【独自調査・大手28社】VERSANTスコアの目安|43点・51点・59点で見るレイヤー別の到達ライン
VERSANTのスコアが手元に届いて、最初に思うのは「この点数は良いのか、悪いのか」という疑問です。
ここで重要なのは、VERSANTスコアは平均値で語っても意味がないという事実です。日本人受験者の平均はGSE 40(CEFR A2+)ですが、平均を1点上回ったからといって、実務で英語が使えるようにはなりません。
スコアの意味を理解するには、「43点・51点・59点」という3つのレイヤーで切り分けて考える 必要があります。それぞれが「実務で何ができるか」が切り替わる境界線だからです。
本記事では、日経×ピアソンの公式データ(2023年スコアデータベース)と、私たちThe Pastが独自に集計した大手28社のVERSANT導入実例を組み合わせ、新形式(10〜90点)のスコアが実務でどのような意味を持つのかを構造的に整理します。
目標スコアの意味を考える前に、いまの自分がどの点数帯にいるかを把握しておくと、読み進め方が具体的になります。 下の診断は登録不要・無料で、約10分あれば今の実力の目安がつかめます。

VERSANTスコアは「43点・51点・59点」の3レイヤーで考える
結論から書きます。VERSANTスコアを読み解くには、まずこの3つの点数を押さえてください。
| スコア | CEFR | レイヤーの意味 |
|---|---|---|
| 43点 | B1 | 海外ビジネスのエントリーライン |
| 51点 | B1+ | TOEIC L&R 900点台保持者の平均レベル |
| 59点 | B2 | ビジネスで英語が十分に使える上級者ライン |
理由はシンプルです。VERSANTは10〜90の連続スケールで採点されますが、実務で測定される能力は連続的に伸びるのではなく、特定の点数を境にできることが切り替わる からです。
もう少し分解すると、3つのレイヤーはそれぞれ次の能力転換点を示しています。
- 43点:日常的な話題で自分の意見を述べられる水準に到達。海外メンバーとのメール対応や、簡単な商談のやり取りに踏み込める
- 51点:会話をリードし、議論の筋道を維持できる水準。会議で「聞く」だけでなく「参加する」段階
- 59点:複数の話題について流暢に話し、専門分野での技術的指示や懸念表明を具体的にできる水準
43点 ── 海外ビジネスのエントリーライン
CEFR B1に到達する最低ラインです。日経×ピアソンの公式資料では「英語でビジネスするためにまず必要とされる目安」「海外赴任目安ライン」と定義されています。
The Pastが独自に調査した大手28社のうち、このラインを採用・昇進・研修の基準として明確に公表しているのは パーソルホールディングス・株式会社日本触媒 の2社です。株式会社構造計画研究所 は40点(CEFR A2+の上限)を新卒外国籍採用のスクリーニング基準に設定しており、43点ラインへの到達を入社後の目標に位置付けていると考えるのが自然です。
51点 ── TOEIC 900点台保持者の平均レベル
日経×ピアソンの2023年スコアデータベースによれば、TOEIC L&R 900点台保持者のVERSANT平均スコアは52点(CEFR B1+) です。つまり、「TOEICで上位レベルにいる学習者」がVERSANTで到達している地点が、ちょうど51〜52点になります。
逆に言えば、TOEIC 900点を超えていてもVERSANT 51点に届かないケースは、能力構造に偏りがあるサインです。TOEICが測るのは理解能力中心、VERSANTが測るのは即時の発話処理。測定している能力が違うため、TOEIC高得点がVERSANTスコアを保証しません。
59点 ── ビジネスで英語が十分に使える上級者ライン
CEFR B2に到達するラインです。日経×ピアソンの公式資料では「ビジネスで英語が十分に使える上級者」と定義されており、外資系企業の採用基準として一般的に設定される点数です。
ただし、日本人受験者でこのラインに到達できるのは 約7% にすぎません(GSE 59以上の合計比率、2023年ピアソン社調べ)。株式会社三井住友銀行は採用基準として65点(B2の中位)を設定 しており、上場大手の中でも厳しい部類に入ります。
ここまでを整理すると
40点台・50点台・60点台のような10点刻みではなく、43点・51点・59点という「能力の境界線」を起点に考える。これがVERSANTスコアを構造的に読み解くための出発点です。
