「リスニング力をあげたいけど、勉強が続かない。」
そんな方には、洋楽を使ったリスニング学習方法をおすすめしています。

ただし、やり方を間違えると、カタカナ発音の洋楽になってしまったり、歌えるようになったけど、意味は理解できていない = リスニング力は伸びていない状態にもなりますので、正しいアプローチを理解することが大事です。

TOEIC、IELTSなどの試験対策の副教材としても、スピーキング力を上げたい方にもご利用いただける、効果的な学習方法についてお話していきます。

洋楽を教材として使う4つのメリット

まずは、洋楽を使うメリットを見てみましょう。

メリット

  1. 楽しく続けられる
  2. 音と意味の紐付けができる
  3. リスニングだけじゃなく、スピーキングにも活かせる
  4. カラオケで洋楽が歌える
リスニング対策として、洋楽を使うなら注目したいのは「2. 音と意味の紐付けができる」ことです。

日本人のリスニングが苦手な理由の大半は、「自分の認識している音」と「ネイティブが発話している音」に、大きなギャップがあるからです。

例えば、”a lot of”、私たちは「ア・ロット・オブ」のように3単語に分けがちですが、ネイティブはあたかも1単語のように「アロトブ」や「ァロロブ」のように読みます。

「ァロロブ」という「音」と”a lot of”という「意味」の紐付けを行うことができれば、「文字では読めるけど、リスニングになると聞こえない」という現象はグッと減ります。

これから紹介する洋楽を使った学習方法は、先に音とリズム(ァロロブ)を覚え、次に意味の紐付け(a lot of)を行うので、高い精度で紐付けを行うことができます。

※先に歌詞から入ってしまうと、無意識に自分の知ってる間違った音に置き換えてしまう可能性が高いのでオススメしません。

洋楽勉強法の全体像

この勉強法は、大きな石を削り出し、作品を完成させる彫刻の制作過程ににています。
始めは大雑把な音の塊から、じょじょに輪郭をくっきりさせていくのです。

手順をまとめると、以下の通りです。

  1. 題材選び:アカペラverがある有名な曲を選ぶ
  2. リスニング:口ずさめるレベルまで聞く
  3. リズム:歌詞は気にせず「ダ」で歌ってみる
  4. 歌詞:歌詞と音の紐付けをおこなう
  5. スピーキング:メロディーをつけずに、歌詞を喋る
  6. オプション:歌詞中の単語を入れ替え、スピーキングに活用

手順をひとつひとつ見ていきましょう。

STEP1.  題材選び:アカペラverがある有名な曲を選ぶ

曲:Ed Sheeran - Shape Of You (Official Acapella)

リスニングに活かしたいのであれば、演奏の入っていないアカペラver.がおすすめです。
細部のリズムや、発音に意識を向けやすいので、「曲名 + acapella」などで検索してみてください。

なお、Ed SheeranのShape Of Youは、英語の裏拍リズムがたくさんあり、1文の長さも長すぎず、詩的な表現も多すぎず、適度なライミング(韻を踏む)が心地よくおすすめです。

STEP 2. リスニング:口ずさめるレベルまで聞く

繰り返す

回数の厳密な指定はありませんが、曲の構成をお覚え、ところどころ口ずさめるようになるまで、まずは音楽を楽しんで聞いてください。

この段階で心がけていただきたいのは次の2つ。

  1. 聞こえた音を口ずさむ
  2. 歌詞の意味を想像する

歌詞の流れる速度についていけなくて構いません。
歌詞の意味が分かっていなくても構いません。

聞こえた音を真似して、ところどころ口ずさんでください。
すると、ネイティブ発音に近づく土台ができあがります。

また、歌詞の意味を想像するのも、リスニングのトレーニングには効果的です。

後で歌詞の意味を確認したとき、「こう思ってたのに、全然違う意味だった!」という気づきや、驚きが産まれ、そのフレーズは印象的になり、認知心理学では、このようなインパクトが付与された記憶は、長期的に残りやすいとされています。

STEP 3. リズム:歌詞は気にせず「ダ」と「ン」で歌ってみる

リズム

なんとなくのメロディーの固まりが頭にできてきたら、その音をリズムの型にパチっとはめていきます。
なお、この工程が日本語にはない「裏拍リズム」を習得する大事な箇所となりますので、音源と同じリズムで言えるようになるまで、何度も何度も繰り返します。

最初の2小節を「ダ」と「ン」で歌うとこんな感じです。

ダダーダダンダッダ ダダダダ ソダ ダーダダ ウェアイゴー

最後の「ウェアイゴー(where I go)」のようにフレーズとして発話できる箇所は、「ダ」「ン」ではなく、フレーズで発話します。

STEP 4. 歌詞:歌詞と音の紐付けをおこなう

紐付け

リズムの固まりができたら、歌詞を確認し音と意味の紐付けをおこないましょう。

歌詞
The club isn’t the best place to find a lover
So the bar is where I go

自分の知識と実際に発音されている音に次のような違いがあったのではないでしょうか?

  • The club … “The”は、ほぼ発音されてない「ァ」に聞こえる
  • isn’t the best … 「ィズンダベス」のように発話されている
  • find a … 「ファインダ」とつながってる

音の脱落や、連結、食い気味で入るところや、弱く発話されているところなどを確認しましょう。

STEP 5. スピーキング:メロディーをつけずに、歌詞を喋る

自然に話すように

いよいよ、仕上げのステップです。
実際に友人に語りかけるように、メロディーはつけずに、歌詞を喋ってみましょう。

このステップで流暢に発話できるようになったら、次の小節へ進むを繰り返します。

オプション:歌詞中の単語を入れ替え、スピーキングに活用

ここからはスピーキングに活かしたい方向けです。
例えば、Shape of youの冒頭2小節の構文は、次の構成です。

(場所A) is not the best place to (動詞) a (名詞)
So (場所B) is where (代名詞) go.

これを、「友人とどこによく出かけるか?」に転用してみます。

Hakata isn’t the best place to chill out.
So Tenjin is where we go.
(博多は遊ぶのに最高の場所じゃないかな。だから、僕らは天神に行くんだ)

chill out … 遊びに出かける / まったりする

さらに発展させて、こんな使い方もできますね。

A chain restaurant isn’t the best place to eat fresh Gomasaba.
So Gomasaba-ya is where I recommend having your lunch.
(ごま鯖を食べるなら、チェーン店はベストな選択じゃないね。ランチなら「ごま鯖屋」をおすすめするよ)

まとめ

このように洋楽1曲を正しく覚えると、リスニングだけでなく、表現の幅が広がりスピーキング力の向上も見込めるので、ぜひ楽しみながら学習してみてください。

また、Ed Sheeranに限らず最近曲であれば、Remixようにアカペラ音源がYoutubeに公開されてることも多いので、お好きなアーティストの曲で試してみて下さい。

ただし、大友康平が歌う、宇多田ヒカルのFirst Loveが「誰を思ってるんだひょ〜ん」になってしまうように、歌い方の癖によって、現実では通じない発音になっている歌もあるので、若干の注意は必要です。

なお、英語のリズムをもっと練習したい方は、次の記事がおすすめです。

ネイティブの英語を聞きとる、英語リズムの習得のコツ

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