されるかはIELTSのバンドスコアとはで解説しています。
注意点が1つあります。 2025年9月1日の申込分から受験料が改定されました(25,380円→27,500円)。この適用は試験日ではなく申込日で判定されます。月をまたいで申し込む場合は、どちらの価格が適用されるか確認してください。
向いている人:海外大学院への出願、駐在に伴うビザ申請が視野にある人。多くの出願要件となるIELTS 6.5に必要な実力も参考にしてください。
向いていない人:国内の社内評価だけが目的なら、費用が TOEIC L&R の3倍以上かかります。目的に対して過剰です。
TOEFL iBT|英語圏の大学・大学院への出願
4技能を測ります。受験料は US$195 で、これだけドル建て・税抜です。有効期限は受験日から2年で、2年を超えると ETS はスコアを送付しません。
2026年1月21日からスコアスケールが変わりました。 総合スコアは 1〜6 の0.5刻みです。移行期の2年間は 0〜120 換算の推定値が併記されます。
向いている人:アメリカを中心とした大学・大学院に出願する人。
向いていない人:ビジネス英語の証明としては、日本国内の企業で通じにくい試験です。学術的な内容が中心で、商談や会議の英語とは離れています。
日商ビジネス英語検定|商取引の実務に寄せた検定
受験料は 6,600円(別途 事務手数料550円)。IBT方式で、インターネット経由で受験します。今回挙げた8つの中では最も安く受けられます。
商工会議所が実施しており、名称のとおりビジネス実務に寄った内容です。
向いている人:貿易・商取引の実務に関わっていて、その文脈での英語力を示したい人。費用を抑えて受けたい人。
向いていない人:知名度は TOEIC ほどではないため、転職市場で数字として示す場面では説明が必要になります。
Linguaskill Business|必要な技能だけを選んで測る
ケンブリッジが提供する試験で、スピーキング・ライティング・リーディング・リスニングから必要な技能を選んで受験できます。
ただし、日本語の公式ページに受験料の記載がありません。企業・教育機関向けという位置づけで、申し込みは問い合わせ制です。
向いている人:企業として社員の英語力を一括で測りたい担当者。
向いていない人:個人で今すぐ受けたい人です。まず問い合わせが必要で、費用も事前には分かりません。
目的別|あなたが受けるべき資格
ここまでを、目的から逆算して整理します。
| 目的 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 転職で英語力を数字で示したい | TOEIC L&R | 説明なしで通じる。受験機会が多い |
| 社内評価・昇進要件を満たしたい | 社内が指定する試験 | 指定がある場合はそれが唯一の正解。まず要件を確認する |
| 会議で話せることを示したい | Versant / TOEIC S&W | 話す力を直接測る。L&R では証明できない |
| 海外赴任・ビザ申請 | IELTS | UKVI 対応。受け入れ国の要件を確認する |
| 海外大学・大学院に出願 | TOEFL iBT / IELTS | 出願先が指定する試験に従う |
| 費用を抑えて実務英語を測りたい | 日商ビジネス英語検定 | 6,600円。8つの中で最も安い |
社内に指定がある場合、この表より社内規定が優先します。 指定された試験以外でどれだけ高いスコアを取っても、評価には反映されません。まず人事や上長に確認してください。
よくある失敗|「有名だから」で選ぶと起きること

資格選びで多いのは、次の3つです。
1. 知名度だけで TOEIC L&R を選び、話す証明が必要だったと後で気づく
最も多いパターンです。スコアは上がったのに、会議での評価は変わらない。理由は明確で、証明した能力と求められていた能力が違うからです。
2. 難易度だけで判断する
「IELTS の方が難しいから価値が高い」という選び方です。試験の難易度と、あなたの目的への適合は別の話です。海外進学の予定がないなら、IELTS の 27,500円は目的に対して過剰な投資になります。
3. 有効期限を確認しない
TOEIC も IELTS も TOEFL も、有効期限は2年です。転職活動の予定から逆算せずに早く取りすぎると、いざ提出する段階で期限切れになります。
記事内トレーニング|5分で「証明したい能力」を見極める
資格を選ぶ前に、自分が何を証明する必要があるのかを言語化します。5分で終わります。
Step 1|英語を使う場面を3つ書き出す(2分)
実際の業務で英語を使う場面を、具体的に3つ書き出してください。「会議」ではなく「週次の定例で進捗を報告し、質問に答える」まで具体化します。
Step 2|その場面で必要な技能に分解する(2分)
書き出した3つを、L・R・S・W のどれが必要かで分解します。
- 週次定例で進捗を報告する → S(話す)と L(質問を聞き取る)
- 契約書のドラフトを確認する → R(読む)
- 議事録を英語で共有する → W(書く)
Step 3|30秒で言葉にする(1分)
「自分が証明すべきなのは、○○の力です」と、声に出して30秒で言い切ってください。言えなければ、まだ目的が絞れていません。
3つのうち S と L が多かった人が TOEIC L&R だけを受けても、証明したい能力は測れません。ここが一致しているかどうかが、資格選びの成否を決めます。