以降のセクションでは、それぞれのレイヤーで何ができ・何ができないかを能力単位で分解し、どの企業がそのレイヤーを基準にしているか、そして自分が今どこにいるかをどう測るかを順に整理します。

VERSANTスコアの基本構造を分解する
スコアの意味を本当に理解するには、VERSANTが何を測っているかを構造として把握する必要があります。
結論から書くと、VERSANTの総合スコアは次の比率で算出されます。
- リスニング力 50%
- スピーキング力 50%(うち「話の内容」25% +「話法能力」25%)
つまり、総合スコアの 75%は「聞いて理解し、正しい内容を返す力」 で決まり、残り25%が「どのように話すか(発音・流暢さ・わかりやすさ)」 です。
スコアの目安が分かっても、自分が今どのレイヤーにいるかは測らないと分かりません。The Past の無料VERSANT模試+スコアレポート(LINE登録)では、本番形式の模試(約10分)で現在地を技能別に把握できます。
スコア範囲とCEFRの対応
Versant by Pearson English Speaking and Listening Testのスコア範囲は10〜90点で、1点刻みで採点されます。スコアはGSE(Global Scale of English)で表示され、CEFR(A1〜C2)と完全互換です。
具体的な対応は次のとおりです。
| CEFR | GSE | レベルの位置づけ |
|---|---|---|
| A1> | 10–21 | 観光客レベル |
| A1 | 22–29 | 入門レベル |
| A2 | 30–35 | 初級者 |
| A2+ | 36–42 | 準中級者 |
| B1 | 43–50 | 中級者 |
| B1+ | 51–58 | 準中上級者 |
| B2 | 59–66 | 中上級者 |
| B2+ | 67–75 | 準上級者 |
| C1 | 76–84 | 上級者 |
| C2 | 85–90 | 熟練者 |
出典:Versant by Pearson 公式/日経スコア活用BOOK
VERSANTスコアの他試験換算表(TOEIC・英検・IELTS)
「VERSANTの点数が、他の試験だとどのくらいか」を知りたい方のために、CEFRを共通の物差しにした換算の目安を一覧にします。測っている能力が試験ごとに異なるため、あくまで目安として参照してください(特にTOEIC L&Rは「読む・聞く」中心で、VERSANTの「話す」運用力とは一致しにくい点に注意)。
| CEFR | VERSANT(GSE) | TOEIC L&R | TOEIC S&W(各) | 英検 | IELTS |
|---|---|---|---|---|---|
| A2 | 30–35 | 225–500 | 各80–100 | 準2級 | 3.0前後 |
| A2+ | 36–42 | 500–545 | 各100–110 | 準2級〜2級 | 3.5–4.0 |
| B1 | 43–50 | 550–780 | 各120–150 | 2級 | 4.0–5.0 |
| B1+ | 51–58 | 785前後 | 各150–160 | 2級〜準1級 | 5.0–5.5 |
| B2 | 59–66 | 785–940 | 各160–180 | 準1級 | 5.5–6.5 |
| B2+ | 67–75 | 900–940 | 各180–190 | 準1級〜1級 | 6.5–7.0 |
| C1 | 76–84 | 945–990 | 各190–200 | 1級 | 7.0–8.0 |
※ CEFRを基準にした概算対応です。TOEIC L&RはETSのCEFR対応、英検はCSEスコアのCEFR対応、IELTSはIELTS公式のCEFR対応を参照した目安として掲載しています。
この換算表で特に注意したいのが、TOEIC L&Rとの不一致です。TOEIC 900点台(CEFR B2〜C1相当)でも、VERSANTの平均は52点前後(B1〜B1+)にとどまります。読解・聞き取りの精度(TOEIC)と、その場で話す運用力(VERSANT)は別の能力だからです。詳しくはTOEIC vs VERSANT|目的別の使い分けと対策の違いで解説しています。
スピーキング力をさらに分解する
ここで重要なのは、スピーキング力の50%が、性質の異なる2つの観点に分かれているという点です。
