Versant English Placement Test (VEPT)とは?Versant Placement Test(4技能)対策
日本では英語力を測る試験というと、TOEICや英検を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、近年ではグローバル業務やオンライン化の進展により、スピーキングを含む4技能を短時間で世界中のどこにいても正確に測れるテストの需要が高まっています。
そんな利便性も高くテストの点数の妥当性と信頼性が高いのがPearson社のVersantテスト。世界の企業や大使館、教育機関で広く利用されているにもかかわらず、日本ではまだ認知度が高くありません。
この記事では、主に企業の採用時や教育機関のレベル分けに活用されるVersant English Placement Test(VEPT)がどのようなテストなのか、何を測定し、どのようにスコアが表示されるのかをご紹介します。
1.VEPTの特徴は?
VEPTの目的は、実際に英語を使う場面で必要とされる力を総合的に測ることです。「英語圏において、実生活で遭遇するであろうタスクの遂行力を短時間で評価したい」というニーズに応えるテストです。面接官不要、オンライン完結ですので利便性が高く、コスト面でもメリットがあります。短時間で正確に4技能の評価ができるため、日本国内でも、外資系企業をはじめ、導入が増えてきています。
VEPTの主な特徴は以下のとおりです。
- パソコンでオンライン受検
- 約50分で4技能(Listening, Speaking, Reading, Writing)を評価
- AIによる信頼性が高い一貫した評価
- 結果は数分で確認可能
- 主な活用場面はグローバル企業や大使館などの公的な機関での採用・配置や教育機関のレベル分け




2.受検に際して必要となる基礎力
VEPTは瞬発力を求められるテストです。回答時間が短く、すぐに答える必要があります。「ゆっくり考えてから答える」「後回しにして答える」ということができないため、英語に慣れている必要があります。日頃から英語に接していないと、聞こえた文を復唱したり、短い時間表示された文を読んで同じように書き出すことができません。そのため、受験には日本の高校1年生程度の英語力は必要だと言えるでしょう。
リスニングとスピーキングスコアの評価の大きな配分は発音と流暢さです。基本的な英語の文を聞いて理解できるかや音を正しく再現できるかが評価されます。Versantスコアが20点未満の場合は、評価不能となり、点数が出ません。日本の学校教育では発音の正しさに指導時間を割いていないので、音の勉強をし直して、正しい発音、アクセント、イントネーションを意識した練習をしてから受験すると、リスニングとスピーキングはより良いスコアを得られる可能性が高いです。
また、タイピングでタスクを行いますので、PCやタブレット+キーボードで英語でタイプすることにも慣れておく必要があります。1分間に12単語を書き出すスピードと90%以上の正確さがないと、ライティングのスコアも評価不能となり、テストの結果が出ません。このことからも、ある程度英語に慣れていないと評価が出ないテストと言えます。
3. VEPTのスコア
GSEスコアはCommon European Framework of Reference for Languages(CEFR)という、世界基準の語学力のものさしに合わせてスコア換算されたものです。CEFRとはヨーロッパで生まれた語学力評価基準です。現在は世界中の語学試験をそのものさしに合わせてスコア換算し、レベルがわかるようになっていますので、CEFRは語学力の国際基準と考えるとよいでしょう。国や言語、試験の違いを超えて共通のレベル基準として使えるため、現在では特定のCEFRレベルを海外勤務者向けの就労ビザ要件として採用している国もあります。
CEFRは6つのレベルで示されます。
A1 初級・入門レベル:簡単な単語や短い文が理解できる。
A2 基礎レベル:日常的な表現が使える。買い物や簡単な会話ができる。
B1 中級・日常会話ができるレベル:職場で単純な業務連絡ができる。旅行や生活に困らない。
B2 中上級・実務ができるレベル:会議、電話、メール、説明など、業務全般が英語で問題なく対応できる。
C1 上級・高度な業務遂行レベル:複雑な議論や交渉ができる。文章作成や専門会話も可能。
C2 熟練レベル:教養のある母語話者に近い力をもち、高度な議論や専門領域にも対応できる。
| CEFRレベル | レベル説明 | GSEスコア範囲 |
|---|---|---|
| C1-C2 | 上級・熟練 | 76-90 |
| B2 | 中上級 | 59-75 |
| B1 | 中級 | 43-58 |
| A1-A2 | 初級・基礎 | 10-42 |
GSEとCEFRの換算は以下のとおりです。https://www.pearsoncanadaschool.com/content/dam/websites/pearson-canada-school/assets/documents/literacy/gse/gse-vs-cefr-chart.pdf
なお、興味深いのは、Versantスコアが満点でも、GSEスコアは満点にはならない点です。
下記の結果では、Versantは80点満点ですが、GSE換算では90点中、88点となっています。
これは、C2レベルの最も難易度の高いタスクがVEPTには存在していないため、一番上のレベルに到達しているかを測れないためです。
例えば、専門的な論文が書けるかどうかは短い試験時間では測れませんので、C2の最も上のレベルに達しているかがわからないのです。なおC1、C2レベルの判定に優れている別のテストVersant Professional English Testというものもありますので、レベルの高い方はぜひチャレンジしてください。

4.目指すべきスコアは?