資格対策に入る前に、ビジネス英語の土台を1冊で作り直したい場合もあります。目的別に選べる書籍はビジネス英語の本おすすめ10選|目的別・レベル別の選び方にまとめています。
よくある質問
Q. TOEIC のスコアに有効期限はありますか。
IIBCの公式FAQによると、テスト開発元のETSは「スコアの有効期限を2年と設定しています」と回答しています。ただし提出先が独自に期限を定めている場合があるため、応募先の方針を確認してください。なお、公式認定証の再発行は試験日から2年以内(1部550円)で、これは有効期限とは別のルールです。
Q. 複数の資格を持つ意味はありますか。
あります。TOEIC L&R で読む・聞く力を、TOEIC S&W や Versant で話す力を示す、という組み合わせは実務上わかりやすい形です。ただし、目的が1つに絞れているなら1つで十分です。
Q. 一番安く受けられるのはどれですか。
今回の8つでは、日商ビジネス英語検定の 6,600円(+事務手数料550円)です。次に Versant Writing Test の 4,400円がありますが、これは書く力のみを測る試験です。
Q. TOEIC L&R の受験料が2種類あるのはなぜですか。
紙の公式認定証を発行するかどうかが選べるためです。発行しない場合は 7,700円で、110円安くなります。
赴任が決まっている場合は、証明したい能力よりも赴任先で実際に要る英語から逆算します。赴任先別の目安は海外駐在に必要な英語力|赴任先別の目安と赴任前の学習法にまとめています。
まとめ
ビジネス英語の資格は、知名度で選ぶものではありません。何を証明したいかで決まります。
- まず目的を決める(転職/社内評価/海外赴任/進学)
- 次にその目的で必要な技能を L・R・S・W に分解する
- 最後に、その技能を測っている資格を選ぶ
この順序で絞れば、候補は1つか2つに収まります。逆に、資格名から入ると必ず迷います。
受験料と有効期限は変わります。この記事の金額は2026年8月時点で各公式サイトを確認したものですが、申し込む前に必ず最新を確認してください。
資格を決める前に、証明したい能力を診断する
記事内トレーニングをやってみて、「自分が証明すべき能力」を30秒で言い切れなかった方は、そこから整理した方が早く進みます。
The Past では、証明したい能力から逆算して学習を設計する考え方を、無料のeBookにまとめています。転職なのか、会議対応なのか、昇進要件なのか。目的が変われば、鍛えるべき能力も、選ぶ試験も変わります。
有名な試験に先に申し込む必要はありません。目的が定まると、資格選びも学習内容も無駄が消えます。
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参考文献・出典
受験料・試験仕様(2026年8月時点・各公式サイトで確認)
- IIBC「受験料・支払方法|TOEIC Listening & Reading Test」 https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/flow.html
- IIBC「申込方法・受験料|TOEIC Speaking & Writing Tests」 https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/guide01_03.html
- IIBC「よくあるご質問|スコアに有効期限はありますか?」 https://faq.iibc-global.org/faq/show/1010
- Versant by Pearson「テストの種類・受験料」 https://www.versant.jp/test/speaking
- 日本英語検定協会「検定料」 https://www.eiken.or.jp/eiken/schedule/group/fees/
- 日本英語検定協会「IELTS受験料改定のお知らせ」 https://www.eiken.or.jp/ielts/students_info/2025/0813_ielts_703.html
- ETS「TOEFL iBT Test Registration Fee」 https://www.ets.org/toefl/test-takers/ibt/register/fees.html
- ETS「TOEFL iBT Score Breakdown」 https://www.ets.org/toefl/test-takers/ibt/scores/understand-scores.html
- 商工会議所「日商ビジネス英語検定」 https://www.kentei.ne.jp/english
- Cambridge English「Linguaskill Business」 https://www.cambridgeenglish.org/jp/exams-and-tests/linguaskill/business/
理論的背景
- Douglas, D. (2000). Assessing Languages for Specific Purposes. Cambridge University Press.
- Bachman, L. F. (1990). Fundamental Considerations in Language Testing. Oxford University Press.