- 話の内容(Use of spoken language)25%:語彙の選択・文の構築・回答の正確さ。「何を言うか」の質
- 話法能力(Manner of Speaking)25%:発音・流暢さ・話のわかりやすさ。「どのように言うか」の質
よくある誤解は、VERSANT対策=発音矯正だと思い込むことです。実際にはManner of Speaking(話し方)は総合スコアの25%にすぎず、残り75%は 内容を正しく扱う力(リスニング+話の内容) が占めます。
つまり、発音だけ磨いても59点には届きません。逆に、内容を扱う力(リスニング+語彙・文構築)を後回しにすると、いくら発音練習を重ねてもスコアは伸びにくくなります。
旧形式の4指標(Sentence Mastery等)は使わない
なお、Sentence Mastery・Vocabulary・Fluency・Pronunciationの4指標は 旧形式(Versant English Test)の評価項目 です。現行のVersant by Pearson English Speaking and Listening Testのスコア構造は、上記の「リスニング+スピーキング(内容+話法能力)」が公式です。
ネット上にはまだ旧形式の4指標で解説している記事が残っています。現在の受験者が見るべきは新形式のスコア構造です。

日本人受験者の平均はGSE 40 ── だがこの数字には注意が必要
ピアソン社の集計によれば、日本人受験者の平均はGSE 40(CEFR A2+)です。しかしこの「40点」を額面通り受け取ると、自分の位置を見誤ります。
理由はシンプルです。この平均値は「日本人全体」の平均ではなく、「VERSANTを受験した日本人」の平均 だからです。VERSANTの受験データは2019年前後から本格的に蓄積されていますが、当時の受験者層は英語学習に積極的な層が中心で、母集団に偏りがあります。
TOEIC平均611点と比べて、ものさしを正す
ここで参照したいのが、TOEIC L&Rの平均値です。
- TOEIC L&R 公開テスト全体平均:約611点(リスニング約334点/リーディング約277点)
- 社会人平均:約638点
- 大学生平均:約580点前後
- 履歴書で評価される目安:600点以上
日本人全体の英語力の中央値はTOEIC 611点付近にあります。一方、The Pastの受講生データでは、VERSANT 40点を取得した方々の平均TOEICスコアは730点 でした。
つまりVERSANT 40点は、TOEIC全体平均より120点ほど高い英語力を持つ層が到達している水準です。「日本人平均40点だから、自分も40点くらいは取れるはず」と考えるのは正確ではありません。
TOEICとVERSANTは「別技能」を測っている
もう少し分解すると、VERSANTとTOEICが測る能力は次のように異なります。
- TOEIC L&R:理解能力中心。読解と聞き取りの精度を測る
- VERSANT:運用能力中心。即時の音声処理と発話処理を測る
VERSANTは英会話のように「相手の発話を聞きながら自分の応答を組み立てる」処理を再現する設計になっています。TOEICで高得点を取れる人でも、即時発話の処理が訓練されていなければ、VERSANTのスコアは伸びません。
逆に言えば、TOEIC 611点の人がVERSANTを受けて40点を取れる保証はありません。場合によっては30点台、20点台にとどまることも珍しくないのです。
スコア分布も「VERSANT受験者層」の分布として読む
この前提を踏まえて、ピアソン社が公開している分布データを見直します。
| CEFR | GSE | VERSANT受験者の比率 |
|---|---|---|
| C2 | 85–90 | 0.4% |
| C1 | 76–84 | 1.2% |
| B2+ | 67–75 | 2.0% |
| B2 | 59–66 | 3.6% |
| B1+ | 51–58 | 7.6% |
| B1 | 43–50 | 18.1% |
| A2+ | 36–42 | 26.4% |
| A2 | 30–35 | 21.0% |
| A1 | 22–29 | 17.9% |
| A1> | 10–21 | 1.8% |
出典:日経スコア活用BOOK(2023年ピアソン社調べ)
ここで重要なのは、この分布は「VERSANT受験を選んだ層」の分布 であり、日本人全体に当てはめれば、A2以下の比率はさらに大きくなるという点です。