VEPTにおいては、総合スコアは90点満点のGSEスコアで表示されます。目指すべきスコアは、CEFRを基準に考えるのが一般的です。
CEFRは企業の海外赴任基準や外資系企業の採用基準にもよく使われています。
一般的には卒なく業務をその言葉でできるWorking ProficiencyはCEFRのB2レベル(59点以上)と言われています。
会議に参加し意見を述べたときにミスコミュニケーションが発生しない、メールや報告書を正確に書けるといった能力が含まれます。つまり、業務に必要な英語が一通りできる実務レベルということです。
たとえば海外赴任などでこのレベルを必要とする場合に必要なスコアはB2の真ん中あたりの65点ほどと考えると良いでしょう。
さらに専門性が高い業務や戦略的に言葉を使って折衝したりする管理職レベルの英語力が必要な場合は、C1が求められることもあります。
教養のあるネイティブと完全に対等にやり取りできることを目指すのであれば、C2レベルを目指すと良いでしょう。これから英語に本格的に取り組む場合は、英語圏で授業が受けたり、基本的な仕事がなんとかできるのがB1レベルとされていますので、その中間あたりのスコアのGSE50点ほどを取ることを意識すると良いでしょう。
5. VEPTの問題形式と答え方のヒント
Versantでは「統合型試験方式」を採用しています。
ひとつの問題で複数の英語力を同時に評価する仕組みが使われています。
通常のテストは「聞く問題は聞くだけ」「話す問題は話すだけ」と、スキルを分けて測ることが多いのですが、Versantは、日常的に遭遇する実際のコミュニケーションに近い形で複数のスキルを同時に使う力を測定できるように工夫されています。
たとえば復唱問題では、受験者はまず英語を聞き取り、その内容を理解してから、自分で同じように声に出して話す必要があります。復唱問題を解くためには語彙力、文法力、早い音源でも聞き取れる総合的なリスニング力、語彙力と文法力を使って、文を再構築し、正しい発音で流暢に述べるスピーキング力が必要とされます。
こういった総合型試験では、付け焼き刃的な試験対策ではスコアは上がりにくく、英語力の底上げをしないとなかなかスコアは伸びないのが特徴です。
試験のタスク
| Part | 問題形式 | タスク内容 | スコアへの反映・評価項目 | 問題数 |
|---|---|---|---|---|
| Part A | 音読 | パッセージの音読 | Speaking and Reading | 2 |
| Part B | 復唱 | 文を聞いて、同じように言う | Speaking | 16 |
| Part C | 文の構築 | バラバラになった文のパーツを聞いて文を言う | Speaking | 10 |
| Part D | 会話(内容理解) | 短い会話を聞いて内容に関する質問に口頭で回答する | Listening | 12 |
| Part E | タイピング ※総合点評価外 | 画面に出ているパラグラフをタイプする | Typing Speed and Accuracy | 1 |
| Part F | 空欄補助 | 語彙・コロケーション・文法問題の文穴埋め | Reading | 20 |
| Part G | ディクテーション | 聞いたことをタイピングする | Listening | 16 |
| Part H | 話の記憶と再構築 | 画面に表示された内容を読んで暗記し、消えたら同じ内容を書く | Writing | 3 |
| Part I | 要約と意見陳述 | 読んだ内容を要約したあとに、同じテーマについて自分の意見を書く | Reading and Writing | 1 |
6. 各パート別の特徴と対策方法
Part A: Read Aloud(音読)
60単語くらいのパッセージを30秒で読みます。意味のかたまりごとに、抑揚をつけて読みましょう。
発音、イントネーション、流暢さが評価されます。
音のつながりや脱落など、自然な英語の発音を意識して読みましょう。
1つ1つの正しい発音をフォニックスで学び、文全体に影響をするリエゾン、音の脱落、音の変化などについて学ぶと高スコアが取りやすくなります。
問題例:
Fitness centers are places where people go to work out. At most fitness centers, you must pay to join. After becoming a member of a fitness center, you can visit as many times as you want. Most fitness centers have workout equipment and dumbbells. Some fitness centers also have swimming areas and sports courts. Many fitness centers provide exercise lessons for their members.