そのうえで、3つのレイヤーの到達者比率はこのとおりです(VERSANT受験者母集団内)。
- 43点エントリーライン到達者:約32.9%(B1以上)
- 51点ライン到達者:約14.8%(B1+以上)
- 59点上級者ライン到達者:約7.2%(B2以上)
「平均を超えた」は通過点にすぎない
ここまでを整理すると、VERSANTのスコア評価では、次の2点に注意する必要があります。
- 日本人平均40点はあくまで「受験者層の平均」であり、英語学習に積極的な層に偏っている
- TOEICで600点を取れる人がVERSANT 40点を取れる保証はない(別技能のため)
つまり、平均値ではなく 「自分の到達したいレイヤー(43点・51点・59点)から逆算して」 スコアを評価する。これがVERSANTスコアを正しく扱う出発点になります。

【レイヤー1】43点 ── 海外ビジネスのエントリーラインで何ができるか
43点(CEFR B1)に到達すると、海外メンバーとの業務に 踏み込める 水準になります。ただし、ここで踏み込めるのは「定型的な業務」であり、複雑な議論や交渉はまだ次のレイヤーの課題です。
43点で具体的にできること
日経スコア活用BOOK(GSE学習指標)に基づくと、このレイヤーで実務上できるようになるのは次の行動です。
- 日常的な話題について話し合い、長い文章で基本的な理由や意見を述べる(B1レベル)
- 簡単で明確に表現された仕事に関する留守電メッセージを残す(GSE 42)
- 視覚的な助けを使いながら、なじみのあるトピックの短い話を行う(GSE 44)
- 折り返しの電話で、誰がどのような理由でかけているのか説明する(GSE 45)
- 簡単なビジネス取引で、基礎的な語句を使って価格の変更を交渉する(GSE 47)
- 簡単な語句を使って、製品の特長について議論する(GSE 49)
- 仕事関連の会議の目的と要点を簡単なやり方で書き上げる(GSE 50)
つまり、海外メンバーとのメール対応、定型的なミーティングへの参加、簡単な商談での価格調整など、業務の「型」が決まっている場面で英語を運用できる 段階です。
43点で「できないこと」も整理する
ここで重要なのは、43点では何ができないかを把握しておくことです。能力の境界線を曖昧にすると、目標設定を誤ります。
- 議論をリードして方向性を決める(51点ライン以上が必要)
- 専門分野の技術的な指示を出す(59点ライン以上が必要)
- テレビ会議で参加者を管理する(GSE 74、B2+相当)
- 複雑な交渉で対立への解決案を提示する(GSE 81、C1相当)
逆に言えば、43点で停滞している方が「議論をリードできるようになりたい」と考えるなら、その目標はそもそも次のレイヤー(51点)の課題です。43点に届いていない段階で議論訓練をしても効率は悪く、まず基本的な意見表明と定型業務での運用を固める方が先になります。
43点を採用・昇進・研修の基準にしている企業【The Past独自調査】
The Pastが公開情報から独自に集計した、VERSANT導入企業28社のうち、43点(およびその近傍)を基準として明確に公表しているのは次の3社です。
- パーソルホールディングス株式会社:CEFR B1の基準としてVERSANT 43点を設定。海外駐在員・グローバル人材育成の起点に位置付けている
- 株式会社日本触媒:CEFR B1(VERSANT 43点)を昇進・社員研修の目標値として設定
- 株式会社構造計画研究所:VERSANT 40点(CEFR A2+の上限)を東南アジアからの新卒外国籍採用のスクリーニング基準として運用
つまり、上場大手の中でも43点ラインは「グローバル業務に入るための最低条件」として共通認識になりつつあります。海外赴任を伴う部署や、外国籍人材の採用を進める部署では、このラインが事実上のエントリー基準です。

【レイヤー2】51点 ── 「TOEIC 900点なのに話せない」の正体
51点(CEFR B1+)は、日本人受験者の中で 約14.8%しか到達していない レイヤーです。日経×ピアソンの2023年データによれば、TOEIC L&R 900点台保持者のVERSANT平均スコアは52点 で、51〜52点はちょうど「TOEICで上位レベルにある層が到達している地点」になります。
51点で具体的にできること
51点に到達すると、業務の「型」を超えて、リアルタイムの対話に参加できる水準になります。
- 身近な話題から知らない話題まで、会話をリードし、維持・発展させる(B1+レベル)
- 短い簡単なビジネスレポートを書く(GSE 51)
- 相手が述べたことを復唱して理解を確認し、議論の筋道を維持する(GSE 52)
- 企業やクライアントに電話をかけ、かけている理由を説明する(GSE 53)
- 自分が働く部門や会社における様々な仕事を説明する(GSE 55)
- 製品やサービスの内容について、短く簡単なマーケティング文章を書く(GSE 56)
会議で英語を「聞く」だけでなく「議論の流れに合わせて発言する」段階です。
TOEIC 900点でVERSANTが30点台にとどまるのはなぜか
ここで多くの学習者が衝撃を受ける事実があります。
日経スコア活用BOOK(2023年データ)では、TOEIC L&Rが同じ960点でも、VERSANT総合スコアでは「82点(CEFR C1)」と「29点(CEFR A1)」という53点の差 が出る実例が示されています。同じTOEIC高得点者でも、スピーキング能力には極端な差があるのです。
理由はシンプルです。TOEICとVERSANTは異なる能力を測定している からです。
- TOEIC L&R:時間内に文章を読み、音声の要旨を聞き取る — 処理に「時間の余裕」があるテスト
- VERSANT:聞いた瞬間に意味を取り、即座に応答する — 処理に「時間の余裕がない」テスト
もう少し分解すると、VERSANTでは次の能力が同時並列で処理されている必要があります。
- 音声知覚(音を瞬時に取り込む)
- 意味理解(聞きながら理解する)
- 語彙検索(言いたい言葉を即座に呼び出す)
- 文構築(語を組み立てて文にする)
- 音声化(発音・リズム・流暢さで出力する)
TOEICで高得点を取る人は、このうち「音声知覚」と「意味理解」までは訓練されています。しかし「語彙検索→文構築→音声化」の即時処理が訓練されていなければ、VERSANTのスコアは伸びません。
つまり、TOEIC 900点でVERSANTが30点台にとどまるのは英語力の不足ではなく、処理経路の一部が未訓練 だからです。
51点ラインの直下を採用基準にしている企業
The Pastの独自調査では、株式会社日本酸素ホールディングス が VERSANT 47点を海外駐在員の英語力基準 として設定しています。47点はCEFR B1の中位で、51点ラインの直下にあたります。
47点を駐在員基準に置くということは、企業側が「実務会話の最低限の運用力(GSE 47:簡単なビジネス取引で価格の変更を交渉できる水準)」を求めていることを意味します。51点ラインに到達すれば、駐在員としての日常的なコミュニケーションに十分な余裕が生まれます。

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【レイヤー3】59点 ── ビジネスで英語が十分に使える上級者ライン
59点(CEFR B2)は、日経×ピアソンの公式資料で「ビジネスで英語が十分に使える上級者」と定義されているラインです。日本人受験者の中で 約7.2%しか到達していない 上位層になります。
59点で具体的にできること
59点に到達すると、自分の専門分野について英語で議論を組み立てられる水準になります。
- 多様な話題を流暢に話し、リアルタイムのやり取りに自信を持って応じる(B2レベル)
- 自分の専門分野における基礎的な技術的指示を行う(GSE 59)
- 仕事に関する業務(期日、仕様など)の詳細について議論する(GSE 59)
- 不満を持つ従業員や顧客からの苦情に丁寧に答える(GSE 62)
- 同僚やクライアントに悪い知らせを伝える際、声の調子を変えて同情を示す(GSE 63)
- 仕事に関して提案されている変更に合意または反対する理由を、詳細に述べる(GSE 64)
- ミーティングで特定された決定や行動項目について要約を書く(GSE 66)
- 具体的な理由や詳細を示しながら、ビジネスの状況についての懸念を表明する(GSE 66)
このレイヤーに到達すると、海外拠点との会議でリーダー役を担ったり、現地スタッフへの技術指示を出したりといった、実務の中核を英語でこなせる ようになります。
到達率7.2%が示す現実
ピアソン社の2023年スコア分布によれば、VERSANT 59点以上に到達している日本人受験者は 7.2% にすぎません。
- B2(59–66点):3.6%
- B2+(67–75点):2.0%
- C1(76–84点):1.2%