VERSANT Placement Test【Part A 音読 / Read Aloud】模擬テスト
Part B: Repeat(復唱)
聞こえた文章を正確に繰り返すタスクです。このテストの特徴の一つでもある「粗い音」に慣れておく必要があります。
プロのナレーターではなく、一般的な英語発音のネイティブが、多少雑音のある中で話している音源が使われています。
英語圏で生活をすると、様々な生活音の中でいろいろな人の英語を聞いてコミュニケーションをとる必要がありますので、そのような状況下でも正確に聞き取れているかを測るタスクです。
語彙力も必要なパートです。一語ずつではなく、チャンク(意味のかたまり)で聞き、「音をすべて真似て言う」意識をするとよいでしょう。
問題例:
I didn’t have time to make copies of these documents.
VERSANT Placement Test【Part B 復唱 / Repeat】模擬テスト
Part C: Sentence Builds(文の構築)
3つの単語のかたまりを聞き、正しい語順に並べて文を作るタスクです。文法力を問われています。
SVO(主語 動詞 目的語)の基本に基づき文を再構築します。「誰が」「何した」「どのように」のイメージを持ちながら聞くと良いでしょう。
短く正しい文を作ることが最重要ですが、文を述べるときの発音も評価対象ですので、ネイティブの英語に近い発話をするように意識することも大切です。
問題例:
“was reading” “my mother “her favorite book”
→ My mother was reading her favorite book.
VERSANT Placement Test【Part C 文の構築 / Sentence Builds】模擬テスト
Part D: Short Answer(会話内容理解)
短い会話を聞いて、その会話の内容に関する質問に答える問題です。
TOEIC受験に慣れている方は「Part 3の会話の短い版に選択肢なしで答える」と考えると想像しやすいと思います。
問題例:
Speaker 1: “Lucy, can you come to the office early tomorrow?”
Speaker 2: “Sure, what time?”
Speaker 1: “7:30 would be great.”
Question: “What will Lucy have to do tomorrow morning?”
→ “Go to the office early.” または “She will go to the office at 7:30.”
会話について5Wの質問がされますので、Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)行ったのかを把握しながら会話を聞いていくことが大切です。
回答方法は1つではありません。AIが内容と一致しているかを判断します。
短く回答しても長く回答しても評価は変わりませんので、急いで長い回答を言うよりも、きれいな発音でハキハキと短く答えることをおすすめします。
また、数秒以内に反応する癖をつけておくことも大切です。
VERSANT Placement Test【Part D 会話 / Conversations】模擬テスト
Part E: Typing(タイピング)
このパートは、以後のパートでライティングスキルを評価するために、どれだけタイピングができるかを測るためのパートです。
左にあるパッセージを見ながら、同じことを右側に書き出します。
総合スコアには影響せず、このパートだけの評価がスコアレポートに掲載されます。
1分間に12単語を書き出すスピードと90%以上の正確さがないと、ライティングのスコアも評価不能と判断されます。
最低限必要なレベルのハードルは低いのですが、早くタイプできたほうが要約問題や意見問題に有利ですので、日頃から書き写してタイピングする練習や英語で書くことを習慣化すると良いでしょう。
問題例:
Some people believe that achievement can be reached by following four easy steps. First, know your character, along with your strong and weak points. Second, decide what you want in life. It’s simple to watch someone else succeed and assume you want the same, but your goals should be your own. Third, find the people who can support you, then ask for their help. Fourth, put in effort to reach your goals. Someone once said, “nothing important comes without effort.” Those words hold truth. Success in life will always come with setbacks. Still, you must keep moving forward.