- C2(85–90点):0.4%
つまり、VERSANT受験者100人中、59点に届くのは約7人です。前述のとおりVERSANT受験者自体が英語学習に積極的な母集団であることを踏まえると、日本のビジネスパーソン全体で見れば、この水準に到達している人の比率はさらに低い と考えるのが自然です。
59点以上を採用基準にしている企業【The Past独自調査】
The Pastの独自調査で確認できた範囲では、59点以上を採用基準として明確に公表している企業は次のとおりです。
- 株式会社三井住友銀行:採用基準としてVERSANT 65点(CEFR B2の中位)を設定。上場大手の中でも厳しい部類
- パーソルホールディングス株式会社:CEFR B2の基準としてVERSANT 59点を設定(駐在員のさらに上位の人材要件として)
加えて、外資系企業の採用ラインは一般にVERSANT 59点(CEFR B2)が目安とされます。理由はシンプルで、本社や海外拠点とのリアルタイムの議論が日常業務になるため、B2相当の運用力がなければ業務が成立しないからです。
三井住友銀行が65点を設定している点には注目すべきです。65点はB2の中位(B2は59–66点)で、「B2の入口」ではなく「B2の中位以上」を求めている ことを意味します。グローバル人材の母集団を上位7%の中からさらに絞り込んでいる、ということです。

【独自調査】VERSANTを採用・昇進・研修に使う大手28社の実態
ここまでで、43点・51点・59点の3つのレイヤーごとに、どの企業がそのラインを基準にしているかを断片的に示してきました。このセクションでは、The Pastが独自に集計した28社の全体像を、用途別と業種別に整理します。
The Pastが2026年5月時点で、公開情報(求人票・採用ページ・福利厚生ページ・プレスリリース・IR報告書・導入事例)から確認できたVERSANT導入企業は 28社 です。
VERSANTの使われ方は4パターンに分類できる
調査の結果、企業のVERSANT利用は次の4パターンに分類できることが分かりました。
パターン1:採用選考(採用試験でVERSANTを実施)
応募者の英語力を選考段階でスクリーニングする使い方です。
- 株式会社資生堂(新卒採用、サプライネットワーク部門)
- 株式会社構造計画研究所(東南アジア新卒外国籍採用、VERSANT 40点基準)
- 株式会社三井住友銀行(採用基準VERSANT 65点)
- リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社
- 日本イーライリリー株式会社
パターン2:昇進・海外赴任基準(社内の人事評価でVERSANTを使用)
社員の昇進判定や、海外駐在員の選抜基準としてVERSANTを設定するパターンです。
- パーソルホールディングス株式会社(B1=43点、B2=59点、C1=76点の3段階)
- 東京海上日動システムズ株式会社(VET 35点/45点の社内基準)
- 日本酸素ホールディングス株式会社(海外駐在員基準VERSANT 47点)
- 株式会社日本触媒(B1=43点を昇進・研修目標)
パターン3:社員研修の効果測定(研修前後でスコア測定)
社員に英語研修を実施する企業が、研修の前後でVERSANTを受験させ、効果を測定するパターンです。
- 株式会社日本政策投資銀行(DBJ)
- TORAIZ株式会社(英語コーチング法人研修)
- 株式会社スタディーハッカー(ENGLISH COMPANY / STRAIL、法人研修)
- 株式会社プログリット(法人研修)
パターン4:福利厚生(VERSANT受検費補助の支給)
社員が任意でVERSANTを受験する際に、受検費用を会社が補助するパターンです。直接の評価基準ではなく、社員の学習支援として機能します。
- 株式会社マネジメントソリューションズ
- 株式会社MSOL Digital
- 株式会社ビィ・フォアード
- 株式会社エイジレス
- 株式会社プリセプト
- 株式会社JointHire Japan
- 株式会社エスアールディ/SRD
- Datachain株式会社
- エイブリック株式会社(半導体)
業種別の分布
28社を業種別に整理すると、次の分布になります。
| 業種 | 確認企業数 |
|---|---|
| 金融(銀行・証券・政府系) | 4社 |
| 化学・素材 | 3社 |
| IT・情報通信 | 4社 |
| 人材サービス・コンサル | 6社(MSOLグループ含む) |
| 製薬・医療機器 | 2社 |
| 化粧品 | 1社 |
| 損害保険 | 2社 |
| 英語教育サービス | 3社 |
| その他(小売・産業ガス・歯科等) | 3社 |
ここで重要なのは、金融・化学・IT・コンサル・製薬という「グローバル業務が日常的に発生する業種」に集中している という点です。逆に言えば、海外メンバーとのリアルタイム業務がない業種では、VERSANTは導入されにくい傾向があります。
スコアを公表していない23社の解釈
28社のうち、VERSANTのスコア基準を具体的な数値で公表しているのは 5社 で、残り23社はスコアを公表していません。
ここで誤解してはいけないのは、「公表していない」と「使っていない」は別 だという点です。企業の採用基準は機密情報として扱われるケースが多く、対外的に「VERSANT 43点以上を採用基準とする」と明示する企業はむしろ例外です。
23社の場合は、求人票の「歓迎条件」欄や福利厚生ページに「VERSANT受検費補助」と記載があったり、社員研修の効果測定にVERSANTを使用していると示唆されていたりするパターンが大半でした。

自分の目標スコアの決め方 ── 3レイヤーから逆算する
ここまでで、VERSANTスコアを「43点・51点・59点」の3レイヤーで読み解く枠組みと、各レイヤーで何ができるか、どの企業がそのラインを基準にしているかを整理してきました。最後に、自分の目標スコアをどう設定するかを構造化します。
「使う場面」から逆算する4ステップ
目標スコアの決め方は、現在のスコアから始めません。「自分が英語を使う具体的な場面」から始めます。
Step 1:英語を使う具体的なシーンを書き出す
抽象的な「英語を話せるようになりたい」ではなく、次の粒度で書き出します。
- 海外の取引先と週1回のオンライン会議で議論する
- 海外駐在で現地スタッフに技術的な指示を出す
- 外国籍メンバーとSlack・メールで日常的にやり取りする
- 海外出張で商談・契約交渉を担当する
シーンが具体的になるほど、必要なレイヤーが正確に特定できます。
Step 2:そのシーンが必要とするレイヤー(43/51/59点)を特定する
書き出したシーンを、3つのレイヤーにマッピングします。
- 43点ライン:海外メンバーとのメール・定型ミーティング・簡単な商談
- 51点ライン:会議で議論をリードする・クライアントに電話で説明する・短いビジネスレポートを書く
- 59点ライン:海外駐在で技術指示を出す・契約交渉・顧客クレーム対応・社内通訳
つまり、海外駐在を目指す方は「漠然と上を目指す」のではなく、59点ラインを明確な目標として設定する。週1回の英会議に参加するだけなら、まず51点ラインで実用上は十分です。
Step 3:現在のスコアとの差を測る
現在のスコアと目標レイヤーの差を測ります。
- 現在40点 → 目標51点:11点アップ(B1+到達まで)
- 現在47点 → 目標59点:12点アップ(B2到達まで)
- 現在55点 → 目標65点:10点アップ(B2中位到達まで)
Step 4:1レイヤー上げるまでの学習時間を見積もる
The Pastの指導現場で観察される、1レイヤー(10点前後)上げるまでの学習時間の目安は次のとおりです(条件:週10〜15時間の集中学習+指導者のフィードバック)。
| 現在のレイヤー | 次のレイヤーまでの目安 |
|---|---|
| 40点台前半 → 43点ライン | 1〜2ヶ月 |
| 43点ライン → 51点ライン | 3〜4ヶ月 |
| 51点ライン → 59点ライン | 4〜6ヶ月 |
| 59点ライン → 65点 | 4〜6ヶ月 |
数字が大きく感じる場合は、学習時間が不足しているか、能力分解ができていない可能性があります。VERSANTは「努力量」ではなく「どの能力を鍛えているか」で伸びるため、闇雲な学習量の積み増しではスコアは伸びにくいテストです。
避けるべき目標設定
ここで、多くの学習者が陥る誤った目標設定を3つ挙げます。
誤り1:「とりあえず50点」
50点はB1からB1+への過渡期にある中途半端な点数です。43点ラインも51点ラインも明確に通過しないため、何ができるようになったかが説明しにくい状態に終わります。
代わりに、43点・51点・59点のいずれかを目標に設定する のが構造的に妥当です。
誤り2:「日本人平均を超えれば十分」