評価例:
VERSANT Placement Test【Part E タイピング / Typing】模擬テスト
Part F: Sentence Completion(空欄補助)
文の空所を常識的な発想で入りそうな単語、または文法的に必要となる単語を入力する問題タイプです。
語彙力やコロケーション知識を試されています。
コロケーションとはよく一緒に使われる単語のこと。
たとえば、「辞書を…」と言われたら続きは「ひく」と答える日本人が多いです。
もちろん、「辞書を買う」や「辞書を落とした」など、別の単語も入りますが、最もよく使われる単語の組み合わせが出ることが多いです。また、文になっているので、前後にヒントがあります。
「知らない単語があったので辞書を___」といった感じです。語彙力を増やすことでこのパートのスコアアップが目指せます。
問題例:
- I had to take out a loan from the ________ to cover the cost of replacing the roof of my house.
→ bank
- We all worked hard to find a solution to the ________.
→ problem
VERSANT Placement Test【Part F 空欄補助 / Sentence Completion】模擬テスト
Part G: Dictation(ディクテーション)
聞こえたことを書き取れるかを試されているタスクです。
聞いたことを書き出すには、忘れる前にすべて書き出せるように、タイピングのスピードも重要です。
音源はなんでもよいので、流れてくる英語をタイピングする練習をすることがスコアアップに直結します。対策がしやすいパートです。
問題例:
What time do you want to have dinner?
VERSANT Placement Test【Part G ディクテーション / Dictation】模擬テスト
Part H: 文章再構築
画面に表示されるパラグラフを読んで内容を記憶して、自分で書き出すタスクです。
要約のように情報を減らすのではなく、できるだけ多くの詳細を含めて書くことが高得点につながります。
文法的に正しい文を書くのはもちろんのこと、スペルと句読点にも注意しましょう。
すべての単語を暗記するのは難しいので、同義語を使って自分の言葉で書いても問題ありません。
問題例:
VERSANT Placement Test【Part H 文章再構成 / Passage Reconstruction】模擬テスト
Part I: Summary and Opinion(要約と意見)
Part Iには2つの異なるタスクがあります。
まずはパラグラフを読んで、理解した内容を要約します。要点をまとめて25-50語にまとめる必要があるので、テーマと主張だけに絞って書きましょう。
次に、読んだ内容に自分が同意するかしないを決めて、意見陳述をします。最低50単語書く必要がありますが、上限はありません。
全部で18分使えるので、時間は十分あります。
英語を書き慣れている場合は、3段落エッセイが書けるくらいの時間ですので、事例などを加えて、主張が論理的に伝わるように意見を書きましょう。
問題例:
VERSANT Placement Test【Part I 要約と意見 / Summary and Opinion】模擬テスト
7. 学習のヒント
英語力の底上げをする努力をしないと高得点が取れない試験です。
まずはリスニングでもリーディングでも文構造をつかむ習慣を付け、主語と動詞、キーワード(人・数字・動作)を逃さないように処理能力を高めることが大切です。
Listeningでは、文全体の意味をとらえ、全部聞き取れなくても聞き取れたことを元に想像して瞬時に回答できるように瞬発力を高めましょう。
Speakingでは、ネイティブの英語の音を意識して音のつながりや脱落、イントネーションを真似て精度を上げて発話しましょう。
丁寧なリピーティング練習や流暢さを上げることを意識して何度も口に出して英文を言う練習が役立ちます。
Readingでは、リーディングスピードを上げて、タイピングへと繋げられるように文を見た瞬間に主語と動詞を素早く見抜くトレーニングを行うと良いでしょう。
Writingでは、まずは短く正確な英文をたくさん書けるように練習し、徐々により複雑な構文も書けるように練習していきましょう。書き写しやディクテーションがライティングスピードを上げるのに役立ちます。


まとめ
VEPTは、短時間で4技能を総合評価できる非常に実用的な英語テストです。
自動採点による公平性が高く、Versant ScoreとGSEの二つの指標で英語力を客観的かつ詳細に把握できることや利便性とコスト面の強みから、企業や教育の現場での導入が広まっています。
特に企業のグローバル化が進む中で、今後、世界標準のテストの活用が増える見込みです。
日本ではまだ知名度が高くありませんが、「英語が使えるか」 を短時間で測れるVEPTは今後ぜひ注目すべきテストのひとつと言えるでしょう。
端的なテスト対策ではなかなかスコアが伸びない、総合力を測る試験なので、日々の英語習慣がそのままスコアにつながります。
参考文献