前述のとおり、VERSANTの「日本人平均40点」はVERSANT受験者層の平均であり、TOEIC全体平均(611点)の人が達成できるとは限りません。さらに、平均を超えても43点エントリーラインに届かなければ、海外業務は依然として厳しい段階です。
「平均超え」を目標にすると、実務で使える水準には到達しません。
誤り3:「とにかく高い点数を取る」
VERSANTは試験対策の小手先テクニックでは伸びにくい設計になっています。59点を超える層では、ピアソン社のAI採点が「即時の音声処理+発話処理」を多面的に評価しているため、暗記や問題慣れだけでは限界があります。
目標レイヤーを明確にし、そのレイヤーに必要な能力を分解して訓練する。これがVERSANTで成果を出すための本筋です。

よくある質問(FAQ)
Q. VERSANTの日本人平均は何点ですか? A. おおむね40点(GSE 40/CEFR A2+)です。ただしこれはVERSANTを受験した層の平均で、英語学習に積極的な人に偏っています。日本人全体の水準を表す数字ではない点に注意してください。
Q. 海外赴任には何点必要ですか? A. 多くの企業が最低ラインとするのは43点(CEFR B1)です。日本酸素ホールディングスのように、駐在員基準を47点(B1中位)に設定している企業もあります。
Q. TOEIC 900点あればVERSANTも高得点ですか? A. 必ずしもそうではありません。TOEIC L&R 900点台保持者のVERSANT平均は52点前後(B1+)で、個人差も大きく、同じ960点でも29点〜82点という極端な差が出る実例があります。測っている能力(理解力 vs 即時の発話力)が違うためです。
Q. ビジネスで「十分に使える」のは何点からですか? A. CEFR B2にあたる59点が目安です。日経×ピアソンの公式資料でも「ビジネスで英語が十分に使える上級者」と定義されています。日本人受験者で59点以上に到達しているのは約7.2%です。
Q. VERSANTの評価項目は何ですか? A. 現行のVersant by Pearson English Speaking and Listening Testは、リスニング50%+スピーキング50%(話の内容=Use of Spoken Language 25%+話し方=Manner of Speaking 25%)で算出されます。旧形式の4指標(Sentence Mastery/Vocabulary/Fluency/Pronunciation)は現在使われていません。
まとめ
VERSANTのスコアは、平均値や10点刻みで見るのではなく、「43点・51点・59点」という3つのレイヤー で読み解くと意味が明確になります。
- 43点:海外ビジネスのエントリーライン。パーソル・日本触媒・構造計画研究所がこのラインを採用・昇進・研修基準に設定
- 51点:TOEIC L&R 900点台保持者の平均レベル。日本酸素HDが47点を駐在員基準に設定
- 59点:ビジネス上級者ライン。三井住友銀行が65点を採用基準に設定
スコアを伸ばす出発点は、現在のスコアではなく 自分が英語を使う場面 を具体化することです。3つのレイヤーから逆算して目標を決め、そのレイヤーに必要な能力(音声知覚・意味理解・語彙検索・文構築・音声化)を分解して訓練する。これがVERSANTスコアを構造的に伸ばす最短経路になります。
VERSANTと他試験の使い分けについては、TOEIC vs VERSANT|目的別の使い分けと対策の違い で詳しく整理しています。59点ラインの突破戦略は VERSANT 59点の壁を越える戦略 で具体的に解説しています。
法人での語学研修・英語人材育成のご相談
The Pastでは、法人向けの語学研修・VERSANT対策プログラムも多く手がけており、現実的なスコア設計から研修をスタートします。
「3年でグローバル人材を育成したい」「来年から海外駐在員候補を選抜したい」といったご相談に対し、まず次の点を整理いたします。
- 43点・51点・59点のいずれのレイヤーを目標に置くか
- 現在の社員の英語力から、どのレイヤーまで・どのくらいの期間で伸ばせるか
- 必要な学習時間とコストの目安
- 研修前後でのVERSANT測定設計
VERSANTのスコア構造を踏まえた研修設計から、社員のレベル別カリキュラム、効果測定まで一気通貫でご支援いたします。
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